トスカーナの白ワイン&国際品種の歴史的名産地「モンテカルロ DOC」を牽引する「ブオナミーコ」突撃インタビュー

2023/07/19
突撃インタビュー
 
2023年6月29日 シルビア ボルタン氏 Ms. Silvia Voltan

トスカーナの白ワイン&国際品種の歴史的名産地「モンテカルロ DOC」を牽引!各品種の個性とミネラル感が際立つワインの造り手「ブオナミーコ」突撃インタビュー

「ブオナミーコ」は、トスカーナ州北部の街ルッカの東にある「モンテカルロ DOC」に拠点を置く家族経営ワイナリー。トスカーナ最小のDOCの一つである同エリアにおいて、100ヘクタールもの土地を所有するモンテカルロ最大の造り手です。モンテカルロは1800年代から国際品種が根付く珍しいエリア。重要な品種としてシラーとピノ ビアンコが挙げられ、彼らが所有する樹齢80年のシラーはトスカーナ最古であると証明されるほど。シラーとサンジョヴェーゼで造られるスプマンテロゼ「パルティコラーレ」をはじめ、ピノビアンコで造られる上級白ワイン「ヴァサリオ」など、彼らのワインはフレッシュでミネラル感溢れる味わいです。今回は海外営業のシルビア ボルタン氏にお話を聞きました。

歴史ある国際品種が根付くトスカーナ白ワインの名産地
「モンテカルロ DOC」の象徴「ブオナミーコ」

100ヘクタール所有するモンテカルロ最大の造り手

――本日はよろしくお願いします。まずはワイナリーの紹介からお願いします。

今日はこのような機会をいただきありがとうございます。ブオナミーコは、トスカーナ北部モンテカルロDOCに拠点を置く家族経営ワイナリーです。1964年にトリノでレストラン経営をする一家が、ブオナミーコという名前でボトリングしたのが始まりです。2008年には有名なオリーブオイルメーカー「サグラ」を手掛けるフォンターナ家が新たにブオナミーコを取得しました。

現在はモンテカルロに100ヘクタールの土地を所有し、半分がブドウ畑、半分がオリーブの樹や森です。このエリアには13の生産者がいますが、その中でも私たちは最も大きく、海外輸出を行う大手の生産者はブオナミーコだけです。

古くから国際品種が根付きイタリアンシャブリと呼ばれていたモンテカルロ

――モンテカルロDOCについて教えてください。

モンテカルロDOCは、トスカーナで最も小さなDOCの一つです。標高は250メートル。山と海に囲まれ、山からの冷涼な風と潮風が吹き、昼夜の寒暖差が大きいエリアです。同地区では国際品種が歴史的に重要な役割を果たしています。これは、およそ3世紀前にジュリオ マニャーニという醸造家がフランスへ赴き品種を多数持ち帰って、モンテカルロに定着させたという歴史と紐づいています。

ピノ ビアンコ、シャルドネ、ヴィオニエ、カベルネ ソーヴィニョン、シラー、ルーサンヌなど多くの品種が植えられ、長い歴史の中で深く根付いたものだけが主要な品種として現在も栽培されています。特に白ワインの名産地として知られるようになり、かつてモンテカルロ ビアンコは“イタリアンシャブリ”と呼ばれていたほどです。

――モンテカルロDOCの許可品種リストには、すごい量の品種が記載されています。

すごい長いリストですよね(笑)。それぞれの生産者が自分たちで選んで造っています。

――モンテカルロDOCを地図で見ると非常に小さいエリアであることがわかります。畑の大多数を占めるのがブオナミーコなのですか?

そうですね。私たちはモンテカルロ最大の生産者です。1ヘクタールの狭い畑で造っている生産者もいて、彼らが手放した畑を私たちが取得して年々拡大しています。

世界的醸造家アルベルト アントニーニ氏を招へい

――フォンターナ家がオーナーになる前から一大ワイナリーだったのですか?

昔からブオナミーコは重要なワイナリーでした。フォンターナ家が取得してからは全面的な改革が行われ、世界的に有名な醸造家アルベルト アントニーニ氏を招へいするなどワインの品質向上をしてきました。

「モンテカルロのテロワール」×「トスカーナの歴史」
各品種の個性とミネラル感が表現された高品質ワイン

トスカーナ最大のスプマンテ生産者ブオナミーコの主力ワイン
“特別”なロゼスプマンテ「パルティコラーレ」

――多くの品種を栽培されていますが、特に重要な品種を教えてください。

特に重要な品種はシラーとピノ ビアンコです。私たちが所有する樹齢80年のシラーは、トスカーナで最古であるという証明がされています。おそらくイタリア全体でも最古だと思いますが、証明がないため断言はできません。それらのブドウは上級シラーに使用しています。

別区画ではありますが、若いシラーとサンジョヴェーゼ50%ずつで造っているのが、ロゼスプマンテ「パルティコラーレ」です。パルティコラーレ(特別、スペシャルの意)という言葉通り、特別な思いを込めて造っているブオナミーコの主力ワインです。実は私たちはトスカーナで最大のスプマンテ生産者なんですよ。

――生産本数はどれくらいですか?

今現在は5種類のスプマンテがあり、今年の生産本数は20万本です。他の州で醸造するトスカーナの造り手もありますが、私たちは一貫して地元で造っています。

――「パルティコラーレ」には、なぜサンジョヴェーゼとシラーを選んだのですか?

シラーはモンテカルロの中でも非常に重要な国際品種です。そして、サンジョヴェーゼはトスカーナを代表する土着品種。両者ともにストラクチャーがありますし、“モンテカルロのテロワール”と“トスカーナの歴史”を表現するために2つの代表的品種を選びました。

モンテカルロの畑に最も適した品種ピノ ビアンコで造る上級キュヴェ「ヴァサリオ」

――上級キュヴェ「ヴァサリオ」は、もう一つの重要な品種ピノ ビアンコで造られています。ピノ ビアンコもまた150年以上も前に植えられたんですよね。

そうです。もちろん当時に植樹されたピノ ビアンコはもうありませんが、モンテカルロに最も適合したのがピノ ビアンコであることは間違いありません。ヴァサリオに使われる畑は3ヘクタールほどで、太陽の光が良く当たる風通しのいい場所にあります。

ピノビアンコはトレンティーノやヴェネト、フリウリなどの北イタリアの産地が有名です。それ以外の場所だとうまく育ちません。しかし、寒暖差が激しく絶妙なミクロクリマを持つモンテカルロの畑とはうまくマッチしたのです。ピノ ビアンコはデリケートな品種なので、今の品質を保つために畑を拡大させるつもりはありません。

夏にピッタリのヴェルメンティーノ「ヴィヴィ」
イタリアンスタイルが表現された「ヴィオニエ」

私たちが所有する畑は全て特徴が異なります。ある部分は砂質、ある部分は粘土質、ある部分は岩が多かったりしますが、どれも共通してミネラルを感じられるのが特徴です。と同時に、各品種が持つ強いアイデンティティを表現しています。

夏のイメージがありフレッシュでポジティブな印象を与えてくれるヴェルメンティーノの「ヴィヴィ」、イタリアンスタイルが感じられるミネラル溢れる「ヴィオニエ」など、ブオナミーコのワインをどんどん広めていきたいです。

今回紹介したのはロゼ スプマンテと白ワインの計4種類ですが、その他にもたくさんのワインを造っています。ぜひ現地にいらっしゃって、モンテカルロの素晴らしさを感じていただきたいです。

 

サンジョヴェーゼとシラーで造る“特別な”フラッグシップ
パルティコラーレ スプマンテ ブリュット ロゼ NV
パルティコラーレ スプマンテ ブリュット ロゼ NV


シルビア氏:
「サンジョヴェーゼとシラーを50%ずつブレンドして造るロゼ スプマンテです。気軽に楽しんでいただくためにシャルマ方式を用いています。パルティコラーレという名の通り、スペシャルな思いが込められた主力ワインです。4ヶ月間の二次発酵を行って、きめの細かくクリーミーな泡を生み出しています。イチゴやバラの香り。包み込むような口当たりで、しっかりとフレッシュさが保たれているので非常に飲みやすく、食事との相性もいいスパークリングです。残糖値が1リットルあたり8gあるので、やや甘さを感じる味わいです」
試飲コメント:玉ねぎの皮色。グラスに注ぐと華やかなアロマが広がります。イチゴなどの赤い果実、シナモンのような甘いニュアンスの香り。口に含むと柔らかくクリーミーな泡が口中を覆います。フレッシュな酸とミネラル感が際立っていますが、香りで感じたような甘いニュアンスと綺麗に溶け合っています。時間が経つと黒い果実の風味も現れます。

夏にピッタリな華やかでフレッシュなヴェルメンティーノ
ヴィヴィ ヴェルメンティーノ 2021
ヴィヴィ ヴェルメンティーノ 2021


シルビア氏:
「名前はモンテカルロの古い呼び名であるヴィヴィから取っています。私たちにとってヴェルメンティーノは夏のイメージです。海に近いですし、フレッシュでポジティブな印象を与えてくれるワインです。ステンレスタンクだけで熟成してフレッシュさを出しています。ややアロマティックな香りがあり、ミネラル感や酸が突出しすぎることもありません。柑橘系のニュアンスもあってフレッシュに楽しめる味わいですね。同時にアルコール度数もあるので、しっかりとした印象もあります」
試飲コメント:輝く麦わら色。白い花やハチミツのニュアンスを感じる華やかでアロマティックな香り。口当たりはとても柔らかく丸みを帯びた味わい。香り同様の要素に加えて塩味のあるミネラル感が存在感を放っています。全ての風味がバランスよく均衡のとれた味わい。

骨格とミネラル感にあふれる力強く洗練されたヴィオニエ
ヴィオニエ 2019
ヴィオニエ 2019


シルビア氏:
「ラベルに記載されたMIOという名前は、ミネラル、力強さ(インテンシタ)、オリジナルという意味が込められています。ヴィオニエ100%で造っていますが、フランスだとしっかりしたものが多い中、私たちはイタリア風にミネラルをしっかり感じるスタイルに仕上げています。トスカーナでも100%のヴィオニエはなかなかありません。そういう意味で、私たちにとって思い入れのあるワインです。フレッシュさを保つためにステンレスタンクのみの醸造です。全体的な風味にはトロピカルフルーツやお花のニュアンスがあります。ヴェルメンティーノと比べると、しっかりした骨格があります。熟した果実を感じるワインです」
試飲コメント:黄金に近い濃い麦わら色。パイナップルなどの南国果実、ミネラル、白い花、ハチミツ、果肉がぎっしり詰まった果実を感じるリッチで洗練された香り。ふくよかでまろやかな口当たりで、柑橘系や南国果実、杏などの力強く洗練されたクリーンな味わいがあります。蜜のような熟した果実の余韻が長く持続します。

シルクのような舌触りで複雑な風味!ブオナミーコ唯一の木樽熟成で造る白
ヴァサリオ 2018
ヴァサリオ 2018


シルビア氏:
「ヴァサリオは私たちが唯一木樽で熟成させる白ワインです。樹齢40年のピノビアンコをフランス産のトノーで8ヶ月間熟成して造っています。畑はそこまで大きくないので、年間生産量は6000本です。バナナなどのトロピカル感のある複雑な香りです。もちろん樽のニュアンスもあります。しっかりとしたストラクチャーがあって、シルクのような舌触りでまろやかな味わいです。その中にミネラルが感じられます」
試飲コメント:輝く麦わら色。果実感たっぷりのジューシーで洗練された香り。口当たりはまろやかで、ミネラル感と鋭い酸が特徴的。バナナやパイナップルなどの南国果実の風味があり、後味に甘やかなスパイスを感じます。最初に感じた酸が細く長く持続する綺麗な余韻。
インタビューを終えて
ブオナミーコが造るワインは、まさに夏に最適だと感じました。

どれもミネラル感に溢れていてフレッシュ。特に白ワインのヴィオニエとヴァサリオは南国果実の要素がありますが、酸も綺麗で決して暑さを感じることなく洗練されたトロピカル感といった印象です。蜜のような凝縮したニュアンスとクリーンな風味が綺麗に溶け合っていました。

トスカーナ最古のシラーを所有していることに驚きましたし、そのシラーで造られる上級キュヴェが大変気になりました。別区画のシラーではありますが、サンジョヴェーゼとブレンドして造られるロゼスプマンテも非常に美味でした。シーンを問わない親しみやすさと優れたバランスがありました。

トスカーナの白ワイン&国際品種の歴史的名産地モンテカルロを牽引する「ブオナミーコ」のワインをぜひお楽しみください。

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