2022年7月26日 アルベルト オレンジャ氏 Mr. Alberto Orengia
念願のキャンティ クラシコエリア「ガイオーレ イン キャンティ」に進出!トスカーナの多様性を育み「ニポッツァーノ」「カステルジョコンド」「ペラーノ」で偉大なサンジョヴェーゼを生み出す「フレスコバルディ」突撃インタビュー |
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イタリアを代表する世界的生産者「フレスコバルディ」。フレスコバルディ家は、かの有名なポンテヴェッキオの隣にかかるサンタ トリニタ橋やサント スピリト大聖堂の建設など、トスカーナの歴史と伝統に深く関わってきた名家として知られています。ワイン造りの歴史は14世紀からと古く、「Cultivating Toscana Diversity(トスカーナの多様性を育む)」というヴィジョンのもと、同州でいくつものエリアでワイン生産を行っています。『ガンベロロッソ2020』ではワイナリーオブザイヤーを受賞。世界で最も有名で歴史あるイタリアの生産者として、700年以上経った今でも更なる発展を遂げています。今回は、初めて進出するキャンティ クラシコエリア「ガイオーレ イン キャンティ」で手掛ける「ペラーノ」の新発売に合わせて、「ニポッツァーノ」「カステルジョコンド」「ペラーノ」の3つのテヌータについて、輸出マネージャーのアルベルト オレンジャ氏にオンラインでお話を聞きました。 | ||||||||||
トスカーナの悠久の歴史と伝統を築き上げたフレスコバルディ家
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フレスコバルディ家の歴史は、一家がドイツからフィレンツェに移住してきた西暦1000年代に遡ります。初めに繊維業を営んだ後、ルネサンス時代には銀行家として活躍。フィレンツェの街で勢力を伸ばし、影響力の大きいファミリーへと拡大していきました。特にイギリス王室との関係は深く、同国の財務管理を担っていました。14世紀からワインを造っていたというフレスコバルディは、当時からワインの販売もしており、ルネサンス期の多くの芸術家が、彼らのワインを愛飲していたという記録も残っています。
Cultivating Toscana Diversity ~トスカーナの多様性を育む~ アルベルト氏が「最も重要なエステートと言える」というニポッツァーノ、カステルジョコンド、ペラーノが属すトスカーナで手掛ける8つの自社ブランドでは、彼らが強調するヴィジョンと信念が掲げられています。それは「Cultivating Toscana Diversity ~トスカーナの多様性を育む~」というもの。トスカーナ各地で独立してワインを造る計8つのエステートにおいて、それぞれのテロワールを反映したワイン造りを行い、トスカーナの多様性を高めることに専念しています。 その多様性を示すものとして、4月中旬の同時期に撮られた2枚の写真があります。最北部で標高700メートルの「ポミーノ」では雪が積もり、最南部「アンミラーリア」では日光浴、海水浴が楽しめます。トスカーナの中には、これほどの多様性が存在しているのです。 |
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「キャンティ ルフィナ」「モンタルチーノ」「ガイオーレ イン キャンティ」
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「ニポッツァーノ」「カステルジョコンド」「ペラーノ」が造る3つのサンジョヴェーゼ 自社ブランドの中でも特に重要視するという3つのテヌータ「ニポッツァーノ」「カステルジョコンド」「ペラーノ」では、評価誌から高い評価を受ける偉大なサンジョヴェーゼが生産されています。キャンティ最小のサブゾーン「ルフィナ」で造る、世界中で愛される歴史的キャンティ「ニポッツァーノ」。モンタルチーノ最古の畑で偉大なサンジョヴェーゼ(ブルネッロ)を造る「カステルジョコンド」。新しく進出したガイオーレ イン キャンティの円形劇場型の優良畑で手掛ける新ワイナリー「ペラーノ」。それら3つのテヌータとサンジョヴェーゼについて、アルベルト氏に話していただきました。 フレスコバルディの象徴的存在!世界的に有名な歴史的キャンティ クラシコ「ニポッツァーノ」
ルフィナはキャンティで最小かつ最も標高の高いサブゾーンで、この標高の高さがルフィナを特別にしている理由です。飲むとピュアでエレガントなサンジョヴェーゼだと感じると思いますが、それはルフィナの標高から来るものです。高い酸がワインにおける背骨のような役割を果たしていて、1本軸があるような印象です。モダンというよりは昔からのサンジョヴェーゼの伝統的な味わいです。サワーチェリー、イチゴ、赤い果実、酸味を感じます。 このニポッツァーノ リゼルヴァは、フレスコバルディを象徴するワインで、低価格帯のレモーレの次に売れているワインです。世界的に有名になりすぎて、ルフィナで造っていることを知らない方も多いんですよ(笑)」 子どもの誕生祝いとして「ヴェッキエ ヴィーティ」が贈られるフレスコバルディ家の伝統 エレガントかつ力強いブルネッロを生み出すモンタルチーノの真髄
私たちは最も古いブルネッロ生産者の一つで、この地では1800年代からブルネッロを生産していました。実は当時のワインと今のワインのデータを比べても違いがないんです。安定したワインを作れることが数字で証明されています。 ロッソとブルネッロの造り分けについて、明確な決まりはありません。毎年、状況に応じて栽培家と醸造家が決めています。広大な所有畑には様々なタイプのサンジョヴェーゼがあるので、区画ごとに試飲して最終的にブレンドを行います」 前所有者が残したメルローとそのポテンシャルを見出した29代目ヴィットリオ氏! ルーチェが、トスカーナ「フレスコバルディ」家とカリフォルニア「モンダヴィ」家の出会いによって生まれたコラボレーションであることは有名ですが、アルベルト氏に改めてカステルジョコンドの購入背景を伺うと、ルーチェについて初めて耳にする話を聞くことができました。
その後、フランス企業がカステルジョコンドから撤退すると、その土地に精通するフレスコバルディが1989年に購入。1991年には、偉大なポテンシャルを持つメルロー100%キュヴェ「ラマイオーネ」がリリースされました。そして、アメリカから視察に来ていたモンダヴィがラマイオーネを試飲すると“これは素晴らしいワインだ”と驚き、フレスコバルディとモンダヴィのコラボレーションが始まりました。これが、サンジョヴェーゼ50%、メルロー50%のルーチェが誕生したきっかけです。ルーチェは、前所有者の突飛なアイディアから生まれたものなのです」 |
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念願のキャンティ クラシコエリアに進出した「テヌータ ペラーノ」
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トスカーナの多様性を発信する造り手としては外せないエリア「キャンティ クラシコ」
ペラーノは、キャンティ クラシコエリアのガイオーレ イン キャンティに位置するユニークな畑です。最大の特徴は、400-650メートルという“標高の高さ”と、すり鉢状に広がる“円形劇場型”の畑です。従来、標高が高すぎると酸がきつくなりますが、ペラーノ特有の急勾配な傾斜によって太陽光が集まり、果実がしっかり熟すんです。これほどの標高の高さでこんなにサンジョヴェーゼが成熟することはありません。類稀なる自然な形で作られたペラーノの畑は、水はけも良く、いいサンジョヴェーゼができる条件が揃っていました。 また、購入した時から畑が完璧の状態だったことも大きいです。前所有者はワイン生産を生業としていませんでしたが、畑の手入れを熱心にされていました。しかし、彼らはワインの販売に力を入れておらず、この畑は無名で全然知られていなかったんです。ですから、この恵まれた土地に出会えたことは本当にラッキーでした」 2015年の初リリースから『ワインスペクテーター』のTOP100ワイン(36位)に選出!
「ペラーノのキャンティ クラシコは、どこか昔ながらのトスカーナワインという印象を持ちます。ですが、サンジョヴェーゼ90%に国際品種のカベルネソーヴィニヨンとメルロー10%がブレンドされているので、伝統的とはまた違うモダンな造りです。生き生きとした果実があり、バランスに優れたキャンティ クラシコのアンナータです。 キャンティ クラシコ リゼルヴァは、サンジョヴェーゼとメルローで造られていて、アンナータよりクラシカルなスタイルが表現されています。私たちよりも昔からこの土地でワインを造り続ける近隣の優良生産者(カステッロ ディ アマなど)に近い味わいですね」 標高650メートルの単一畑で造るこだわりのグランセレツィオーネ「リアルツィ」 ワインは凝縮感、濃密な印象です。リコリス、シガーボックス、タバコの葉も感じる複雑な要素があります。新樽バリックで24ヶ月、瓶内で12ヶ月熟成を行うことで生まれる複雑味を感じていただけると思います。と、私は言葉で表現しましたが、グラスの中のワインが語り掛ける以上の表現はないので、みなさんにじっくり味わってほしいですね」 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
フィレンツェに根付き、トスカーナの歴史に名を残してきたイタリアを代表する世界的生産者「フレスコバルディ」のお話は、全て歴史を感じるもので圧倒されるばかりでした。また、初めて耳にする情報も多く大変勉強になりました。
キャンティ クラシコエリアで新しく手掛ける「ペラーノ」の畑は、画像だけでも美しさが伝わってきて、つい見入ってしまいました。インタビュー後にグーグルマップで畑を見てみると、「太陽の光を集め、水はけのよい畑」であることがよくわかるほどの傾斜がありました。実際に現地を訪れた日欧商事さん曰く「声が出るほどの風景で、上から見ると下が見えないほどの傾斜でした」とのことで、実際に現地に行ってみたくなりました。 試飲したペラーノのワイン3種は、どれもフレッシュな酸と抜群のバランスが特徴的でした。スタンダードキュヴェ「キャンティ クラシコ」は、酸味とボディをしっかりと感じる深みのある味わい。リゼルヴァは、力強く豊かな果実味が口中に溢れます。単一畑のグランセレツィオーネ「リアルツィ」は、非常に複雑で、多種多様な果実とスパイスが綺麗に混ざり合った、充実感のある味わいでした。 フレスコバルディの独立ブランドかつ偉大なスーパートスカン「ルーチェ」にメルローが使われる背景には、カステルジョコンドの前所有者であるフランス企業の存在があったことも大変興味深く、「これは日本初公開なのでは?」と盛り上がっていました。 今回試飲したワインはどれもトスカーナらしさ、優れたバランスが見事に表現されていて素晴らしかったです。久しぶりにカステルジョコンドのブルネッロを試飲して、ノスタルジーに浸ってしまった瞬間もありました。とても美味しかったです。 トスカーナの歴史と伝統を築き上げてきたフレスコバルディのワインを、ぜひみなさんにも味わっていただきたいです。 |
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テヌータ ペラーノ (フレスコバルディ)のワインはこちら⇒ | ||||||||||
テヌータ ディ カステル ジョコンド (フレスコバルディ)のワインはこちら⇒ | ||||||||||
カステッロ ディ ニポッツァーノ (フレスコバルディ)のワインはこちら⇒ | ||||||||||
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念願のキャンティ クラシコエリア「ガイオーレ イン キャンティ」に進出!トスカーナの多様性を育み「ニポッツァーノ」「カステルジョコンド」「ペラーノ」で偉大なサンジョヴェーゼを生み出す「フレスコバルディ」突撃インタビュー
2022/08/17