2023年5月19日 ミケーレ ベルネッティ氏 Mr. Michele Bernetti
永遠の旨安大賞「カサル ディ セッラ」を生み出したヴェルディッキオのエキスパート!世界一に輝いた偉大な赤「ペラゴ」でマルケの名を轟かせた造り手「ウマニ ロンキ」突撃インタビュー |
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永遠の旨安大賞「カサル ディ セッラ」を筆頭に数々の高品質&コストパフォーマンスに優れたワインを生み出してきた「ウマニ ロンキ」。ヴェルディッキオのエキスパートとしてだけでなく、名醸造家ジャコモ タキス氏とともに造り上げたスーパーマルケ「ペラゴ」が世界的コンクールで最優秀赤ワイン賞を獲得するなど、白ワインのイメージが先行していたマルケ州において、赤ワインの潜在力を世界に知らしめた造り手でもあります。メトドクラシコ、古樹ヴェルディッキオ、北限モンテプルチアーノなど、彼らがマルケとアブルッツォで造るワインは多岐にわたります。今回は新登場ワインを含め、数々のワインを試飲しながら、改めてワイナリーや各ワインについて3代目ミケーレ ベルネッティ氏にお話を聞きました。 | ||||||||||
2つの州にまたがり数々の高品質&超コスパワインを生産!
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マルケ州で3世代続く家族経営ワイナリー
――ミケーレさん、お久しぶりです。何年振りでしょうか。 ミケーレ 何年も前ですね。私はもう髪の色が変わってしまいましたよ(笑)。さて、今日は何の話をしましょうか。 ――ウマニ ロンキのことは多くの方が知っていると思いますが、改めてワイナリーについて説明をお願いします。試飲しながらお話を聞かせていただきますね(笑)。
3つのエリアで多種多様なワインを生産 ミケーレ 両州でビオディナミ栽培を行い、環境と経済におけるサスティナビリティの認証を取得しています。マルケとアブルッツォは州境として区切られていますが、畑が位置するエリアはアドリア海に集中しているので、共通する部分がたくさんあります。畑のエリアは大きく分けて3つです。 ヴェルディッキオの潜在力を示す「カステッリ ディ イエージ」 ミケーレ まずは、主にヴェルディッキオを造るカステッリ ディ イエージ地区。畑の規模は100ヘクタールあります。メトドクラシコ、クラシックなヴェルディッキオ、古樹ヴェルディッキオ、高標高&厳選ヴェルディッキオなど様々なワインを生産しています。 モンテプルチアーノ栽培エリアの北限「コーネロ」 ミケーレ そして、海に近いエリアのコーネロ地区です。モンテプルチアーノを栽培しています。モンテプルチアーノは、アドリア海側のマルケ、アブルッツォ、モリーゼ、プーリアまで栽培される品種です。マルケ州のコーネロ地区はその北限にあたります。それより北に行くとサンジョヴェーゼのエリアになります。 山と海に囲まれたアブルッツォ北部「ロゼート デッリ アブルッツィ」 ミケーレ 最後に、アブルッツォ北部に位置するロゼート デッリ アブルッツィです。モンテプルチアーノ、ペコリーノ、トレッビアーノを栽培しています。このエリアからの眺めは素晴らしいです。背後にはグランサッソという高い山、正面にはアドリア海が広がる美しい場所です。 ヴェルディッキオの畑 |
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ウマニ ロンキの歴史を語る3種のヴェルディッキオ
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ヴェルディッキオの世界に誘う最初の1本「カサル ディ セッラ」
ミケーレ 私たちにとってヴェルディッキオはワイナリーの歴史です。その中でもカサル ディ セッラは、長い歴史を持つ古典的なヴェルディッキオです。ヴェルディッキオの世界に誘う最初の1本と言えるでしょう。優れたコストパフォーマンスも特徴の一つです。 ファーストヴィンテージは1983年。今から40年前ですね。最初は単一畑で造るという私の父の発想で造られましたが、今は2つの畑から選別したブドウを使用しています。 ――お客様から長く愛されれる理由がわかる味わいですね。 ミケーレ ありがとうございます。飲み手の記憶に残るような味わいに仕上げています。あまり香りが強すぎることもなく、心地よい地中海的なワインだと思います。 ――造り始めた40年前と比べて、味の変化はありますか? ミケーレ 一定の味わいを保つようにしています。環境の変化に対応するために畑を改植するなどしています。 誕生から成長を見守ってきた古樹で造る「ヴェッキエ ヴィーニェ」 ミケーレ ヴェルディッキオの階段を一つ登ったのがヴェッキエ ヴィーニェです。受賞歴の多いワインの一つです。『ガンベロロッソ2012』では、2009年ヴィンテージが年間最優秀白ワインを受賞しています。実はもともとカサル ディ セッラの中に畑があったんです。カサル ディ セッラが改植するにあたり一部の高標高の区画を残して、クリュの概念で新しく造ったのがヴェッキエ ヴィーニェです。 古樹なので根が地中深くまで入っていきます。それにより地上の悪影響を受けにくいんです。難しい年でも安定してブドウが成熟し、バランスの良いフレッシュなワインに仕上がります。 ヴェッキエ ヴィーニェを更に厳選!長期熟成ヴェルディッキオ「ヒストリカル」 ミケーレ ヒストリカルをご紹介できるのは大変嬉しいです。私たちの思いが詰まっているワインです。ヴェッキエ ヴィーニェの中でも、より高標高にあるエリアから厳選して造っています。このワインを通して伝えたいことは、品種や畑が持つ長期熟成能力です。 50~60ヶ月ほど熟成させているので、通常よりもかなり遅くリリースする長期熟成ヴェルディッキオです。5年熟成されて変わった姿だけでなく、品種や畑の100%純真な姿も感じていただきたいです。2018年がファーストヴィンテージです。2023年6月初旬を予定しているイタリアでのリリースよりも先に開ける最初の最初の1本ですよ!(2023年5月に取材) アブルッツォで造るトップキュヴェシリーズ「チェントヴィエ」 ミケーレ チェントヴィエは、アブルッツォで造るワインのトップに位置するシリーズです。ペコリーノ100%の白ワイン、モンテプルチアーノ100%のロゼと赤ワインの3種類があります。もともとチェントヴィエとは畑の近くにある村の名前ですが、畑からの眺めが大変素晴らしいのでシリーズ名にも採用しています。 エチケットにはレモンの樹が描かれています。これは、畑近くにあるレモンで、アマルフィ沿岸で見られるものくらい立派なんです。豪雪の時も大きな被害を受けない奇跡みたいな樹なのです。それくらい変わった気候のエリアとも言えますね。 |
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世界ナンバーワンの実績を誇るスーパーマルケ
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名醸造家ジャコモ タキス氏の天才的直感により誕生
カベルネソーヴィニヨンとメルローのボルドー品種で新しいワインを造ろうと思っていた時のことです。80年代後半に植樹したブドウが、ようやく94年になって仕上がったので醸造することになり、みんなでブレンド比率を考えていました。 そこで、タキスが「アイディアがある」と。20種以上ある(ワインが入った)グラスの中から、カベルネソーヴィニヨンとメルロー、そしてモンテプルチアーノを選び、グラス内で混ぜ、「このブレンドが素晴らしい」と提案してきたのです。数あるワインの中から、試飲をしただけで「これを混ぜれば美味しくなる」と判断できるなんて、本当に天才的直感の持ち主だと思いました。 国際的コンクールで初ヴィンテージが三冠達成 ミケーレ もう1つのエピソードは、1997年にロンドンで行われたインターナショナル ワイン チャレンジ(IWC)に参加した時のことです。IWCは当時世界で最も有名な誉れ高いコンクールでした。会場に招待された私と父は、夕食を楽しみながら授賞式を観覧していたんです。 そしたら、イタリアワイン部門の発表になり、「イタリア部門最優秀賞は、ウマニロンキ ペラゴ ロッソ マルケIGT」とアナウンスされたんです。マルケといえば誰もが白ワインだと思うじゃないですか。それにファーストヴィンテージのペラゴ1994年ですよ。驚きましたね。 そして、最後にスパークリング、白、赤といった感じで、ワインカテゴリーごとの受賞ワインの発表が行われました。私たちはもう関係ないと思い、みんなで喋ったり歌ったりして、誰も見向きもしなかったんです。すると、近くにいたポルトガルの生産者が「ヘイ! ペラゴが赤ワイン部門TOP3にノミネートされてるよ!」と教えてくれたんです。しかも、最終的には優勝ですよ! もうとんでもないことが起きたと思いました。 まだ話は続きます。父がその2個目のトロフィーをもらって席に戻ろうとしたら、「お待ちください。もう1つの賞があります」と。「今年のファーストヴィンテージワインのNo.1はペラゴです」と発表され、なんと3つ目の賞となったのです。信じられませんでした。それがイタリアワインで初めていただいた賞でした。 意外な場所で発見されたペラゴのファーストヴィンテージ1994年 ――授賞式が1997年ということは、ミケーレさんは30歳くらいですか? ミケーレ 私は31歳くらいですね。父は60代です。実は、ダイアナ妃の葬儀が行われた3日後の出来事だったんです。何キロにもわたる献花や現地の雰囲気は鮮明に覚えています。受賞後、たくさんの友人から「ペラゴを5カートン欲しい!」といった連絡が来ました。しかし、私たちはすでに売ってしまっていて、その期待には応えられませんでした。その影響で友人が減りましたね(笑)。 その10~15年後に、日本のとあるお得意様を訪ねる機会がありました。「ちょっとこっちに来て」と呼ばれた先には、なんとペラゴの1994年が30カートンくらいあったんです! どこにもなかったペラゴがここにあったのかと驚きました(笑)。 ――買い戻さないとダメですね(笑)。人生における最高の思い出の1つになったんじゃないですか? ミケーレ その通りですね。このように、みなさんが求めるワインを造れたことは素晴らしい経験です。タキスの直感がすごかったと今でも思っていますよ。海のニュアンス、バルサミコのニュアンス、香辛料のニュアンスを上手に引き出してくれました。 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
ラインナップが豊富であることに加え、高品質でコストパフォーマンスに優れるウマニ ロンキのワインはたくさん魅力が詰まっています。もちろん試飲したワインは全て美味しかったです。特に印象的だったのは、3種のヴェルディッキオ(カサル ディ セッラ、ヴェッキエ ヴィーニェ、ヒストリカル)とコーネロ リゼルヴァ カンポ サン ジョルジョでした。
3種のヴェルディッキオはどれもクリーンで美しさがあり、グレードが上がるごとに複雑さと華やかさが増していき大変興味深かったです。そして、コーネロ リゼルヴァはアブルッツォ州のモンテプルチアーノと個性が見事に異なっていました。凝縮感や複雑性がありながら、優しく包み込むようなニュアンスや美しさがあり素晴らしかったです。 ペラゴは別格でした。ミケーレさんの解説とエピソードトーク付きでの試飲は贅沢なものでした。記事にあるようにペラゴには数々の逸話があります。その歴史的なエピソードを当事者であるご本人からお聞きできたことは、大変貴重な機会だったと記事を書きながら思い返していました。 数々のヒットワインを生み出すマルケ州のリーディングワイナリー「ウマニ ロンキ」のワインをぜひお楽しみください。 |
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永遠の旨安大賞「カサル ディ セッラ」を生み出したヴェルディッキオのエキスパート!「ウマニ ロンキ」突撃インタビュー
2023/05/29