2022年6月22日 アルベルト マッゾーニ氏 Mr. Alberto Mazzoni
1938年にアマローネを誕生させたヴァルポリチェッラの歴史的協同組合!「ネグラール」が手掛けるプレミアムブランド「ドミーニ ヴェネティ」突撃インタビュー |
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「カンティーナ ヴァルポリチェッラ ネグラール」は、1933年に設立されたヴァルポリチェッラ最古の生産者協同組合です。現在は、約250軒もの農家が加盟、約800ヘクタールの畑を所有する、ヴァルポリチェッラ地区最大級の生産者です。アマローネの生みの親としても知られており、1936年に造っていたレチョートの発酵を止めずにできたワインが、アマローネの始まりとされています。1989年には、自社のプレミアムブランド「ドミーニ ヴェネティ」を設立。広大なエリアにある所有畑を再構築し、特に優れた厳選ブドウを用いて特別なワインを造っています。今回は、その「ドミーニ ヴェネティ」について、SOLOITALIA代表の林茂氏に通訳と解説をしていただき、輸出マネージャーのアルベルト マッゾーニ氏にオンラインでお話を聞きました。 | ||||||||||
1938年にアマローネを創出した生みの親!
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1933年8月23日、農家と商人で構成された6人のメンバーによって「カンティーナ ヴァルポリチェッラ ネグラール」の前身である「カンティーナ ソチャーレ ヴァルポリチェッラ」が設立されました。ヴァルポリチェッラ地区で最も歴史の古い協同組合です。設立後すぐにヴァルポリチェッラに特化したワインの生産、販売を開始。すると、2年後の1935年には、ブリュッセルで行われた万国博覧会にて早速、彼らのワインが特別賞を受賞。1938年には、設立者の一人、ガエターノ ダッローラ氏の命名により高級銘柄「アマローネ」が誕生しました。 ドイツで最も有名なワイン誌『Weinwirtschaft』で毎年のように「ベストイタリア協同組合」を受賞 1938年に産声を上げた高級銘柄「アマローネ」の誕生秘話 「アマローネという名前が誕生したのは1938年のことです。その2年前に造られて樽に入っていた甘口ワイン“レチョート”を取り出し忘れていたことがありました。(発酵させ続けた)そのワインを試飲すると、残糖がなくなり苦くなってしまったんです。すると、それを試飲した設立者の一人であるガエターノ ダッローラが“これは単なるアマーロ(苦み)ではない、(偉大さを込めた)アマローネだ!”と、樽に放置して出来上がったワインを素晴らしく思い、商品化する流れになったのです。当時からアマローネと書いて販売していた記録が残った写真もあります。 1968年にDOC認証を受けた時に、ネグラールが使う名称の使用許可が下り、他社も正式にアマローネと名付けてリリースすることになりました。それまでは32年くらい私たちだけが使用していた名前なんです。最初に偶然できたアマローネの量は、1樽分の5000リットルです。実際は、1樽分だけ取り出し忘れたのではなく、いくつも樽がありました。それらのほとんどは外に近いところに置かれていて、温度が高くなりダメになってしまいました。偶然、その1樽だけ状態が良かったんです。 1960年代のマーケットは甘口が主流で、辛口のアマローネは好まれていませんでした。当時の醸造総責任者アデリーノ ルッケーゼは“せっかく美味しいのに残念”と思っていたそうです。しかし、1980年代になりイタリアワインが世界的に評価され始めると、多くの造り手がアマローネの生産をスタートさせたのです。今となっては、3000社ものアマローネ生産者が存在しています」 参画する250の農家の90%がヴァルポリチェッラ クラシコ エリアに畑を所有! 所有する畑はなんと800ヘクタールという広さを誇るネグラール。契約農家の方々の9割がヴァルポリチェッラクラシコエリアに畑を持っていると言います。その他の区域も含めて、畑を持つエリアについて話していただきました。 「西にガルダ湖がありますが、そこから東に行くといくつかの渓谷があります。私たちの本拠地は“ヴァッレ ディ ネグラール”という渓谷の中央にあります。我々は、250の農家が集まった協同組合です。所有する畑は800ヘクタールで、契約農家の90%がヴァルポリチェッラ クラシコエリアに属しています。クラシコエリアの多くは小区画で、ほとんどの農家が“アマローネ用のブドウ”として持ってきます。残りの10%は、バルドリーノやルガーナ、クストーザ、ソアーヴェです。ソアーヴェはヴァルポリチェッラとも重なっているので、そこの畑では両方のブドウが造られています。 これだけ多くのところで造っているので、畑には多様性があります。標高の低い場所では湖の影響を受け、標高の高い場所では受けません。また、温暖化の影響もかなり受けています。気温が高くなったことにより、標高600メートルまで植樹できるようになりました」 |
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1989年設立!ネグラールのプレミアムブランド「ドミーニ ヴェネティ」
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合計800ヘクタールもの畑から選び抜かれた優良畑でワイン生産を行うプレミアムブランド「ドミーニ ヴェネティ」 コストパフォーマンス抜群の高品質ソアーヴェから高級銘柄アマローネまで! 「私たちは800ヘクタールも畑を所有していますが、畑の性格をそれぞれ熟知しています。高品質を生み出すために全体の味わいを考慮して、その年に使うブドウを決めています」とマッゾーニ氏が話すように、どのワインも各地の個性が表現されながらも、非常に高品質でバランスに優れた味わいです。 アマローネの最上級5大渓谷=グランクリュで造られる最高級アマローネ! ネグラール渓谷のクリュ「ヤーゴ」で造られる最高級アマローネ リゼルヴァ「マター」 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
250軒もの農家が名を連ねるヴァルポリチェッラ最大級規模の生産者協同組合「カンティーナ ヴァルポリチェッラ ネグラール」。今回、輸出マネージャーのアルベルト マッゾーニ氏と林茂さんの解説を受け、ワイナリーが持つ歴史とその規模感に圧倒されました。
まずは、彼らが「アマローネの生みの親である」ということです。1936ヴィンテージとして醸造中だったレチョートの発酵を意図せず止めずに出来上がった偶然の産物がアマローネ。設立者の一人であるガエターノダッローラ氏が「単なるアマーロ(苦み)ではない、(偉大さを込めた)アマローネだ!」と評したほど。しかし、当時の市場は甘口ワインが主流だったため、1980年代中盤まではあまり評価されていませんでした。それでも、日の目を浴びるまで何十年も造り続けたという事実、歴史には、ものづくりに対する情熱や執念のようなものを感じました。 そして、何よりもワイナリーの規模感です。ヴァルポリチェッラ クラシコだけでなく、バルドリーノ、ソアーヴェなど、全部で800ヘクタールの畑を所有しています。それだけ多くの畑から来るブドウを陰干しするために用いられる巨大なアパッシメント施設が二つあると言います。その大きさはなんと6000平米。サッカー場くらいの凄まじい大きさです。約90年の歴史を持ち、拡大を続けてきたネグラールならではの規模感だと感じました。 彼らが1989年に立ち上げたプレミアムブランド「ドミーニ ヴェネティ」のワインは、どれも調和が取れていながらも、それぞれの個性が表現されていて美味しかったです。個人的に、ソアーヴェのコストパフォーマンスには目を見張るものがありました! ヴァルポリチェッラ最大級規模の生産者協同組合「カンティーナ ヴァルポリチェッラ ネグラール」をぜひご堪能ください。 |
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1938年にアマローネを誕生させたヴァルポリチェッラの歴史的協同組合!「ネグラール」が手掛けるプレミアムブランド「ドミーニ ヴェネティ」突撃インタビュー
2022/07/29