テロワールを余すことなく表現するバローロの歴史的生産者「ヴィベルティ ジョバンニ」突撃インタビュー

2024/03/14

2024/02/20

クラウディオ ヴィベルティ氏 Mr. Claudio Viberti

卓越した個性を放つ多数のクリュ バローロ!1世紀以上バローロ村に根付きテロワールを余すことなく表現する歴史的生産者「ヴィベルティ ジョバンニ」突撃インタビュー

ヴィベルティ家は、1896年からバローロ村に根付く宿泊施設を兼ねたレストラン「Locanda del Buon Padre」(現在はRistorante Buon Padre)を経営する一家。1923年に隣接する畑を購入し、現在のフラッグシップバローロにつながるブオン パードレを生産し始めました。長い歴史を経てバローロ村を中心に畑を拡大させ、現在では8ヶ所にクリュ バローロの畑を所有しています。各畑で造られたバローロを試飲をすると、その卓越した個性に驚かされます。ランゲだけでなくモンフェッラートやコッリトルトネージなど他の銘醸地にも畑を所有しており、最新技術を用いて土着品種の特性を最大限に引き出した逸品も生み出しています。今回は、3代目クラウディオ ヴィベルティ氏をお迎えし、歴史、哲学、ワインのスタイルについてお話を聞きました。

1896年創業!バローロに多数の単一畑を所有する歴史的生産者

1923年、フラッグシップ「ブオン パードレ」を生産開始
――ボンジョルノ。今日はよろしくお願いいたします。

ボンジョルノ。ヴィベルティ ジョバンニの3代目、クラウディオ ヴィベルティです。私たちヴィベルティ家がワイン造りを始めたのは、1923年のことでした。1896年からずっとバローロ村でLocanda del Buon Padreというレストランを経営しており、店でハウスワインを出し始めたことをきっかけにワイナリーの歴史がスタートしました。

ハウスワインだけでなくヴィーノ デル ブオン パードレという、現在のフラッグシップワインであるバローロ ブオン パードレにつながるキュヴェも造り始めました。これは当時から所有していた2つの畑からできたワインです。以降、徐々に他区画の畑を取得し始めて、クリュ バローロやバルベーラ、ドルチェット、白ワインの生産が始まりました。

ピエモンテの3つの銘醸地に畑を所有
「ランゲ」「モンフェッラート」「コッリ トルトネージ」

――最初からバローロの畑を所有していたんですね。

もともと所有していました。私たちの所有畑は大きく3つのエリアに分けられます。ランゲ、モンフェッラート、コッリ トルトネージです。各エリアには、これらのブドウが植えられています。

ランゲ:ネッビオーロ、バルベーラ、ドルチェット、シャルドネ
モンフェッラート:バルベーラ、モスカート
コッリ トルトネージ:ティモラッソ

長い歴史とともに拡大し続けるバローロの単一畑
――バローロの単一畑を各地に所有されていますが、どのようにして拡大させていったのですか?

前所有者が手放した畑を取得していきました。ピエモンテの歴史と文化は古く、昔は娘さん(女性)が畑を引き継ぐことはなく、行く手のない畑に困っていた人たちがいたんです。そうした時にヴィベルティが引き継ぐ形で、少し遠い場所でも畑を取得していったんです。その結果、畑が細かく分かれていきました。

名門生産者とともに高級白ワイン「ティモラッソ」の生産を開始
――ティモラッソも栽培しているんですね。

コロナの少し前から植え始めて、所有する9.5ヘクタールのうち2.3ヘクタールの畑から造っています。実験を重ねていき、正式に商品化したのは2021年ヴィンテージからです。

――ティモラッソは最近人気なので、土地を取得するのは大変だったんじゃないですか?

土地を探すのは難しかったですが、ヴァルテル マッサ(ヴィニェーティ マッサ)の協力もあって取得することができました。ティモラッソに対して情熱を持つ彼は、ヴィエッティやラ スピネッタなど交流のあるメンバーを集めてティモラッソのプロジェクトを始めたんです。私たちが所有する畑は、彼と同じコッリ トルトネージ北部モンレアーレ村にあります。

テロワールを余すことなく表現するワイナリー哲学
卓越した個性を持つエレガンス クリュ バローロ

単一畑で表現するフレッシュで飲み心地の良い味わい
「クリーンな姿を飲み手のみなさんに感じてほしい」

私たちがワイン造りで最も大切にしていることはテロワールです。つまり、その土地の条件を、弱点含めて全て表現することです。手を加えることなくクリーンな姿を飲み手のみなさんに感じてほしいです。多くの畑は標高が400~500メートルで寒暖差があるので、全体的に共通して香り高くフレッシュな酸を持つワインが生まれます。その特徴を活かして、飲み心地の良いエレガントな味わいを表現しています。

多様な個性を持つ4つの偉大な単一畑
単一畑で造るクリュ バローロはどれも少量生産で全てラベルにナンバリングされています。各畑はそれぞれ特徴が異なります。

・エレガンス バローロのチャンピオン「モンヴィリエーロ」
バローロ地区の中でタナロ川に非常に近いヴェルドゥーノ村の畑です。川の近くになると綺麗な色が生まれるんです。ピノ ネロに近い味わいで、「エレガンス バローロのチャンピオン」だと思っています。

・これぞバローロ「サン ピエトロ」
サンピエトロは、バローロ村の中で最小のクリュです。近くの小さい教会「サン ピエトロ教会」に由来しています。私たちのバローロの中で最も「これぞバローロ」という味わいを持つバローロです。

・肉料理と合わせたくなる「ラ ヴォルタ」
畑の名前はラ ヴォルタ城の隣に畑があることから名付けられています。ブリッコ デッレ ヴィオレの南にある畑で、肉料理と合わせたくなる苦味のあるタンニンが特徴です。

・最も印象に残るクリュ「ブリッコ デッレ ヴィオレ」
お客様が最も印象に残るクリュがブリッコ デッレ ヴィオレです。テロワールを一直線に感じられると思います。メントールやユーカリの要素が際立っています。

ヴィベルティのエレガントスタイルを映し出すフラッグシップ
各畑をブレンドして造る伝統的バローロ「ブオン パードレ」

一方で複数の単一畑をブレンドして造るクラシックなバローロがブオン パードレです。1923年に私たちが初めて造った重要なワインで、エチケットやワインのスタイルはブオン パードレから始まりました。各畑で収穫したネッビオーロをそれぞれ単一で醸造し、全ての醸造の後に品質を見極めて最終的なブレンドを行います。使用する樽は全てトーストせず、綺麗な味わいが生まれるようにしています。

3代目の決断によって誕生!
ヴィベルティのアイデンティティが確立されたシャルドネ

私たちはフィレバッセとリナートという2種類のシャルドネを造っています。リナートは、私が造り直したキュヴェです。というのも、1998年から植えられていた当時のシャルドネは、重厚感がありすぎる味わいでテロワールを感じなかったんです。

そのため、私はワイナリーに入社する際、父に「あなたたちと一緒に仕事するなら、このシャルドネの生産をやめたい」と直訴しました。そして、父の了解を得て、入社した2004年から2014年の間に畑を植え替え、マッサルセレクションを行い、丘の上部にある畑でリナートを生産し始めました。

――その意見をすぐに受け入れた先代はすごいですね。クラウディオさんがワイナリーに参画されたのはいつ頃ですか?

アルバの醸造学校を卒業してすぐの23歳の時でした。畑の列も変えて全て北向きにして、酸を引き出すようにしました。結果、「これが私たちのシャルドネ」と言えるようなヴィベルティのアイデンティティを満たすワインに生まれ変わりました。

各畑に棲みつく土着酵母で独自性を生む自然的アプローチ
地元に根付くデイリーワインの品質向上に最新技術で貢献

いち早く有機認証を取得するも環境を第一に考えた結果、認証を返還
ヴィベルティはもともと取得していたビオロジック認証を返還しました。なぜなら、たとえ規則に沿って自然なものを使っても環境に悪影響を及ぼすこともあるからです。例えば、とある葉っぱの病気が発生した場合、認証に沿って銅を使用した時に雨が降ってしまうと、土壌に銅が垂れて付着してしまいます。

ピエモンテは雨が多いので、銅だらけの土壌になるとコンディション不良を起こしますし、人体にも悪いと思い、ビオ認証は返還しました。天候の良い南イタリアでは病気も少ないですし、イタリアだけでなくヨーロッパ全体で見ても条件が同じ場所はありません。みんなバラバラなので、一つの規定に従うことには違和感があります。植物のために細部まで考えて農作物を扱っています。

――何年くらい認証を取得していたのですか?

1989年から2008年です。

――相当早くからですね。認証を外してデメリットを感じたことはないですか?

あります。2000年代になると周囲はビオで溢れていましたからね。しかし、現在はお客様の知識が豊富で、ビオであるなしに関わらず私たちの考えを聞いてくれるので、今はそのデメリットは感じません。

キュヴェごとに土着酵母を用いてオリジナリティと持続可能性を打ち出す
先ほどテロワールをありのまま表現すると話しましたが、私たちは各畑に棲みつく土着酵母を畑(キュヴェ)ごとに使用することでもアイデンティティを確立しています。方法としては、100~150キロのブドウを先に収穫、プレスをして、バリックくらいの小樽に10キロ加糖して発酵させます。そこで増えた酵母を主な酵母として各キュヴェの大樽に入れるといった流れです。

収穫した全てのブドウに対して行うわけではないので省エネになりますし、持続可能でかなり自然に近い方法だと考えています。例えば、ブリッコ デッレ ヴィオレに対してこの方法を施さなければ、個性が消えます。イエルマンなど他の生産者もやっていて、土着酵母を使用するほうがオリジナリティが出るのは間違いありません。

バルベーラ、ドルチェットの特性を最大限に引き出す最新技術
バルベーラとドルチェットには、発酵中に果皮や種子を下部から取り除ける特殊な樽を使用しています。それにより、従来よりも苦みが減り品種の特徴である果実味をより表すことができるんです。フレッシュな酸と柔らかさを兼ね備えたユニークな味わいです。一番安価なワインに使用していることが少し面白いですね。

――その技法を用いる生産者は他にいますか?

アルド コンテルノやラ スピネッタなどがやっています。アルド コンテルノはバローロにも使っていますね。バルベーラやドルチェットを美味しく造れる生産者は、絶対に美味しいバローロを造れるんです。逆はわかりません(笑)。

瑞々しいフレッシュな酸が特徴のシャルドネ

フィレバッセ ピエモンテ シャルドネ

フィレバッセ ピエモンテ シャルドネ

クラウディオ氏:
「フィレバッセは、私が造ったリナートの畑の下部に位置する畑で造られています。標高は50~250メートル、急斜面から徐々に平地に変わる畑です。マロラクティック発酵もシュールリーも行っていません。シャープな印象で、パリッとした酸、瑞々しいフレッシュな味わいが特徴です」
試飲コメント:麦わら色。注いだ瞬間に香りが広がります。キンカンなどの柑橘系、青リンゴ、フレッシュかつ凝縮した果実の香り。若干甘やかさも。香りで感じた柑橘の果実味が口の中に繊細に、そして爽やかに感じます。じわじわと持続する余韻に満たされます。

ボリューム感とクリーンネスが表現されたユニークな樽熟成シャルドネ

リナート ランゲ シャルドネ

リナート ランゲ シャルドネ

クラウディオ氏:
「リナートは、これがヴィベルティが造るシャルドネだと言えるユニークなワインです。アカシアの樽を使用しており、最初は白い花を感じますが、徐々にハチミツのニュアンスが現れます。洋梨などの果実もあります。甘かったりバターの感じはなく、クリーンでフレッシュな印象ですね。このワインには、SO2を使用しておりません。哲学の話ではなく、シュールリーを長くすることで、液体中の搾りかすが酸化防止剤の役目を果たすからです」
試飲コメント:黄金色。南国果実、バター、業種果実を感じる樽由来の香り。味わいは香り同様で統一感があり、程よい重厚感とフレッシュさが融合しています。徐々にボリューム感のあるが余韻として持続します。

複雑で豊かな香りと鋭い酸が際立つティモラッソ

デルトーナ ティモラッソ

デルトーナ ティモラッソ

クラウディオ氏:
「イタリアの土着品種の中でも数種類しかない長期熟成向けの白品種ティモラッソです。醸造にはセメントタンクとステンレスタンクを使用し、木樽熟成の代わりに瓶内熟成を長く時間をかけて行います。シュールリーを行っています。エリア的に海の影響を受けるので、海の要素が引き立っていますね。ヴィニェーティ マッサの熱い情熱と強い勧めもあって、ティモラッソの畑を取得することができました。私たちが所有する畑は、彼と同じコッリ トルトネージ北部モンレアーレ村にあります」
試飲コメント:黄金色。ハーブ、リンゴなどのフレッシュ果実、黄色果実、蜜のニュアンスがある香り。香り同様の味わいで、リンゴやフレッシュ果実、ハーブを感じます。鋭い酸が際立つキリッとした口当たりがあり、フレッシュさが最初から最後まで持続します。

果実感たっぷりで食中酒にベストなドルチェット

プッブリカーノ ドリアーニ

プッブリカーノ ドリアーニ

クラウディオ氏:
「私たちはバローロの造り手ですが、毎日平日に飲むのはバローロではなくドルチェットです。しかし、ドルチェットの平均品質は10~15年前から下がってきたと思います。なぜならネッビオーロに植え替える造り手が増えたからです。私たちはそんな現状を鑑みて、品質向上を目指すべく逆にドルチェットを本場ドリアーニで造り始めました。味わいの特徴は、まさにドルチェットらしいドルチェットです。ブラックベリーなどのフルーツ感たっぷりな味わいで、タンニンも柔らかいため食中酒としてベストなワインです」
試飲コメント:紫色。フレッシュ果実を感じるドルチェットの典型的な親しみやすい香り。香り同様の味わいで、シンプルに飲み疲れしない味わいです。タンニンは存在感がありますが、果実味も相まって心地よさがあります。

従来のバルベーラよりも存分に感じられる果実感と心地よさ!

バルベーラ ダルバ ラ ジェメッラ

バルベーラ ダルバ ラ ジェメッラ

クラウディオ氏:
「個人的に大好きなワインです。1ヘクタール当たりの株が4500~7000以上の密植で造られており、凝縮感のあるバルベーラです。私たちの家族、特に母がバルベーラが好きなので、双子である母のために造りました(ジェメッラ=双子)。凝縮果実と酸が際立ちながら柔らかさもあるワインは、なかなかないと思います」
試飲コメント:ルビー色。ベリー系果実(黒系果実)のぎっしり詰まった果実感、黒胡椒などのスパイスが香る心地よいアロマ。味わいは香り同様でバランスの良さがあります。程よいボディと飲みやすさのあるエレガントな味わい。タンニンが少ないため、果実感を存分に感じられます。

1923年初リリース!
エレガンス&フィネスを感じるフラッグシップバローロ

バローロ ブオン パードレ

バローロ ブオン パードレ

クラウディオ氏:
「ヴィベルティ ジャンニの始まりの1本とも言えるフラッグシップワインです。各地のブドウをブレンドして造る伝統的なバローロで、私たちのスタイルが表現されています。初リリースは1923年です。香り高いアロマ、柔らかいタンニンとフレッシュな酸。そして、木のニュアンスを感じないエレガントで控えめな風味があります。綺麗な味わいを表現するために、使用する樽は一切トーストしていません。2018年ヴィンテージは、個人的に大好きな年です。飲み心地が良くチャーミングで、かなり美味しいです」
試飲コメント:輝くガーネット色。全体的に繊細でありながら、奥行きや華やかさを感じるエレガンス&フィネスを感じる香り。口に含むと線の細い味わいが染み渡り、徐々にボリューム感に満たされていきます。ミネラル感とクリーンネスも際立っており、終始持続するエレガントさに満たされる充実感のある味わい。非常に優れたバランスがあります。

フレッシュ果実とタンニンが溶け合う華やかなランゲ ネッビオーロ

ランゲ ネッビオーロ

ランゲ ネッビオーロ

クラウディオ氏:
「ブオン パードレのセカンド的立ち位置のワインですが、決してベイビーバローロではありません。ネッビオーロの姿をそのまま表現をしたいので、木樽での熟成期間は他のバローロと比べて短いです。温暖化の影響で、収穫を早めに行って香り高く華やかさを引き出すようにしています」
試飲コメント:縁が輝く淡いガーネット。バラなどのドライフラワー、ドライフルーツ、フレッシュな赤系果実、土、ハーブが香るアロマ。口当たりが非常にスムースで、奥行きと柔らかさを感じます。タンニンとフレッシュな果実が見事に調和しており、心地よい味わいです。

唯一の契約畑で造るエレガンス王者のクリュ バローロ

バローロ モンヴィリエーロ

バローロ モンヴィリエーロ

クラウディオ氏:
「バローロ地区の中でタナロ川に近いヴェルドゥーノ村の畑です。他のワインとキャップシールが違うように、モンヴィリエーロだけ契約畑のブドウで造っています。ほぼタンニンがなく果実感と優しさのある味わいですね。エレガンス性が非常に高くピノ ネロに近いです。ヴィベルティが造るバローロの中ではエレガンスのチャンピオンと言えるでしょう」
試飲コメント:輝く淡いガーネット。赤系果実、バラなどの花、ミネラル、土、凝縮果実を感じる奥行きのあるクリーンな香り。口当たりは非常にソフトで、香り同様の味わいが広がります。複雑でありながら、チャーミングさのある軽やかな印象です。まろやかな出汁感のようなニュアンスも感じます。

50ヶ月熟成で造るフレッシュかつパワフルなクリュ バローロ

バローロ サン ピエトロ

バローロ サン ピエトロ

クラウディオ氏:
「バローロの中で最も小さなクリュがサン ピエトロです。畑の近くにサン ピエトロ聖人の名を冠した小さな教会があることから、そう名付けられています。少し珍しいですが、出来上がったばかりのアスファルトの香りがします。口に含むとフレッシュな酸がありますが、これは標高から来ているものです。樽で50カ月以上熟成させていますが、そう感じさせないのも大きな特徴です。ヴィベルティが造るバローロの中で、もっともバローロらしいバローロです。他のクリュと比べてパワフルですね」
試飲コメント:輝くガーネット色。凝縮果実、ドライフラワー、ドライフルーツ、革を感じる複雑な香り。口に含むと香りで感じたやや力強い味わいが口中に染みわたります。ハーブやスパイスを感じる余韻が長く持続します。

野性的な個性を持つ肉料理に最適なクリュ バローロ

バローロ ラ ヴォルタ

バローロ ラ ヴォルタ

クラウディオ氏:
「畑の隣にあるラ ヴォルタ城から名付けられたクリュ バローロです。ブリッコ デッレ ヴィオレの南にある畑で、アルプスから吹く冷涼な風をヴィオレの丘がブロックするため、温度差がないのが特徴です。一番の特徴は、土っぽさ、鉄、野生感、スパイス感で、肉料理と合わせたくなる苦味のあるタンニンが特徴です」
試飲コメント:ルビーに近いガーネット色。他のクリュバローロと比較して重厚な香りがあります。それでいて、華やかさや凝縮感があり、赤系果実、スパイス、ミネラル、メントールが感じられます。口に含むとクリーンで軽やかな味わいに満たされます。徐々に目の詰まった味わいが現れ、タンニンとフレッシュな酸、果実が溶け合う味わいがフィニッシュまで持続します。

力強いメントールが香る卓越したテロワールを持つクリュ バローロ

バローロ ブリッコ デッレ ヴィオレ

バローロ ブリッコ デッレ ヴィオレ

クラウディオ氏:
「テロワールを一直線に感じられるクリュがブリッコ デッレ ヴィオレです。メントールやユーカリの要素が際立っています。先日、前年の2015年ヴィンテージを試飲しましたが、全く同じような香りがしたので、その風味こそがブリッコ デッレ ヴィオレの個性なのです。2016年は、非常にフレッシュで力強い風味が口いっぱいに広がります」
試飲コメント:若干濃いガーネット色。注ぐとメントールのような香りがぶわっと広がります。そのほかにも、フレッシュな赤系果実、チョコレート、ハーブのニュアンス。スパイス、ハーブ、メントールの要素が口中を満たす、非常に複雑で奥行きと爽やかさのある味わいです。クリーンでエレガントさに溢れる余韻が持続します。

インタビューを終えて

クラウディオさんの解説と試飲を通じて、ワイナリーの哲学である「弱点含めて、その土地の全てを表現すること」を存分に感じられたと思います。トーストしない樽の使用や土着酵母の使用、ビオ認証を返還してまで貫く自然的アプローチなどがされた各キュヴェを試飲すると、まさにクリーンな味わいと個性の違いを堪能できました。

特にクリュバローロ4種は驚きでした。最後に試飲したブリッコ デッレ ヴィオレは個性の塊で、メントールの風味に圧倒されて、クラウディオさんがおっしゃるように最も印象に残ったキュヴェとなりました。一方で、各畑をブレンドしたクラシック バローロ「ブオン パードレ」は非常に心地よくバランスに優れておりフィネスに際立った逸品でした。彼らのバローロを語る上で、外すことのできないエレガントさが表現されていると感じました。

そして、日本初上陸のティモラッソ、ドルチェット、バルベーラも素晴らしかったです。特にバルベーラは飲みやすいながらも、ぎっしりと詰まった果実感に満たされる味わいでした。テロワールを余すことなく反映するバローロの歴史的生産者「ヴィベルティ ジョバンニ」のワインを、ぜひご堪能ください。