2023年5月8日 ラウラ ガッティ氏 Ms. Laura Gatti、マッテオ ガッティ氏 Mr. Matteo Gatti
コクと旨味を引き出すための唯一無二のピラミッド型ボトル(特許)!フランチャコルタを知り尽くす創業者の知見と2代目世代の新発想が融合する「フェルゲッティーナ」突撃インタビュー |
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フェルゲッティーナは、フランチャコルタ地区の礎を築いたロベルト ガッティ氏によって起ち上げられたワイナリー。名門ベッラヴィスタの醸造長として長年活躍した職人として知られるロベルト氏が掲げる「フィネス」「エレガンス」「純粋さ」という哲学のもと、規定を遥かに上回る長期瓶内熟成で上品なフランチャコルタを生産しています。一度見たら忘れられないピラミッド型ボトルも特徴の一つ。これは2代目のマッテオ氏が開発したもので、コクや旨味を与える酵母が多く溶け込むようにデザインされています。同地区の土壌の違いも知り尽くす創業者と次世代の新発想の融合で、フェルゲッティーナはフランチャコルタにおける確固たる地位を確立しています。今回はエージェント林達史氏に通訳と解説をしていただき、2代目ラウラ ガッティ氏、マッテオ ガッティ氏にお話を聞きました。 | ||||||||||
生産量はなんとシャンパーニュの約6%!
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氷河時代によって形成された小区域「フランチャコルタ」
――今日はよろしくお願いします。お久しぶりです。5年振りですね。 ラウラ お久しぶりです。またお会いできて嬉しいです。今日は、改めてフランチャコルタとは何か、他のメトドクラシコ製法のワインとの違いからお話します。 まず、フランチャコルタの特性は氷河で形成された土壌であるということです。フランチャコルタが位置するのは北部イタリア、ロンバルディア州のイゼオ湖南のエリアです。北にはイゼオ湖、西にはオリオ川、南西にはオルファノ山があります。これらは全て、氷期と間氷期(暖かくなる氷期)が繰り返して形成されたものです。フランチャコルタは自然が造り上げた狭い区域で、19の自治体で造ることが許されています。 他のメトドクラシコ製法ワインに比べて超少量生産 ラウラ フランチャコルタはシャンパーニュやカヴァと比べて狭いエリアですし、年間生産量も非常に少ないです。表の通り、シャンパーニュが3億本、カヴァが2億本を超えるのに対し、フランチャコルタはわずか2000万本です。この数字は、シャンパーニュの大きな生産者1社で造れる本数です。フランチャコルタの規模がわかっていただけたと思います。 海外輸出がされないことも特徴の一つです。ワイナリーによって異なりますが、全フランチャコルタの85~90%が国内消費されています。フェルゲッティーナは10%を輸出しています。 ――そんなに少ないんですか! ラウラ そうなんです。まだまだフランチャコルタは世界に知られていないので可能性を大いに秘めていますね。 酵母との熟成期間を規定の2倍に設定するフェルゲッティーナ 林 酵母との熟成期間の長さも注目していただきたいです。表の通り、メトドクラシコで造られるトレント、シャンパーニュ、カヴァよりも長く、厳しい規定が定められています。ミッレジマートやリゼルヴァとなるとさらに厳しくなります。 ラウラ フェルゲッティーナは、そのフランチャコルタの規定よりも非常に長い熟成期間を設定しています。通常のブリュットが18ヶ月のところを36ヶ月、ミッレジマートは34ヶ月です。 酵母との瓶内熟成期間 絹のように柔らかくきめ細やかなフランチャコルタ独自のカテゴリー「サテン」 ラウラ フランチャコルタの規定について簡単にご説明します。「フランチャコルタ」、「フランチャコルタ サテン」、「フランチャコルタ ロゼ」という3つのカテゴリーが存在します。そして、それぞれにノンヴィンテージ(NV)、単一年ヴィンテージ(ミッレジマート)に分けられます。 サテンは、他の地域にはないフランチャコルタ独自の名称です。通常よりも長い24ヶ月の瓶内熟成(通常のフランチャコルタは18ヶ月)、ブリュットのみの糖度、白品種100%のブランドブラン、低めのガス圧が義務付けられています。 ――どういう背景でサテンは造られたのですか。 初めはクレモンという名前で造っていたのですが、商標登録の関係で名称変更をする必要がありました。サテンは絹のように柔らかくクリーミー、キメ細やかなワインであるため、フランス語で「絹の生地」という意味を持つSATIN(サテン)をイタリア語読みしてSATENと名付けられました。 ――もともとシャルドネが多く植えられていた地域でもあるのですか? そうですね。シャルドネとピノビアンコは、かなり昔から植えられていたと言われています。ピノネロに関しては1960年以降に植えられました。 |
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11の村に100箇所の畑を使用!
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フランチャコルタを知り尽くした職人が設立
ラウラ 次はフェルゲッティーナに焦点を当ててご説明します。フェルゲッティーナは、私たちの父ロベルトが起ち上げたワイナリーです。地元で生まれ育ったロベルトは、約20年、セラーマスターや畑の責任者を務めてきました。その後、フェルゲッティーナを設立し、91年にファーストヴィンテージをリリースしました。 林 長女のラウラさんは、現在トップに立ってワイナリーを率いています。その弟のマッテオさんは、彼女をアシストしながら畑と醸造の責任者として働かれています。二人ともミラノ大学の醸造科を卒業しています。後に話しますが、ピラミッド型ボトルはマッテオさんが発明、設計を行いました。彼はこのボトルの卒業論文を書いて卒業したんですよ。 100箇所に点在する畑を巧みに融合させて個性を表現 ラウラ フェルゲッティーナが優れている点は、点在する多くの畑を使用していることです。フランチャコルタが生産できるエリアは19に分かれていて、私たちはそのうち11地区に畑があります。畑は合計で100箇所あり、それぞれ別々に収穫し醸造をしています。 林 様々なタイプの土壌の畑を持つことは、個性の異なるフランチャコルタを生産する上で非常に優位なことです。なぜなら使用するブドウの選択肢が多いからです。ワインの個性やアイデンティティを表現するために、最も適したブドウを選択できるわけです。 ――それぞれ特徴の異なるワインを造るために、各エリアの畑を使用しているということですね。畑の広さはどのくらいですか? ラウラ 200ヘクタールです。契約畑もありますが、全て自社で植えて育てています。フランチャコルタではよくあることですが、契約した後は品種も仕立ても全て造り手の方針で決めることができます。 林 当主のロベルトさんは、業界では有名で相当信頼されている方です。創業当初は、当然ゼロから始めたわけですが、「ロベルトに任せたら間違いない」ということで、畑を貸したい所有者からの逆オファーがたくさんありました。以降、ワイナリーは徐々に畑を増やしていきました。 普通の白ワインとしては見てはいけないベースワインの組み立て 林 収穫の翌年に出来上がった数々のベースワインを試飲して、どのワインがどのキュヴェに適しているかを決める工程があります。この試飲会がまた面白いんです。普通の白ワインとして見たらいけないんです。例えば、ワイン愛好家の方が「このワインがいいと思う」と選択しても全然ダメだと言われてしまいます。彼らは、ワインの中にある骨格、ミネラル感、酸、柔らかさだけを見て、フランチャコルタを組み立てていくのです。 私の選択も全く違っていたので衝撃でした。アドバイスをもらってようやく理解できましたが、彼らはワインの(肉付きではなく)骨の強さやインナーマッスルのニュアンスを見ているんです。「これはサテンのニュアンスだ」「これはエクストラブリュットだ」と、ベースワインの質を見抜き、先を見越して決めています。 毎年投票して決められる各キュヴェブレンド ――ということは、使う畑は毎年違うということですか。 ラウラ 若干変わります。毎年同じ畑を使うこともありますが、ヴィンテージによって個性が全く変わることもあります。毎年、全部飲み直して決めます。そうして、私たちの型通りのフランチャコルタに仕上げていくのです。 ――その試飲会は、お父様と3人でやられるのですか? ラウラ 6人で行います。私とマッテオ、父、母、二人の醸造家のフェデリコとマッシモです。 ――意見が割れたりしないんですか?(笑) ラウラ 時々起こりますね。そのために投票を行います。例えば、今年のサテンはこれだという各自ブレンドしたワインを提示するんです。その6本の中から、どれが一番いいかを投票で決めます。そして、本番のアッセンブラージュに入っていきます。 ――お父様だけ2票持っていることはないんですか?(笑) ラウラ 父の点数は少し重めかもしれないですね…というのは冗談です(笑)。でも、彼が一番経験がありますし「これは絶対にダメだ」となればその通りになります。 |
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コクや旨味、上品さを存分に抽出!
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より多くの酵母が溶け込み上品さを生むピラミッド型ボトル
――ピラミッド型ボトルについてお聞かせください。いつ思いついたのですか。 マッテオ このアイディアは上からパッと降ってきたんです(笑)。2006年頃から考え始めて、設計や耐圧の安全性確保、特許の取得などを行なっていきました。 マッテオ 写真をご覧ください。これが酵母の広がりです。通常の丸い瓶だと酵母が中央に溜まります。一方でピラミッド型にして平面を作ると酵母が広がるんです。ミラノ大学と協力して、ノーマルボトルとピラミッド型ボトルの違いについて研究を行いました。その結果、従来のボトルよりも酵母の溶け込みが多く、味わいにおける多くの数値が上回ることがわかりました。 林 メトドクラシコの良さは、酵母が死滅したあとに自己分解してワインに溶け込み、上品なニュアンスを生むことです。彼のアイディアは、その酵母の溶け込む量に着目して始まったんです。 ――ピラミッド型ボトル開発時のロベルトさんの反応が気になります(笑)。 ラウラ 「おかしいんじゃないか」と言っていました(笑)。今は非常に喜んでますけどね。 ――ピラミッド型特有のルミアージュの仕方はあるのですか? マッテオ 角に酵母が集まらないようにデリケートに傾斜させていきます。具体的な方法については秘密ですよ(笑)。 林 ボトルの開発にあたって相当試行錯誤を繰り返したそうです。いろいろな形も試したそうです。アイディアは誰でも出せますが、実際に開発に至ったことが素晴らしいと思います。 ――ここまでこぎつけたことがすごいですよね。1回見たら忘れられないボトルデザインから、品質や安全性のことまで考えられていて。内緒だというボトルの回し方もそうですし(笑)、全てが考え抜かれています。 林 そうですね。このピラミッド型ボトルは、実は表面的なものではなく、品質の観点から生まれたことを理解していただけると嬉しいです。 マッテオ 最後に一つ付け加えたいことがあります。それはボトルを包んでいる透明の紙についてです。この紙はUVカットの効果があるので、飲まれる寸前まで取らないでいただきたいです。紙に包んだままセラーで保管してください。 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
フェルゲッティーナの代名詞とも言えるピラミッド型ボトルについて、開発者である2代目マッテオさんにお話を聞くと、並々ならぬ試行錯誤と努力があるのだと驚愕しました。
特にボトルの耐圧について。通常の丸ボトルは全体的に圧力がかかるのに対し、ピラミッドの場合は角の部分にとても負荷がかかるのだと言います。実験段階で、ボトルが圧力に耐えきれず連鎖的に全部割れてしまったこともあったそうです。それ以外にも、丸ボトルとの味わいの比較、ルミアージュの仕方等々、想像できないほどの試行錯誤があったのだと感じました。 試飲したワインは、どれも親しみやすさがあり上品な味わいでした。まさにピラミッドボトルによるコクや旨味が引き出されている印象です!特に驚いたのはサテン。非常にクリーミーな口当たり、フルーティでふくよかな骨格がありながら非常に綺麗な味わいでした。とても美味しかったです。 唯一無二のピラミッド型ボトルと匠の技で造るフランチャコルタの最高峰「フェルゲッティーナ」をぜひご堪能ください。 |
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匠の技で造るフランチャコルタの最高峰「フェルゲッティーナ」突撃インタビュー
2023/05/19