2023年9月28日 マリナ ツヴェティッチ氏 Ms. Marina Cvetic
一代で畑を300haまで拡大させたアブルッツォの開拓者!全4県60区画の畑で世界トップレベルの土着品種&国際品種を造り出す「マシャレッリ」突撃インタビュー |
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「マシャレッリ」は、1981年にアブルッツォ州サンマルティーノ スッラ マルチーナで創業した家族経営ワイナリーです。当時無名だった地元アブルッツォの可能性を信じ続けた創業者、故ジャンニ マシャレッリ氏により、モンテプルチアーノやトレッビアーノの偉大さを世界に知らしめた造り手です。創業時2.5ヘクタールだった所有畑は、今や300ヘクタールまで拡大させています。そして、日常的に楽しめるクラシックラインから最上級キュヴェまで、数々のワインが世界的に高い評価を得るまでに至りました。現在は、ジャンニ氏の意志を受け継ぐ妻のマリナ ツヴェティッチ氏と長女がワイナリーを運営し、ワイン生産に加え、ワインツーリズムや文化事業にも努めています。今回は当主マリナ氏をお迎えしてお話を聞きました。 | ||||||||||
創業当初の2.5haの畑が今や300haにまで拡大!
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――マリナさん、本日はよろしくお願いします。ちょうど1年前にもお話を聞きましたが、改めてマシャレッリについて解説をお願いします。
マリナ マシャレッリは1981年に創業したアブルッツォ州のワイナリーです。創業40年の若いワイナリーと言えますね。マシャレッリ家は代々アブルッツォで農業を営んでいましたが、ジャンニ マシャレッリが本格的なワイン造りへと舵を切り、ワイン生産者としての歴史が始まりました。まだアブルッツォで高品質ワインが生まれると思われていなかった時代でした。 ワイナリーの場所は、キエーティ県サンマルティーノ スッラ マルチーナです。ちょうど海と山の中央に位置しています。現在は州内に3箇所の醸造所を構え、合計300ヘクタールの畑でワインを生産しています。 ――創業当時の畑は何ヘクタールだったのですか? マリナ 2.5ヘクタールでした。以降、毎年畑を取得し続けて今に至ります。 人生を変えた創業者ジャンニ氏との出会い ――2.5から300はすごいですね。マリナさんとジャンニさんの出会いについても教えてください。 マリナ 1988年、私が20歳の時に故郷クロアチアの海で知り合いました。彼は知的で自分自身のアイデンティティをしっかり持つとても魅力的な人でした。実は、私の祖父もワインを造っていて、私は5歳の頃から樽の移し替えの手伝いをよくしていたんです。木の香りや樽が並ぶセラーが大好きでした。そういったこともあり、彼のような(ワイン造りをしている)人と出会った瞬間に「これが私の人生だ!」と、すぐに惹きつけられました(笑)。 ジャンニ氏の意志を受け継ぎワイナリー事業を拡大 ――そうだったんですね(笑)。現在は、マリナさんと娘さんのお二人がワイナリーを運営してらっしゃるのですか? マリナ そうです。私と長女が運営しています。彼女がワイナリーで働き始めてからもう10年になりますね。彼女はアートプロジェクトにも携わっています。彼女と同じ若い世代のアーティストに、マシャレッリ所有のセミヴィーコリ城に宿泊してもらい、インスパイア作品を制作するというプロジェクトです。今日試飲する(トップキュヴェの)ヴィッラ ジェンマは彼らが作った特別ラベルですね。 マリナ ジャンニは、ワイナリーに人々を招きマシャレッリについて理解してもらうことを重要視していました。そのため、私たちはセミヴィーコリ城でワインツーリズムを提供しています。宿泊施設、レストラン、ジム、プール、結婚式場を兼ねた教会があり、マシャレッリを存分に堪能していただけます。以前、坂本龍一さんをお呼びして音楽祭をしたこともありました。チケットは即完売でした。 特に城から見える星空がとても綺麗なんです。天文観光ネットワークという機関から最高評価もいただくほど、空気が澄んでいて素晴らしい場所です(“イタリアで最も美しい星空”と評価)。私たち家族は長い間この星空を見守っています。全世界でも、このような活動をしているワイナリーは私たちだけではないでしょうか。ぜひ、みなさんもいらしてくださいね。 |
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アブルッツォ州全4県に合計60区画もの畑を所有
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森、アペニン山脈、アドリア海の影響を受けるミクロクリマ
――所有畑について教えてください。 マリナ まず、アブルッツォは山と海が共存する場所です。何世紀にも渡り、地層が積み重なって様々な土壌が形成されています。州の70%を占める森、グランサッソやマイエッラが連なるアペニン山脈、アドリア海の影響を受けるミクロクリマがあります。私たちは、その山と海の中間地点である国立公園近くに拠点を置き、アブルッツォの全4県に畑を所有しています。 土壌の個性、天候が異なる4県の畑 マリナ キエーティ、ペスカーラ、テーラモ、ラクイラ。4県の畑はそれぞれ特徴が異なります。拠点を置くキエーティは、粘土や石灰岩に加えて海由来の貝殻成分を含んだ土壌。ペスカーラは、粘土質層が何層も重なっている土壌です。テーラモの畑は海から5キロの距離で典型的な粘土質土壌。ラクイラは、主に石灰土で粘土や岩が混ざる土壌。どの畑も生物多様性に富んでおり、エリアごとに狼などの野生動物が生息しています。 中にはワイナリーから約100キロ離れた畑もあるので、収穫時期が異なります。海側は早く、山側は遅くなります。輸送費はかかりますが、悪天候による被害リスクを分散できるメリットがあります。 60個の小区画が9つの村に点在しているので、州内を右往左往しながら作業しなければなりません(笑)。移動に2~3時間かかりますし、天候も違うので大変です。山のエリアだと、7月は40度くらい気温が上がり、8月の夜でも10度まで下がります。その寒暖差は畑にとって非常に良いことですが、人間にとっては厳しいですね(笑)。しかし、その点在する多種多様な畑が私たちの財産なのです。 |
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デイリーから最高峰モンテプルチアーノまで!
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カジュアルに楽しめるデイリーに最適な「クラシックライン」
マリナ マシャレッリは合計22種のワインがあり、複数のラインがあります。ステンレスタンクのみで発酵、熟成を行っているカジュアルに楽しめるデイリーワインが「クラシックライン」にあたります。他のワインと比べると、よりシンプルでごくごく飲めるようなワインですね。 単一品種を木樽熟成で造る上級ライン「マリナ ツヴェティッチ」 マリナ そして、私の名前でもある「マリナ ツヴェティッチ」では6種のワインを生産しています。全てフレンチ―クの木樽熟成で、土着品種のトレッビアーノやモンテプルチアーノ、国際品種のシャルドネやメルローなどを単一品種で造っています。 ――それらのワインをジャンニさんが造り上げた後、マリナさんご自身の名前をつけると決められた時はどう思いましたか? マリナ 個人的にはすごく嬉しかったですが、そんなことが起こるとは想像もしていませんでした。 「本来であれば今の2倍の値段にしないといけないワインなんです(笑)」 ――1年前にマリナ ツヴェティッチのメルローを試飲して、素晴らしいクオリティに驚いたことを覚えています。 マリナ ありがとうございます。このメルローは非常に寒暖差がある畑で育っています。冬はマイナス15度に達することもあるくらいです。気候条件が厳しく、1ヘクタール当たりの収穫量も最大で40キンタルしかないので、本来であれば今の2倍の値段にしないといけないワインなんです(笑)。 ――そうなんですね。ところで、銀座のイタリアンレストラン「リストランテ クロディーノ」のオーナーソムリエ黒田さんは、このメルローを体調管理の基準としているそうです。毎日試飲をし、味に異常があれば自身の具合もおかしいのだと。(最近はシャルドネも基準にされているとのこと) マリナ 素晴らしいですね。Cardiogram(健康管理アプリ)のようなものですね(笑)。 40年以上も熟成可能な最高峰モンテプルチアーノ「ヴィッラ ジェンマ」 マリナ ヴィッラ ジェンマは私たちにとって最も重要で、世界的にも大変評価されているワインです。本拠地にある1ヘクタール9000本くらい密植した単一畑で造られています。フランス産バリックの新樽100%で12ヶ月熟成したあと瓶内熟成してリリースされます。 長期熟成ポテンシャルを秘めていて、ゆっくり時間をかけて熟成していきます。ヴィンテージによって個性が異なるため、古いヴィンテージより先に若いヴィンテージがリリースされることもあります。イタリアワインは常に料理と楽しめるものですが、ヴィッラ ジェンマは、瞑想ワインとしてもお勧めです。 ――どれくらいの期間、寝かせて楽しめるものですか? マリナ それはもう40年くらいですね(笑)。時間が経つごとに、力強さと濃厚さがエレガンスに変わっていき、優しい味わいが現れてきます。マシャレッリでは、5つの古いヴィンテージを垂直試飲できるセットも提供しているんですよ。 200年のフレンチオーク樽を使用して造られる新ワイン「ボッテ ディ ジャンニ」 マリナ ボッテ ディ ジャンニというおとぎ話のような新しいワインもあります。とある日、私はガレージで600個もの空の樽を見つけたんです。それは、ジャンニが遺した200年ものである証明がされた400リットルのフレンチオーク樽でした。とても珍しい高価な樽です。 この樽を一体どうすればいいだろうかと友人に相談したところ、その樽を使って「ヴィッラ ジェンマ」と「マリナ ツヴェティッチ トレッビアーノ」のブドウをさらに厳選してワインを造ろうとなりました。最初は市場には出さず、友人など身内へのプレゼント用として造っていました。30ヶ月間ゆっくりと熟成させています。400本ほどしか造れない希少で特別なワインなので、日本の真珠のような存在ですね(笑)。 |
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■インタビューを終えて | ||||||||||
マシャレッリのワインは、力強く凝縮感に溢れながらも綺麗で洗練されています。それはどこか、凛々しさと柔和な一面を併せ持つマリナさんらしさが表れているように感じました。その特徴が顕著に表れていたのが、自身の名を冠した「マリナ ツヴェティッチ」。トレッビアーノ、モンテプルチアーノの土着品種はもちろん、シャルドネとメルローは特に力強さとクリーンネスが綺麗に溶け合っていました。
マシャレッリは1週間を通して楽しみ続けられると思います。平日は毎日飲んでも飽きないクラシックライン、週末の特別な食事のおともには「マリナ ツヴェティッチ」や「ヴィッラ ジェンマ」。価格帯、品種、味わいなど、高品質でバラエティに富むことも魅力の一つです。 200年のフレンチオーク樽で造られる「ボッテ ディ ジャンニ」に大変惹かれました。その樽はぎゅっと目が詰まっていてワインはじっくりじっくりと熟成が進んでいくのだそうです。「旨みが詰まった特別なワインです!」と話すマリナさんの目はとても輝いており、ぜひイタリアに行き飲んでみたいと思いました。 |
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一代で畑を300haまで拡大させたアブルッツォの開拓者!全4県60区画の畑で世界トップレベルの土着品種&国際品種を造り出す「マシャレッリ」突撃インタビュー
2023/10/19