2022年8月25日 エンツォ アグレスタ氏 Mr. Enzo Agresta、パオロ スカイオーラ氏 Mr. Paolo Scaiola
長期熟成で洗練された最高峰クリュバローロ「カンヌビ」!ロエロやランゲなど各銘醸地で上質ワインを生み出すピエモンテ最古の造り手「カレッタ」突撃インタビュー |
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1467年に設立、創立555周年を迎えたピエモンテ最古の造り手「テヌータ カレッタ」。同州で深い歴史を持つ彼らは、本拠地ロエロに始まりランゲなどの各銘醸地に自社畑を所有。数多くの名ワインが輩出されるピエモンテのDOCGを各地で生産しています。特に最高峰クリュバローロと呼び声高い「カンヌビ」の最大所有者として知られ、長期熟成でより一層洗練される偉大な逸品を生み出しています。今回は、各エリアで造られるワインを試飲しながら、SOLOITALIA代表の林茂氏に通訳と解説をしていただき、輸出マネージャーのエンツォ アグレスタ氏、醸造責任者のパオロ スカイオーラ氏にオンラインでお話を聞きました。 | ||||||||||
創立555周年! ピエモンテ最古の歴史を誇る「テヌータ カレッタ」 |
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「テヌータ カレッタ」が設立されたのは、今から5世紀以上も遡る1467年のこと。当時の所有者であるアンドレア ダミアーノ侯爵が、小作人に畑を譲渡したことでワイナリーの歴史が始まりました。それを証明する、1467年11月28日付の証書も残されています。「カレッタ」という名は、1300年代からその土地を所有していた貴婦人「カレータ コスタンツィ」に由来するものだと、中世の古文書研究により判明しています。 現在のオーナーは、繊維業を営むアルバ出身のミローリオ家。ファッションブランドを数多く手掛け、イタリア国内に500~600店舗を構える大手アパレルメーカーです。彼らはカレッタを購入すると、最新設備の導入やセラーの修復を行い、古くから所有する歴史的な畑の特徴を最大限に引き出し、より秀逸なワイン生産を可能にしました。 「現在、世界30ヶ国にワインを輸出しています。いわゆる大量生産ワイナリーではないので、マーケットも意識しています。私たちは555年の歴史を持つ会社として、訪れるお客様のサービスを常に考えています。ワイナリーに来ていただくと、畑のガイドツアーを楽しむことができます。スマートフォンを使った多言語の音声案内によって、各畑の解説を聞ける案内もご用意しています」と輸出マネージャーのエンツォ氏。 ※より詳しい歴史は前回のインタビュー記事をご覧ください |
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ピエモンテの主要DOCGをほぼ網羅!
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各銘醸地に点在する120ヘクタールもの自社畑で造る秀逸なDOC&DOCG
近年注目の泡「アルタランガ」にも進出! 砂質土壌がもたらすエレガンス! 1467年創業当時からカレッタが拠点を置くロエロ地区。ワイナリーは、同エリアにいくつもの畑を所有しています。最も多く生産する土着品種アルネイスの畑「カイエガ」。カンティーナの正面に位置するバルベーラの畑「ブリック クエルチャ」。555年前、例外的に領主に全てのブドウが献上されていたという特別なネッビオーロの畑「ポーディオ」。これらの畑は石灰質の砂を多く含んだ土壌によって構成され、ロエロ特有のエレガントさがワインに与えられます。 “ネッビオーロビアンコ”とも呼ばれる長期熟成に向いたアルネイス エンツォ氏: 「ロエロはランゲと違い、石灰質の砂を多く含んだ土壌で、ワインにエレガントさを与えます。白ワインが比較的多いですが、赤ワインも造っています。アルネイスは、特にロエロ地区の気候や土壌に適している品種で、ネッビオーロビアンコとも呼ばれています。長期熟成にも向いています。 ロエロ アルネイスは、私たちが最も多く生産しているワインです。ロエロアルネイス リゼルヴァ(日本未輸入)も生産しているのですが、アメリカのインポーターは“リゼルヴァは全部欲しい”と言ってくるほどです。そういうわけにもいかないんですけどね(笑)」 単一畑「ブリック クエルチャ」で造られる厳格なバルベーラ エンツォ氏: 「ここでしか造れないワインがある」 カレッタは、イタリアが世界に誇る銘醸地「ランゲ」にも畑を複数所有しており、バローロやバルバレスコに加え、地元ピエモンテに根付くドルチェットも生産しています。ランゲの土壌は、石灰質土壌の泥灰土、砂地や青みがかった泥灰土、そして白亜の硫黄性石灰岩の泥灰土で構成されます。特に石灰質の泥灰土と砂地は、フィネスやストラクチャー、エレガントさを与え、芳醇で力強く偉大なワインが生まれます。 バローロ5大産地、バローロ村とラモッラ村で造る偉大なバローロ エンツォ氏: パオロ氏: |
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長期熟成で更に進化を遂げるバローロの最高峰クリュ「カンヌビ」 |
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バローロ村最古の最高峰クリュ「カンヌビ」の最大所有者「テヌータ カレッタ」 「カレッタは、カンヌビを所有する生産者の中で最も広い2.6ヘクタールを所有しています。エンツォさんのお話にもありましたが、畑の中央にバローロ村とラモッラ村が眺められるレストランがあるんです。それって、なんだかもったいない気もしますよね(笑)」と林氏。 長期熟成により洗練された力強さ、複雑性、エレガンス! 偉大なクリュバローロの熟成VT、2013年&2011年垂直試飲! 今回試飲したワイン10種の中で最も注目を浴びたのが「カンヌビ」2013年と2011年。約10年の時を経て開けられた熟成クリュバローロの2ヴィンテージは、色、香り、味わいと個性が全く異なります。 力強く、洗練された美しい味わいが綺麗にまとまった2013年 10月に収穫が行われた2013年は、乾燥した8月と9月の影響でストラクチャーと厚みが与えられました。色は綺麗に輝くガーネット色。凝縮した果実、乾燥した花や果実の力強く複雑な香りが鼻腔をくすぐります。口に含むと力強いアタックがあり、そのあとに凝縮果実やドライフラワー、ドライフルーツなどエレガントな味わいが口中を覆います。それらの味わいの要素とタンニンが綺麗にまとまり、際立つバランスの良さを演出します。麗しく持続する余韻に満たされます。 力強さ、複雑さ、デリケートさが溶け合う2011年 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
創立555周年を迎えたテヌータ カレッタ社。その想像もつかないほどの年数に驚きを隠せませんでしたが、その圧倒的な歴史や伝統が、バローロ最古のクリュ「カンヌビ」の最大所有者である所以だと実感しました。
そんな歴史的生産者であるにも関わらず、今回お話しいただいたエンツォさんとパオロさんから受ける印象は非常に若々しかったです。ワイナリーが持つ歴史の重みを感じながらも、どこか「まだまだ発展するんだ」という向上心やフレッシュさも感じ取ることができました。 今回試飲したワインは10種。なかでも特に印象的だったのは「カンヌビ」の2VT、2013年と2011年です。色、香り、味わいがはっきりと異なり、「こんなにも違うのか」と盛り上がったほど。飲み比べをするにはうってつけだと思います。両者ともに飲み頃を迎えた熟成ヴィンテージで、じわじわと口中に溢れる優美な味わいにうっとりとしてしまいました。 カンヌビの後に試飲したモスカート ダスティにおける林さんの解説もとても印象的でした。「ぜひ、モスカートを飲んだ後にカンヌビを飲んでみてください。バローロがただの苦い水になりますから」と。実際に試してみると、本当にその通りになり驚きました。「モスカートの存在感ある力強いアロマがそうさせています」と林さん。あの“苦い水”の味はいまだに覚えています。試飲する順番の重要性を身をもって学ぶ良い経験となりました。 |
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長期熟成で洗練された最高峰クリュバローロ「カンヌビ」!ロエロやランゲなど各銘醸地で上質ワインを生み出すピエモンテ最古の造り手「カレッタ」突撃インタビュー
2022/09/16