イタリア7州でハイコスパなワインを生産するファンティーニ社創業者ヴァレンティーノ氏突撃インタビュー

2023/11/30

2023/10/10

ヴァレンティーノ ショッティ氏 Mr. Valentino Sciotti
アレッシア ショッティ氏 Ms. Alessia Sciotti

ゼロから始めて約30年!栽培農家と生産地とともに発展する持続可能なビジネスモデルを確立!イタリア7州でハイコスパなワインを生産するファンティーニ社創業者ヴァレンティーノ氏突撃インタビュー

アブルッツォを本拠地とするファンティーニ(旧ファルネーゼ)は1994年の設立からわずか10年足らずの短い間でイタリアのトップ生産者へと成長し、そのコストパフォーマンスの高さで国際的にも高い評価を獲得しています。

今回は、そんなファンティーニ創設者のひとり、代表のヴァレンティーノ ショッティ氏とご息女のアレッシア ショッティ氏にお越しいただき、イタリア各地で造られるトップキュヴェを一緒に試飲させていただきました!

ヴァレンティーノ氏とは7年ぶりの再会。設立当時から最近のお話までを通じて、ファンティーニグループのワイン造りにかける情熱と哲学を存分に伺いました。

「情熱と経験はある、けれどお金は全くのゼロ」

3人の男たちが造った無名のワインがロバート パーカーを驚かせる

――創設者である3人はどのようにして集まったのですか?アブルッツォの協同組合で販売責任者をしていたヴァレンティーノさん、ロンドンでイタリアンレストランを経営していたカミッロさん、代々エノロゴの家系でご自身もピエモンテでエノロゴを務めていたフィリッポさん、皆さん違うお仕事をされていたと思います。

ある日、カミッロが私の働いているところにやってきて、「自分のワインを造りたいのだけれど、どうしたらいいだろうか?」と相談がありました。その時、もともと私の知り合いで、エノロゴとして優秀なフィリッポに声をかけ、私たち3人は揃いました。当時、私は33歳、フィリッポは30歳、カミッロが58歳くらいだったと思います。

私は、単なるひとつのワイナリー、という形ではなく、「大きなブティック ワイナリー」を作りたいという夢を始めから抱いていました。ただ、それぞれ情熱と経験はありましたが、十分な資金はなかったものだから周りの人たちからは「スリードリーマーズ(ただ夢見てる3人)」なんて呼ばれることもありました。

――ゼロから始めて、最初に手ごたえを掴み始めたのはいつ頃でしたか?

すぐにです(笑)。
お金が本当になかったものだから、アブルッツォのあるカンティーナを訪ねて「ここでワインを造らせてください」とお願いして、優れたブドウを生み出す農家と契約してできたブドウを持ち込み、まずトレッビアーノ、モンテプルチアーノ、サンジョヴェーゼからワインを造りました。バリックも買えないくらいでしたが、すぐに凄いことになるぞと感じていました。

初年度から25万本生産したのですが、私たちがとてもラッキーだったのは、その年にロバート パーカーがサンフランシスコのレストランで私たちのワインを飲んでくれて「これは世界でナンバーワンのコストパフォーマンスワインだ!」と記事にしてくれたのです。もちろん、その時私たちの名前は誰にも知られていなかったので、「何者だ」という話になりました。

その記事がきっかけになって、ロバート パーカーと同じく、第一線のワイン評論家だったヒュー ジョンソンが私たちを訪ねてきてくれて、後にエディツィオーネを造るきっかけを与えてくれました。本当にすべてここから始まったと言えます。

その後カサーレヴェッキオを96年に初リリース、97年にオピ、2000年に99年ヴィンテージのエディツィオーネをリリースしました。最初はバリックも買えなかった私たちですが、これらのワインを販売したお金でやっとバリックを買うことができるようになりました。

ヴァレンティーノ氏自ら赴く素晴らしい畑を探す旅
小規模農家との長期契約で高品質なブドウをつくる

――ファンティーニと契約農家との関わりについて詳しく教えてください。

アブルッツォでは400軒以上の農家と10年単位で契約しています。どこも1〜2.5ヘクタールと小規模ですが、この畑の広さが丁寧な管理と迅速な仕事をするためにとても重要です。

私たちはこうした小さな農家と取り組むことで、手作業の職人技から生まれる高品質なブドウを手に入れることができています。大きな畑で工業的に造られるブドウとは当然品質に大きな差が生まれます。また契約は長期で、そして(一般的に行われるように)ブドウの重量に支払いをするのではなく、畑の面積に対して支払いをします。こうすることで農家はいたずらに収量を増やそうとせず、適切に余分な房を間引き、私たちの求める凝縮したブドウを造ろうとしてくれるのです。

ファンティーニ グループの23人のエノロゴたちも彼らをサポートします。彼らは全ての畑に関わり「この畑からはこれだけ収穫しよう。何房だけ残そう。」と細かに指示を出していきます。農家も求められていることが量ではなく、凝縮された質の高いブドウを造ることだとよく理解しているので、熱心に働いてくれます。

プーリアで見つけた一台のチンクエ チェントから始まった
エディツィオーネ誕生の裏側

――ヴァレンティーノさんにとって「美味しいブドウ」とは?

美味しいブドウの条件は、「自然な方法で造られたもの」、そして「ブドウそのものの味がワインを飲んだ時にすること」です。目隠しをして食べたり、飲んだりしてみて、素材そのものの味がしないのは違うと思います。

そして、そうしたブドウを実らせてくれる、樹齢の高い樹、畑を私たちは探し続けてきました。100年の畑を今から自分たちで造ろうとしたら、当然100年待たないといけません。けれど、代々続いている農家の人たちと出会うことができるなら、すぐにそういった素晴らしい畑を得ることができます。

私がエディツィオーネを造るための素晴らしい畑を探して90年代の終わり頃にプーリアを訪れたとき、目の前をイタリアで半世紀以上にわたって愛されている自動車、フィアットのチンクエ チェントでブドウを運ぶある老人に出会いました。思わず「なぜトラックを使わないのですか?」と声をかけると、「私の畑の樹は100歳を超えていてみんな欲しがらない。だから私は貧しいし、こうするしかないんだ。」と話してくれました。「どうしてお宅のブドウでワインを造ろうという人がいないのか?」と聞くと、「100歳以上の樹で出来たブドウは初めからこんな(黒くてしわしわ)状態なんだ。普通なら100kgから70リットルは取れるのに、このブドウでは35リットルにしかならないからね。」というのです。

(画像:ブドウを運ぶチンクエ チェント)

(画像:高樹齢なプリミティーヴォの樹)

私は「量は通常の半分しか出来ないかもしれないけど、香りも、味わいも、色の濃さも、ふつうのブドウの2倍はいい出来になってるよ!」と伝えたうえで、他の方の2倍の価格で買うから、普段いくらで売っているのか教えてくれと聞きました。

すると、買ってもらえたとしてもたったの30ユーロくらいだというのです。

翌年、私たちはそのブドウを180ユーロ、それまでの6倍以上の価格で購入しました。こういうことを積み重ねているうちに、いい樹と畑が段々増えていき、自分たちのワインを造ることができるようになってきたのです。

――おじいさんは相当驚いたのではないですか?(笑)

その場で引き留めて価格の話をしたとき、隣にいた奥さんと「あなたそれ騙されてるわよ!」なんて話していました(笑)。

私はお金はすぐに払うからと約束し、他にもあなたみたいに樹齢の高い樹を持った知り合いがいたら紹介してほしいとお願いをしました。その結果、知らない土地でも素晴らしい農家の方々と出会うことができました。エディツィオーネに使われる5品種の内、1品種がここで得たブドウです。

いまそのおじいさんの畑は、もともとは継ぐつもりのなかった彼の息子が引き継いで、ブドウを育ててくれています。

ワインを造る上で大事にしていることの一つが、私たちだけではなく、ワイン造りに関わってくれている全員がしっかりとお金を稼げるようになることです。そうでないと持続可能ではありません。農家は生活のために土地を売る必要もなく、逆にその土地を持ち続けてお金を稼ぐことができるようになります。自分たちのビジネスは、手掛ける土地の人々と一緒に発展する、そういうビジネスモデルになっています。

そしてそれは、実際に私たちが関わる全ての地域で実現できていると思います。

本拠地アブルッツォに構える自社畑はグループの実験畑

――アブルッツォには自社畑もありますね。今後自社畑を広げていく展開もあるのでしょうか?

自社畑を増やすことは考えていません。なぜアブルッツォの3か所の畑を購入したかというと、アブルッツォの中でもとりわけ素晴らしい畑だったからです。一方の契約農家は基本的には10年単位の契約になるので、そちらもどんどん増やしていくというつもりはありません。

自社畑は「実験畑」の役割もあります。ここでうまくいったことは、契約農家に還元していきます。この写真を見てください。

これは地中深くまでちゃんと根が伸びているか、根の周りの土の様子はどうかを確認しています。植えたばかりの若い樹は何もしなければ横にどんどん伸びてしまうので、そうした根をナイフで切って、下へ下へ根を生やしていくように誘導します。根を切った直後の樹は全く実をつけないのですが、何年か経つととてもいいブドウを実らせてくれます。

地中深くまで根を張らすことがなぜ重要かというと、雨がたくさん降ったとき、その水は地表から5cm〜10cmのところに溜まります。もし根が縦ではなく横に伸びていると、それらの水分を吸いすぎてしまい、収穫の頃には薄いブドウの皮が爆発してしまいます。逆に乾燥した年でも、根が縦に伸びていれば地中深くの水分を変わらずに吸収することができます。

また地表付近には他の草花も生えてきます。当然、深く根を張れば張るほど、他の植物と栄養を取り合うことなく、よく育つのです。深く根を張ることで、天候に左右されにくくなるのです。

――まさに研究者ですね。

私たちが各地で樹齢が高く、条件の整ったいい畑を探して回るとき、もともといいブドウができている(がその価値に気づいていない)場合もありますが、そうでない場合もあります。そうなればエノロゴたちの出番です。他のワイナリーだったらひとりかふたりくらいしかエノロゴはいませんが、ファンティーニには23人のエノロゴがいます。彼らが畑のすぐそばにいてくれて、細かいところまでチェックすることで品質が管理されています。

(画像:ファンティーニ グループのエノロゴ)

彼らは若いエノロゴですが、大学をしっかり学んで卒業し、その後4年間は気候や土壌の異なる地域で経験を積んでもらうことで短期間で成長してもらっています。

研究と発展を繰り返すことがさらによいものを造ることに繋がります。収穫は1年に一度しかありませんが、私たちは30リットル〜60リットルの小さな醸造設備を60個設けて、1年間に60回分の試行錯誤をできるようにしています。収穫時期の早い遅い、醸造温度の高い低い、土壌ごとの違い、樹齢の新旧、などなど様々なパターンでどれが最良なのかを模索し続けています。

繰り返しになりますが「情熱と経験で偉大なワインを造る」のです。あとひとつ、何より大事なのが自然ですね。目の前に存在している自然をリスペクトし、どのようにアプローチすれば最大限の成果を引き出せるのかということを考えます。

美味しいワイン造るためには、情熱、知識と経験、そしてこのブドウがいったいどうやってできているのかを理解することがとても大事なのです。

アブルッツォに留まらないワイン造りへの挑戦
各地で追及するファンティーニ スタイル

――この10年アブルッツォ以外にもイタリアの6州(プーリア、バジリカータ、カンパーニャ、シチリア、トスカーナ、サルデーニャ)、そしてスペインと積極的に進出なされてきましたね。特にトスカーナは、これまでの南イタリアらしいワインとはスタイルが異なる土地だと思いますが、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

トスカーナは他のエリアで小規模農家や協同組合と契約する方法ではなく、10世紀まで遡る非常に長い歴史のある造り手であるロセッティ家と共同で「テヌーテ ロセッティ」を経営しています。ロセッティ家はキャンティ地区に拠点があり、もともとはバルクワインの分野で成功を収めていました。地元のローカルワイナリーが自分たちのワインをより良いものにしたい時に頼るような、そんな存在です。自分たちの名前ではワインを出していなかったために、本当に限られた人たちの間でのみ品質の高い造り手として名前が知られていました。

ところがある日「まだ世の中に見つかっていない美味しいワインを探す」という趣旨のテレビ番組の取材が入った時、取材に来たテレビマンがオーナーであるロセッティと知り合いだったということもあって、今話したようなことを気軽くおしゃべりしてしまったのです。するとそのままの内容で放送されてしまって、今までバルクワインを買っていた地元の生産者たちが「よくもテレビで話してくれたな!もうお前のところからは買うものか!」と怒ってしまったのです。

そうしてバルク売りから自分たちでワインを販売することを迫られるのですが、美味しいワインが造れても、販路がなければどうしようもありません。ロセッティ家の現オーナーと私はスキー仲間だったので、その話を聞いたときに、カンティーナもしっかりしているし、販路開拓なら私たちがサポート出来るということで資本提携をして一緒に取り組むことに決めました。

テヌーテ ロセッティの自社畑は150ヘクタールほどで、95%がキャンティ、5%がボルゲリエリアに位置しています。ファンティーニのヘッド エノロゴであるフィリッポがここのワインをとても気に入り、エディツィオーネ以外で唯一、定年退職後の今もテヌーテ ロセッティのワイン造りに関わっています。だから、栽培や醸造についても私たちのノウハウを共有しています。例えばキャンティのサンジョヴェーゼは、なんて酸っぱくて軽いのかと思うわけですが、私たちの経験が教えてくれるのは、収穫を遅くすることによって色がしっかり出て、果実味が豊かになり、タンニンもまろやかになるということです。そうやってファンティーニスタイルのトスカーナ ワインを仕上げていきます。

では試飲を始めましょうか。

サルデーニャ「アッツェイ」で手掛ける樹齢60~80年のモニカ主体の濃厚赤
アル モニカ イゾラ デイ ヌラーギ
アル モニカ イゾラ デイ ヌラーギ

ヴァレンティーノ氏:
サルディーニャと言えば、多くの人が「カンノナウの島」と言いますが、モニカも素晴らしいブドウです。実はサルディーニャでワインを造り始めた当初は古い樹齢のカンノナウを使って色々試していたのですが、中々思うような味が出せなかった。試行錯誤を繰り返す内にいきついたのがモニカの畑でした。

すごくリッチで、果実味が豊か。ストラクチャーがしっかりしていて、長期熟成のポテンシャルも感じさせてくれる。余韻もとても長い。しっかりとしたタンニンがあるのに堅苦しくなく、どんな料理にも合わせやすいのが魅力です。

試飲コメント:ガーネットを帯びた濃いルビーレッド。ブラックベリーの凝縮したフレーバーに、タバコやスモーキーなスパイスの要素が混ざり合います。骨格はしっかりとありつつしなやかでスムーズなタンニン。
シチリア「サブ」の厳選畑のネロダーヴォラから生まれる赤
インパリ
インパリ

ヴァレンティーノ氏:
インパリとは「比較できない」と言う意味の言葉で、特によいネロダーヴォラができる限定区画のブドウだけを選別します。畑はアグリジェント県とパレルモ県、トラパニ県がちょうど重なる丘陵地にあり、周りをすべて山に囲まれている、シチリアの中でも特に汚染のないエリアです。標高は場所によっては700~800mに達し、日当たりのいい、条件に恵まれた場所に位置しています。

ネロダーヴォラを主体に10%前後ネレッロ マスカレーゼを使用しています。ネロダーヴォラは適度なスパイシーさに果実味があって、複雑さも兼ね備えています。

試飲コメント:濃いルビーレッド。スパイスの香りとブルーベリー、そしてラズベリーの様な赤い果実のアロマがあります。しっかりとした骨格、タンニンは穏やかで持続力がある。
煌くようなボルドーブレンド、甘い果実味の樽熟赤
リンダ ボルゲリ
リンダ ボルゲリ

ヴァレンティーノ:
「リンダ ボルゲリ」のリンダは先に話したロセッティの妹の名前です。アメリカンバリックを80%使用して熟成させます。樹はアメリカ産ですがバリックはフランスでかけます。フレンチオークの若い樹はどうしても青っぽさが出てしまいますが、この方法ならその心配もなく、かつ適度なトースト香のあるエレガントなスタイルに仕上がります。

ファンティーニのヘッド エノロゴであるフィリッポが関わるこのワインは、香りも味わいも全体的にエレガント。ストラクチャーもしっかりしていて、まさにファンティーニスタイルのボルゲリです。ぜひお楽しみください。

試飲コメント:濃いルビーレッド。熟した赤い果実のエレガントなアロマの中に、程よいバニラの要素が感じられます。熟したチェリーやプラムを思わせる甘い果実味と樽の香ばしい要素が上手に混ざり合います。
ファルネーゼ最上級のモンテプルチアーノ リゼルヴァ
オピ モンテプルチアーノ ダブルッツォ コッリーネ テラマーネ リゼルヴァ
オピ モンテプルチアーノ ダブルッツォ コッリーネ テラマーネ リゼルヴァ

ヴァレンティーノ氏:
DOCGコッリーネ テラマーネの最高区画の中から、さらに厳選したブドウのみでつくるワインです。放っておけば1本の樹から20房は出来るところ、最終的には3~5房のみ残すようにします。

モンテプルチャーノ100%。色がとても豊かです。一般にワインの色の大部分は果皮から来ていますが、オピに使われるモンテプルチアーノは果肉まで真っ赤です。2014年ヴィンテージで9年の熟成。香りも味わいもとても素晴らしい果実らしさがあり、凄く控え目に樽のテイストがありますが、果実の要素を隠してしまうことはしません。ぜひ香りを強く吸い込んで、果実の香りを堪能してください。

試飲コメント:すみれ、ブラックベリーをクラッシュした様なボリュームある果実の香り。モンテプルチアーノらしい果実味の凝縮した豊かさ、樽の風味と充分なタンニンに加え、ほのかな甘さが感じられます。
真の偉大なワインを造るため州を越えて5つの最高のブドウをセレクト
エディツィオーネ チンクエ アウトークトニ No.21 NV
エディツィオーネ チンクエ アウトークトニ No.21 NV

ヴァレンティーノ氏:
ワイン評論家のヒュー ジョンソンが90年代に初めてワイナリーを訪ねてきたとき「南イタリアの土着品種で、なぜスーパータスカンのようなワインを造らないのか。北イタリアは寒いから古い樹齢の樹は中々ないけれど、南イタリアは気候も暖かくて古い樹齢の樹もたくさんある。ブドウの成熟度も高い。きっと高い複雑さを備えたワインが造れるよ。」と話してくれたのです。そして、その助言を基に生まれたのがエディツィオーネです。

目隠しをしていても、南イタリアのカロリーを感じられるワイン。かつ、南イタリアの土着品種をブレンドすることによってより爆発的に広がっていくワインです。

試飲コメント:モンテプルチアーノ、プリミティーヴォ、サンジョヴェーゼを主体にネグロアマーロ、マルヴァジア ネーラをブレンド。サクランボやプラム、タバコ、香ばしいトーストが混ざり合い香りに重厚感があります。ベルベットの様に滑らかなタンニン、バニラとチョコレートのスパイシーな風味。
ファルネーゼ創設者3人の功績を讃える最上級キュヴェ・アパッシメント100%モンテプルチアーノ
スリー ドリーマーズ
スリー ドリーマーズ

ヴァレンティーノ氏:
モンテプルチアーノというブドウ自体が元来果実味溢れるものですが、そこにアパッシメントという手法を加えることによってモンテプルチアーノの奥深さを更に突き詰めたワインです。

ブドウを乾燥させることで40%の水分がなくなり、アロマや色合い、味わいの深さが残された60%の部分に凝縮されます。100%新樽バリックを使用しますが、その木のニュアンスは非常にデリケートで清潔な味わいです。100%陰干しで、まさしくアマローネですが、モンテプルチアーノはアマローネやヴァルポリチェッラにはないものなので、唯一のワインと言えます。

試飲コメント:紫がかった濃いルビーレッド。干しブドウやブラックベリーの熟した果実のアロマに加えシナモンやダークチョコレート、かすかにバニラのニュアンスが感じられます。しなやかなタンニンと心地よい酸のバランスも良く、非常にリッチで厚みのあるワインです。

インタビューを終えて

イタリアを代表するブティックワイナリーであるファンティーニ。カサーレヴェッキオをはじめ1,000円~2,000円台から満足感のあるワインを造り出すファンティーニ グループの裏側には、徹底したブドウ栽培へのこだわりと、それを持続可能なものにするビジネスモデル、創業者の哲学がありました。イタリア各地で展開するワイナリーのトップキュヴェも「収量制限によるブドウの凝縮」「畑の区画管理とその中での厳選」「アパッシメント」など、どれも手間もコストもかかる手法を用いてこだわり抜いた、素晴らしく凝縮されたリッチなワインでした。お話を聞いてから改めて値段を確認すると、そのこだわりからは信じられない程お手頃な価格でリリースされています。

一風変わったトスカーナ進出の経緯も今回初めて伺いました。「リンダ ボルゲリ」はまさに「ファンティーニ スタイルのボルゲリ」で、ファンティーニを飲み慣れている方にも、そうでない方にもぜひ試していただきたい1本です。

ヴァレンティーノ氏率いるファンティーニ グループの「情熱と経験によって造る偉大なワイン」をぜひ皆様もお手に取り、お楽しみください!