シチリア最大のプライベートグループワイナリー「ドゥーカ ディ サラパルータ」突撃インタビュー

2023/11/17
突撃インタビュー
 
2023年10月12日 エットレ ドンツェッリ氏 Mr. Ettore Donzelli、アレッサンドロ ズマルキ氏 Mr. Alessandro Smarchi、マッテオ スカラヴェッリ氏 Mr. Matteo Scaravelli

公爵家ワイナリーから始まり、シチリア州営、そしてプライベート企業へ。紆余曲折の200年の歴史の中で一貫してシチリアワインを牽引!シチリア最大のプライベートグループワイナリー「ドゥーカ ディ サラパルータ」突撃インタビュー

シチリアのアッリアータ公爵が1824年に創業したドゥーカ ディ サラパルータ。創業と同時にリリースしたコルヴォはシチリア初の瓶詰めワインとして200年に渡り世界中で愛され続けています。公爵家経営ワイナリーから第2次大戦後にはシチリア州営企業に移行、その後2001年にイルヴァ サロンノ グループに参入。現在ではプライベート企業としてシチリア第1位の規模を誇ります。今回は、創業以来、一貫してシチリアワイン界を牽引し続けるドゥーカ ディ サラパルータの幅広いラインナップをブランドマネージャーのエットレ ドンツェッリ氏、海外営業部長アレッサンドロ ズマルキ氏に説明して頂き、イルヴァ サロンノ グループの日本カントリーマネージャーで日本語が堪能なマッテオ スカラヴェッリ氏に通訳頂きました。

1824年の創業と同時に誕生したシチリア初の瓶詰ワイン「コルヴォ」

ドゥーカ ディ サラパルータ社は、サラパルータ(現在のトラパニ県)の公爵であったジュゼッペ アッリアータによって1824年に設立されたワイナリーです。自家用ワインを造っていたジュゼッペは、創業年から瓶詰ワインを生産しました。それが現在も造られている「コルヴォ」です。

1857年にジュゼッペの息子エドアルドが事業としてのワイン生産に着手しました。彼はフランスにも勉強に行くなど研究熱心な人でした。生産本数は約10万本で、この数字は当時としてはかなり多いものです。初めての輸出も行っています。

3代目のエンリコにより飛躍的に品質が向上、公爵家としての最後のオーナー4代目トパツィアの後、シチリア州所属に

(画像左:創立者ジュゼッペ アッリアータ公爵(1784-1844)、画像右:4代目トパツィア アッリアータ氏(1913-2015)

1898年に3代目のエンリコがワイナリー経営の責任者になります。彼はボルドーから醸造家を招聘して最新技術の導入を図りました。エンリコは食事やワインの楽しみ方、フードペアリング、ダイエット、菜食主義などにも造詣が深く、本も出版しています。

そして4代目のトパッツィアが責任者となります。彼女は当時としては非常に珍しい女性醸造家でした。この時代は世界的な戦争がたびたび起こった厳しい状況の中、彼女は第2次世界大戦後の1946年まで責任者を務め、公爵家一族として最後のワイナリーオーナーとなりました。

2001年イルヴァ サロンノ グループに参入し、シチリア最大のプライベートグループワイナリーに
1946年、ドゥーカ ディ サラパルータはシチリア州所属の企業となります。2001年にイルヴァ サロンノ グループに参入するまで私たちはシチリア州の公務員という立場でワインを造っていました。州の管理下にあった50年間、畑や技術設備にしっかり投資もしてより良いものを生み出していきました。1984年にはシチリア初となるネロダーヴォラ100%「ドゥーカ エンリコ」が、1987年には白のトップキュヴェ「ビアンカ ディ ヴァルグアルネーラ」が誕生しました。ドゥーカエンリコは初ヴィンテージが「ガンベロロッソ』でトレビッキエリを受賞しました。それまではシチリアでトレビッキエリを取るようなワインが造られたことはなかったので画期的でした。

シチリアの3つのエリアに自社畑を所有。シチリア各地のテロワールの個性を表現。

ドゥーカディサラパルータ社のワインは、「コルヴォ」ブランドと「ドゥーカ ディ サラパルータ」ブランドがあります。コルヴォはシチリア各地の契約農家のブドウから造っています。そしてドゥーカ ディ サラパルータブランドの中ではミドルレンジ以上のものが自社畑で造っています。全生産本数のうち自社畑のものは約1割です。

イルヴァ サロンノ グループに参入後、自社畑ワインに本格的に着手しました。自社畑はシチリアの3つのエリアにあります。北西部トラパニ県サレーミにある「リシニョーロ」、中南部カルタニッセッタ県リエージにある「スオール マルケーサ」、東部カターニア県カスティリオーネ ディ シチリアにある「ヴァヤシンディ」です。それぞれのエリアは気候や土壌が違うので適した品種も異なります。


リシニョーロは35haで、白ブドウに適しています。ここではグリッロ、インツォリアが栽培されています。スオール マルケーサは93ha。乾燥していてネロダーヴォラに最適です。ドゥーカエンリコもここで造られています。そしてエトナ北部のヴァヤシンディは2001年から始めました。19haで年間約6万本生産しています。2001年当時はエトナは現在ほどは注目されていませんでしたね。今は120社余りがエトナに進出していますが、ほとんどは小規模ワイナリーです。エトナの生産量の約8割は15社ほとで占めている状況です。

1 リシニョーロの畑

2 スオール マルケーサの畑

3 ヴァヤシンディの畑

 

徹底した品質管理のための醸造設備、研究・ラボラトリーの充実
シチリアで唯一2つのサステナブル認証を取得

2001年にサロンノグループに参入したことで更なる品質向上に取り組んでいます。技術面でも設備面でもかなりの投資をしており、徹底した品質管理を行っているので、品質不良となるようなワインが出ることはありません。例えばコルクの品質チェックは年間2000回以上行っています。ブショネリスクの成分の有無を専用の機械を使って調べます。ブショネの心配はまずありません。

ドゥーカディサラパルータのラボラトリーはローマ以南にある分析施設として最も優れていると評価されています。時々、分析をビジネスにしないのかと聞かれることがありますが、それはやりません。私たちのラボはあくまでもドゥーカディサラパルータのワインのためだけにありますから。

醸造に用いるステンレスタンクは洗浄や移動などすべて自動で行うことができる最新鋭の大型タンクを導入しています。容量としては50~60万リットルのものが主体です。100万リットルのものも1基あります。メインの醸造設備のあるカステルダッチョのカンティーナは、セメントタンクで560万リットル分、ステンレスタンクで96万リットル分、オーク樽で81万リットル分、バリックで19万リットル分のキャパシティがあります。

サステナブル認証も取得しています。シチリアは気候条件が良いのでサステナブルに取り組みやすいのですが、2つの認証を取っているのはドゥーカ ディ サラパルータだけです。

シチリア初のボトル詰めワイン「コルヴォ」はシチリアすべてを代表するワイン

コルヴォはシチリアで初めてボトル詰めしたワインになります。1824年から造っていて、来年200周年になります。コルヴォはシチリアすべてを代表するワインとして位置付けています。なのでシチリア全土のブドウを使っています。シチリアのワインの顔でもあるし、映画ゴッドファーザーにも登場しています。(画像はドゥーカディサラパルータ社に現存する最も古いボトル(1907年ヴィンテージ)

現在、コルヴォシリーズは全部で10種類あります。大体ですが、3分の2が赤、3分の1が白です。ドゥーカディサラパルータ社全部で70万ケース生産していてそのうちの8割がコルヴォシリーズになります。ちなみに、ドゥーカディサラパルータ社は、生産量で全イタリア7番目です。

コルヴォはファーストプレスの果汁がメインですが、2回目、3回目と各プレスごとの特長も生かしてブレンドしています。

印象的なラベルデザイン!単一品種シリーズ「カラニカ」

「カラニカ」は単一品種で造るワインを主体にしているラインです。契約農家のブドウを使っています。ワインのイメージをシチリアに関係する動物や植物などで表現したラベルになっています。カラニカシリーズはすべて収穫は手摘みです。収穫したブドウは小さな箱に入れて温度管理のできる冷蔵車でカンティーナまで運んでいます。

白ワインがシャルドネとグリッロの2種類、ロゼがフラッパート主体の1種類、赤がフラッパート、ネロダーヴォラ、シラーの3種類です。土着品種と国際品種の両方で造っていますが、どれもがシチリアというテロワールに適した品種であることを表現しています。どのワインもミディアムボディで、毎日の食事に寄り添うスタイルです。良質な早飲みワインなので、リリースして比較的早くお飲みいただくとブドウ品種のフレッシュな味わいが楽しめると思います。

マルサラ史上初のトレビッキエリ

日本での販売は未定なのですが、せっかくなので今日はフローリオ社の新しいマルサラの紹介もさせて頂きます。この「ヴェルジネ」は『ガンベロロッソ2024』でマルサラ初のトレビッキエリを受賞しました。併せて年間最優秀瞑想ワインも受賞しています。

ヴェルジネは甘くないマルサラで、ミステッラやモストコットを入れずに造ります。昔はこのスタイルが主流でした。甘くないのでウイスキーを好まれる方にもお勧めできます。食後のワインですが、辛口なので食中酒として食事にも合わせられます。

もうひとつのこちらは「セミセッコ」です。セミセッコのカテゴリーは、残糖値が1リットル当たり40~100グラムです。発酵を止めたモストを加えて甘みを足します。ゴルゴンゾーラと相性が抜群です。このセミセッコは、現在ブルガリホテルでカクテルに使用されています。

1824年、シチリア初の瓶詰めワインとして誕生した「コルヴォ」の白
コルヴォ ビアンコ 2021
コルヴォ ビアンコ 2021


インツォリアとグレカニコで造るコルヴォビアンコです。白品種はシチリアでは西側が良いのでブドウは主にその西シチリアのエリアのものを中心に使っています。ソフトプレスしたモストをステンレスタンクで発酵させてボトリングして、1ヶ月ほど寝かせてからリリースします。フルーティーでフレッシュなワインで、食前酒にもいいですし、魚料理全般によく合います。
試飲コメント:好ましい果実の香りそのままのフルーティーな味わい。軽めのボディのバランスの取れたエレガントで心地よい美味しさでシンプルに楽しめます。

シチリアで国際品種から良いワインができることを証明!「良質な早飲みワイン」がコンセプトのカラニカシリーズ「シャルドネ」
カラニカ シャルドネ 2022
カラニカ シャルドネ 2022


カラニカは良質な早飲みワインがコンセプトです。このシャルドネは、シチリアで国際品種ブドウから良いワインができることを証明するワインです。シチリアDOCは土着品種であることが定められているのでこのワインはテッレシチリアーネIGTになります。ステンレスタンク醸造で、瓶熟成を2か月してからリリースします。このラベルは雲丹をデザインしています。フローラルでまろやかで酸も穏やかです。シンプルな魚料理と相性抜群です。
試飲コメント:花や南国フルーツのアロマ。フレッシュさもありながら柔らかで心地よい甘みが広がります。素直に美味しいと感じるシャルドネ。

ハーブのトーンが印象的な白ワイン!「良質な早飲みワイン」がコンセプトのカラニカシリーズ「グリッロ」
カラニカ グリッロ 2022
カラニカ グリッロ 2022


土着品種のグリッロです。フルーティさよりもフローラル、ハーブのようなトーンがありますよね。これがグリッロの特徴です。誰もが美味しいと思う、万人受けする味わいだと思います。
試飲コメント:爽やかなハーブの香りが印象的。イキイキとした果実味とともに酸をしっかりと感じる、フレッシュで広がりのある味わい。

自社畑のグリッロで造る上級白!力強さと厚みを感じる「カドス グリッロ」
カドス グリッロ 2021
カドス グリッロ 2021


こちらもグリッロですが、リシニョーロの自社畑のものから造っています。発酵はステンレスタンクと木樽で行い、シュールリーをしています。ストラクチャーのしっかりとしたボディのあるタイプなので、より上質なものを求めている方向けです。魚料理に合いますが、生魚以外がいいと思います。魚介のパスタやリゾットなどと合わせるといいですね。
試飲コメント:フローラルなアロマ。しっかりとした香りの中にミネラルも感じます。力強さや厚みを感じるしっかりとした味わいです。

ジャコモ タキス氏のアイデアで実現!トスカーナのクローンから造るシチリアでは珍しいヴェルメンティーノ「センティエロ デル ヴェント」
センティエロ デル ヴェント 2021
センティエロ デル ヴェント 2021


ヴェルメンティーノで造るワインです。シチリアでヴェルメンティーノは珍しいかと思います。コンサルタントをしてもらっていたジャコモ タキス氏のアイデアなんです。彼の助言から2000年代にトスカーナのヴェルメンティーノのクローンをスオールマルケーサの自社畑に植樹しました。商品としてリリースしたのは2020ヴィンテージからです。味わい的にはサルデーニャとトスカーナのヴェルメンティーノの中間的なキャラクターではないかと思います。このワインは評価も高く、プロヴァインではヴェルメンティーノのベスト5にも選ばれています。
試飲コメント:フローラルでミネラルも感じる香り。リースリングのような硬質なアロマも感じます。飲むと爽やかでミネラルのある味わいが伸びやかに広がり、華やかな印象です。

重厚感とまろやかさを綺麗な酸が引き締めるエレガントな味わい!バリック発酵・熟成で造るフラッグシップ白「ビアンカ ディ ヴァルグアルネーラ」
ビアンカ ディ ヴァルグァルネーラ 2020
ビアンカ ディ ヴァルグァルネーラ 2020


私達の白のトップキュヴェです。1987年が初ヴィンテージとなります。インツォリア100%で造っていて、シチリアの土着品種の可能性を世界に知らしめたワインです。ブドウ樹1本に1房、1.2㎏という低収量で造っています。木樽で発酵してバリックで8か月間熟成させます。

インツォリアはデリケートで酸が控えめなのが特徴です。上品なアロマをブドウを冷却させることで引き出しています。柑橘類やバニラのニュアンスも感じます。厚みのある味わいなので白身肉や黒豚の料理に合わせるといいです。

試飲コメント:甘やかで上品な香り。深みのある味わいを綺麗な酸がバランスよく引き締めるエレガントなスタイル。香りに感じる甘さほどには味わいに甘みはなく、上質な辛口ワインであることを実感します。

1824年、シチリア初の瓶詰めワインとして誕生した「コルヴォ」のロゼ
コルヴォ ロゼ 2022
コルヴォ ロゼ 2022


ネロ ダーヴォラ、ネレッロ マスカレーゼ、フラッパートで造っています。ソフトプレスで果皮との接触は短くしてこの色合いを出しています。果実味よりはフローラルなアロマが特徴ですね。酸はやや控えめ。食前酒にもいいですし、白身肉にも合います。食事を通して楽しんで頂けると思います。
試飲コメント:桜色の綺麗なピンク色。スミレなどの花の香り、華やかで甘やかな味わいが口の中を優しく広がります。上品な酸と甘みのエレガントなロゼワイン。

ほんのり柑橘系も感じる爽やかで上品な味わい!「良質な早飲みワイン」がコンセプトのカラニカシリーズ「ロゼ」
カラニカ ロゼ 2021
カラニカ ロゼ 2021


カラニカ ロゼは、以前はネロ ダーヴォラを主体にしていましたが、近年はフラッパートが主体になっています。フラッパートはシチリアの中央部と南部が中心です。ラベルはシチリアのカメリアをデザインしたものです。2020ヴィンテージはデカンターで95点の高得点を取っています。
試飲コメント:淡いピンク色の外観。フローラルで白桃のニュアンス、ほんのりと柑橘系も感じる香り。爽やかな味わいで上品な美味しさがずっと続きます。

1824年、シチリア初の瓶詰めワインとして誕生した「コルヴォ」の赤
コルヴォ ロッソ 2020
コルヴォ ロッソ 2020


1824年が初ヴィンテージのコルヴォロッソです。ブドウはネロダーヴォラとネレッロマスカレーゼで、やや遅めの8月末~9月頭に収穫します。一部ステンレス、一部樽で熟成させています。比率はヴィンテージで変わりますがだいたい樽が60%ほどです。ベリー系果実の香り、しっかりとした酸がありスパイシーさもあります。シンプルな肉料理やチーズなどとよく合います。
試飲コメント:ラズベリーやチェリーなどのフルーティーな香り。若々しくイキイキとしたアロマで花やスパイスのニュアンスも。シンプルで滑らか、非常にバランスがとれています。

甘やかなフローラルな香り!「良質な早飲みワイン」がコンセプトのカラニカシリーズ「フラッパート」
カラニカ フラッパート 2022
カラニカ フラッパート 2022


先ほどのカラニカのロザートと同じ、フラッパートで造る赤です。栽培エリアとしてはロゼ用のものよりも西シチリアのほうがやや多いぐらいですがほとんど同じです。こちらもカラニカのコンセプト通り、良質な早飲みワインになります。ステンレスタンク醸造で瓶熟成が2か月ほど。バラやスミレの甘やかなフローラルな香り。タンニンと酸も上品で白身肉などと合わせるのがいいと思います。
試飲コメント:明るいルビー色。華やかな香りが上品で飲み口も優しいライトボディ。柔らかく心地よい。

シチリアに適した国際品種!「良質な早飲みワイン」がコンセプトのカラニカシリーズ「シラー」
カラニカ シラー 2022
カラニカ シラー 2022


先ほどの白のシャルドネと同じく、シチリアで良質な国際品種ワインができることを示しているワインです。国際品種の中でもシラーは、ネロダーヴォラに近い特性があるのでシチリアに向いている品種だと思います。ステンレスタンク醸造です。熟した果実のアロマがあり、味わいはやや濃厚さもありますが、全般的にすっきりと飲みやすさがあります。
試飲コメント:やや煮詰めた果実感もあるフルーティーな香り。スパイシーなニュアンスと凝縮した果実味が楽しめる程よいボディの味わい。

シチリアを代表する土着品種赤!「良質な早飲みワイン」がコンセプトのカラニカシリーズ「ネロ ダーヴォラ」
カラニカ ネーロ ダーヴォラ 2021
カラニカ ネーロ ダーヴォラ 2021


カラニカシリーズのネロダーヴォラです。ドゥーカディサラパルータはネロダーヴォラから始めた会社でもあるので思い入れのある品種です。ステンレスタンクのみの醸造で、2~3か月間瓶熟成をしてリリースします。タンニンもしっかりとあり、赤身肉に合います。サービス温度は少し低めの17度ぐらいでいいかと思います。ラベルはシチリアのケーパーの花を描いています。
試飲コメント:ラズベリーなどの果実味に野生のハーブのニュアンス。広がりのある味わいでしっかりとした甘やかなタンニンと長い余韻が印象的。

自社畑ラインで最も人気!ネロダーヴォラに最適の畑で造る上級赤「パッソ デッレ ムーレ」
パッソ デッレ ムーレ 2020
パッソ デッレ ムーレ 2020


スオール マルケーサの自社畑のネロダーヴォラから造るパッソ デッレ ムーレです。標高は200~300mです。自社畑ラインの中で最も人気のあるワインです。ステンレスタンクで発酵後、セメントタンクと木樽で約8ヶ月熟成しています。落ち着きのある味わいでほんのりとバニラの風味も感じます。赤身肉やラムのステーキ、すき焼きにも合います。ムーレはラバのことで、荷物を運ぶのに使われています。ワインの名前はラバの小道、という意味です。
試飲コメント:バニラやハーブのニュアンスを感じるアロマ。厚みのあるエレガントな味わい。スパイシーで複雑味も感じます。

シチリアワインの偉大さを初めて世界に知らしめた赤!自社畑の特別区画で造るフラッグシップ「ドゥーカ エンリコ」
ドゥーカ エンリコ 2018
ドゥーカ エンリコ 2018


先ほどの白のビアンカ ディ ヴァルグアルネーラとともにドゥーカ ディ サラパルータのトップラインです。スオール マルケーサの畑の中の、特別な区画のネロダーヴォラだけで造ります。スオール マルケーサは全部で60ヘクタールあるのですが、そのうちの5ヘクタールがこのドゥーカエンリコ用でアルベレッロ仕立てでネロ ダーヴォラを栽培しています。ステンレスタンク発酵で18ヶ月間バリック熟成です。バリックは新樽から3年目までを使います。この畑は石灰岩土壌で保水性が低いので果実味が凝縮されます。でも一番の特徴はアルベレッロ仕立てであることです。これにより収量が抑えられます。若いうちからも楽しめますし、熟成力もあります。熟成させると徐々に果実感は減っていきますが、酸とフレッシュさは失われないのがネロ ダーヴォラの特徴です。1997年や1999年は非常にいいヴィンテージなので機会があれば飲んで頂きたいです。
試飲コメント:リコリスやスパイス、チョコレート、凝縮した果実のアロマ。濃密なジャムやスピリッツ漬けの果実などを感じる凝縮した味わいですが、強すぎず、濃すぎずで実にエレガント。清涼感すら感じさせる飲み心地の良い味わいです。
インタビューを終えて
シチリアを代表するコルヴォは誕生から来年で200年を迎えます。シチリアと言えばコルヴォ、という存在ながら、改めて長い時間を重ねてきたその歴史に感動しました。

今回、コルヴォの赤、白、ロゼを試飲してどれもバランスが良く、素直に美味しいと思えるワインで、世界中で愛され続けるのも納得です。さらにこの安定した美味しさを保つための品質管理のレベルの高さにも、さすがコルヴォだと実感しました。ビジネスができるほどのハイレベルなラボというのも凄い!と思いました。

カラニカシリーズは、ラベルもカラフルで並べて見ているだけでも楽しい気持ちになります。コルヴォシリーズがシチリア全体の代表で、カラニカシリーズがシチリアの各テロワールを表現しているということもわかりやすいと思います。広大なシチリアのそれぞれのエリアの個性に適したブドウによるカラニカシリーズは、飲み比べていくとシチリアを旅するような気分にさせてくれると思います。ぜひ全6種類試して頂きたいと思います。

ドゥーカ ディ サラパルータへのインタビューは今回で恐らく3回目ですが、そのたびに新たな驚きがあります。築き上げてきた地位に留まることなく、常に前進し続けているからこそ。まさに伝統と革新のワイナリーです。

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