2023年2月6日 ジョヴァンニ フラスコッラ氏 Mr. Giovanni Frascolla
父から子、そして孫へと受け継がれ、年々進化を遂げる偉大な造り手!ポッジョ アルジェンティエラを手掛けるトゥア リータ3代目ジョヴァンニ フラスコッラ氏突撃インタビュー |
||||||||||
『ワインスペクテーター』『ワインアドヴォケイト』『ジェームズサックリング』の3誌で100点満点を獲得したイタリア最高峰メルロー「レディガフィ」の造り手「トゥア リータ」。彼らが沿岸部マレンマで手掛けるワイナリーが「ポッジョ アルジェンティエラ」です。2015年にカンティーナを購入すると、ワインの品質を劇的に向上させ、カベルネフラン100%の上級キュヴェ「ポッジョラーゾ」2018年が『ルカマローニ』で99点満点を獲得。今回は成長著しいワイナリーについて、トゥア リータとアルジェンティエラの醸造を務める3代目ジョヴァンニ氏とエージェント林達史氏に聞きました。 | ||||||||||
創設者ヴィルジリオ氏が築き上げた世界最高峰ワイナリー「トゥア リータ」 |
||||||||||
――今日は貴重な機会をありがとうございます。ご自身とワイナリーについて教えてください。 ジョヴァンニ まずはお時間をいただきありがとうございます。トゥア リータとポッジョ アルジェンティエラの3代目兼醸造家のジョヴァンニ フラスコッラです。トゥア リータは、1984年に私の祖父母が土地を購入して始めたワイナリーです。初めは1ヘクタールの畑からの、本当に小さな挑戦・冒険でした。カステッロ ディ アマのラッパリータやサッシカイアを参考に、1988年にメルローとカベルネソーヴィニヨンを0.5ヘクタールずつ植えました。 ガレージワインから世界最高峰ワインへとのし上げた創設者ヴィルジリオ氏 その後、祖父のヴィルジリオが、まだ駆け出しだった醸造家ルカ ダットーマと造ったジュスト ディ ノートリ1992年が、いきなり『ガンベロロッソ』でトレビッキエリを受賞しました。これが私たちのスーパートスカンの始まりです。ガレージワインからどんどん国際的なワインとなっていきました。もう一つ、トゥア リータにとって大きなきっかけとなったワインがあります。『ワインアドヴォケイト』で100点を獲得したレディガフィ2000年です(1997年はワインスペクテーター、2015年はジェームズサックリングで100点を獲得)。こうして私たちの存在や立ち位置が確立されたと思います。 偉大な造り手、偉大な畑に囲まれて育った3代目ジョヴァンニ氏 ――ジョヴァンニさんは、どういう過程を経て醸造家になられたのですか? ――幼少期から偉大な畑に囲まれて育ったと思います。そういった周囲の環境が「醸造家になろう」と思わせたのですか? そうですね。私がどういう環境で育ったかがわかる写真をお見せします。これは、レディガフィの畑にいる1歳頃の私です。この環境で育ったことが大きいですね。祖父はいつもこう語りかけていました。 「ブドウの品質はボトルに直結する。どれだけ畑で仕事をしたかにかかってくる」と。この言葉は今でも鮮明に覚えています。そして、2010年、祖父が特別な思いを込めていたシラーの収穫中に彼は亡くなりました。その時期から“自分がやっていくんだ”という思いが芽生えました。 |
||||||||||
父から子、そして孫へと受け継がれるブドウ造りへの想い
|
||||||||||
創設者ヴィルジリオ氏が愛し、一家が特別な思いを持つシラー種
林 ヴィルジリオさんはシラーが非常に好きな方で、シラーと強いつながりがあるんです。 ジョヴァンニ 私たち家族は、全てにおいて好きかどうかという基準でワインを生産しています。例えば、ペルセンプレ(最上級シラー)は、祖父の強い思いで造られたものです。シラーを他のワインに混ぜようという話がありましたが絶対にダメなんだと。 林 ペルセンプレは今やレディガフィと肩を並べるほどのクオリティです。年によっては一番良いと感じることさえあります。ペルセンプレのほうが低価格で生産本数が少ないので、レディガフィのほうがまだ入手しやすいですよね。 ヴィルジリオ氏に敬意を表し、全作業を止めて行う最上級シラー「ペルセンプレ」のボトリング ジョヴァンニ 私たちにとってもシラーは特別な思いがある品種です。レディガフィやジュスト ディ ノートリとはまた違う感覚があります。センチメンタルとでも言いましょうか。実は、ペルセンプレをボトリングする時は他の仕事を一切しません。生産本数は3000本なので1時間程度で終わる作業ですが、集中して行っています。 林 それは知らなかったです。このワインは特別だというヴィルジリオさんに対するリスペクトがあるのでしょうね。一方で、ジョヴァンニのお父さん、ステファノはカベルネフラン100%のワインが大好きなんです。ポッジョ アルジェンティエラではポッジョラーゾというワインが生まれました。 2代目ステファノが惚れ込んだカベルネフランに適した最上畑「バチネッロ」 ――ポッジョラーゾの初ヴィンテージはいつですか? 林 もはやネッビオーロなどのピエモンテの収穫時期ですよね。そこまでゆっくりとブドウが成熟していくということです。フランの緑感や生野菜的なニュアンスを取ろうとすると、柔らかく甘くなりすぎます。その適度なバランスを表現できるのが山側に位置するバチネッロの畑です。 |
||||||||||
|
||||||||||
トゥア リータのレベルに到達する過程を辿る新ワイナリー
|
||||||||||
――そのポッジョラーゾを造るポッジョ アルジェンティエラについても教えてください。 ポッジョ アルジェンティエラは、父が2015年に購入したマレンマのワイナリーです。トゥア リータから60キロほど南にあり、モレッリーノ ディ スカンサーノDOCGに位置しています。父がこだわるカベルネフランやシラーなど国際品種をはじめ、サンジョヴェーゼも生産しています。 毎年実験を重ねて、畑の理解を深めているので年々ワインのグレードが上がっています。トゥア リータのレベルに到達する過程を辿っている段階で、まだまだ成長する余地のあるワイナリーですね。かといって、トゥア リータがいくところまでいったとは思わないでくださいね(笑)。トゥア リータも同様に成長を続けています。 林 私はポッジョ アルジェンティエラを初ヴィンテージの2015年から飲ませていただいていますが、今ほどの出来ではありませんでした。初リリースから3~4年で劇的に変わりましたね。2年前くらいからは本当に綺麗なワインになったと思います。(2018年のポッジョラーゾがルカマローニで99点満点を獲得) トゥア リータで生まれ育った3代目が担うワイナリーのこれから ――若いジョヴァンニさんが率いるワイナリーの今後が楽しみですね。 トゥア リータは、これまで積み重ねてきた知識や経験があるので、毎年クオリティの高いワインを造る生産者として地位を確立しています。しかし、全てを理解しているわけではありません。トライアンドエラーを重ねて、常にいいものを造れるように努力していきます。 林 努力を続けていることは見ていてもわかりますし、昔のワインと比べるとより上品になっています。ファーストヴィンテージから、トレビッキエリをはじめ評価誌でも90点を超えています。ワイナリーによっては評判が一時落ちることもありますが、彼らは当たり前のようにずっと95点以上を取り続けています。それは本当に素晴らしいことだと思います。 左から、醸造総責任者マルコ ラマストラ、ルカ ダットーマ、2代目ステファノ フラスコッラ、3代目ジョヴァンニ フラスコッラ |
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
■インタビューを終えて | ||||||||||
まずは、あの「トゥア リータ」と「ポッジョ アルジェンティエラ」の3代目ジョヴァンニさんにインタビューの機会をいただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
ジョヴァンニさんは、冷静ながらも明るく気さくな方でした。何よりも、家族愛にあふれており、家族やチームと造り上げることに重きを置いているのだなと感じました。それは、創設者のヴィルジリオさんの想いも含めてです。ジョヴァンニさんとヴィルジリオさんが一緒に写っている写真を見たり、家族同士が想い合うエピソードを聞いて感動してしまいました。 トゥア リータのFacebookページを見て気づいたのですが、ヴィルジリオさんがこだわったシラーの最上級キュヴェ「ペルセンプレ」がカバー画像(プロフィールの一番上にある大画像)でした。ジュスト ディ ノートリでも、レディガフィでもなく。そこからも、家族同士の結びつきや受け継がれる思いを感じることができました。 その強い思いは、3代目のジョヴァンニさんに受け継がれています。2代目がこだわるカベルネフラン100%ワイン「ポッジョラーゾ」は、ポッジョ アルジェンティエラ購入後早々に『ルカマローニ』で99点満点を獲得しています。それでもまだ「アルジェンティエラは発展途上。ポテンシャルの70%くらいしか出せていない」と話し、「年々成長するポッジョ アルジェンティエラを見ていてください」とのこと。 トゥア リータはもちろん、若き3代目ジョヴァンニさん率いるポッジョ アルジェンティエラの今後に大注目です。 |
||||||||||
トゥア リータのワインはこちら⇒ | ||||||||||
ポッジョ アルジェンティエラのワインはこちら⇒ | ||||||||||
突撃インタビューバックナンバーはこちら⇒ | ||||||||||
トゥア リータ3代目ジョヴァンニ フラスコッラ氏突撃インタビュー
2023/02/24