エレガンスに満ちた傑作グランセレツィオーネ「クエルチャベッラ」セミナー

2024/07/23

2024/07/04

ジョルジョ フラジャコモ氏 Mr. Giorgio Fragiacomo

他に類を見ないエレガンスに満ちた傑作グランセレツィオーネ!
600mに及ぶ高標高で造るキャンティ クラシコ&スーパータスカン「クエルチャベッラ」セミナー

クエルチャベッラは、大のワイン愛好家であるジュゼッペ カスティリオーネ氏が1974年に創設したワイナリーです。世界中のワインコレクターである自身が集めたいと思うような偉大なイタリアワインを造るという強い思いから生まれました。創設時から追求するエレガンスに満ちたキャンティ クラシコとスーパータスカンを造っています。特にキャンティ クラシコ グランセレツィオーネは、多くの造り手が重厚感を求める一方で、ひときわ軽やかでエレガンスに満ちた味わいを表現しています。今回は輸出部長のジョルジョ フラジャコモ氏が解説するセミナーに参加してきました。

創設者の野心が生んだ世界に誇る偉大なワイン
ビオディナミ&ヴィーガンを徹底するワイン造り

1974年、大のワイン愛好家が世界に誇るワインを造るべく創設
クエルチャベッラは、大のワイン愛好家であるジュゼッペ カスティリオーネ氏が創設したワイナリーです。創設された1974年は、1968年初リリースのサッシカイアなど高品質で革新的なワインが徐々にリリースされ始めた時代。ジュゼッペ氏はそんな世界に誇れる偉大なワインをイタリアで造れることを示すために、キャンティ クラシコ地区を本拠地に置きながらスーパータスカンの生産に着手しました。

後のキャンティ クラシコの品質向上に大きく貢献
1981年に偉大な醸造家と造り上げたスーパータスカン

1981年にはスーパータスカンの父、ジャコモ タキス氏のもと、エレガンスを極めた逸品「カマルティーナ」が誕生しました。そのカマルティーナをはじめとするキャンティ クラシコで造るスーパータスカンの存在が、後のキャンティ クラシコの品質向上と変革に大きな影響を与えました。

有機栽培の先駆的存在
ビオディナミ&ヴィーガンでおこなう独自のワイン造り

クエルチャベッラは、いち早く持続可能性に取り組み始めた有機栽培のパイオニアです。1997年には、2代目のセバスティアーノ氏がビオディナミ農法を始め、2000年には全ての畑に導入。2010年にはヴィーガンになった自身の考えで、ワイン造りもヴィーガンへと移行しました。

いくつかの原則を持つビオディナミにおいて、彼らが準ずるのは主にルドルフ シュタイナー氏の哲学。しかし、牛の角を使った調剤などの動物性原材料は、ヴィーガンへ移行してから使用していません。代わりにハーブや穀物、豆を肥料として使用するクエルチャベッラ独自の方法を取り入れています。

クエルチャベッラの集大成となる傑作品
キャンティ クラシコ グランセレツィオーネ

標高600mにも及ぶ畑で追求するエレガントな味わい
クエルチャベッラが拠点を置くのは、キャンティ クラシコ地区の中で最も標高の高いグレーヴェ イン キャンティ、ルッフォリの丘。標高450-600mの畑で造られるワインは、繊細で飲みやすく食事に合わせやすいスタイルです。市場のトレンドが移り変わっても、創設時からずっと「洗練されたエレガントなワイン」を追求し続けています。また、2010年からキャンティ クラシコは全てサンジョヴェーゼ100%で造られています。

創設時から追求し続けた完成系
軽やかでエレガンスに満ちた唯一無二のグランセレツィオーネ

クエルチャベッラが造るキャンティ クラシコ グランセレツィオーネは、所有畑の中で最も標高の高い単一畑(550-600m)で造られ、リゼルヴァよりも軽やかでエレガントな味わい。多くのキャンティ クラシコの造り手が格付けを上げるにつれて重厚感を表現する一方で、彼らはその逆を行きます。まさに創設時から追求し続けてきた完成形です。

バローロの名醸造家たちが引き出す洗練された優しい味わい
そのエレガントに満ち溢れた味わいの背景には醸造家たちの存在があります。2010年、ヴィエッティ社の元当主兼醸造責任者のルカ クッラード ヴィエッティ氏がコンサルタントに就任しました。そして、新しい醸造家にマンフレッド イング氏を招へい。バローロや世界各国でも活躍した南アフリカ出身の醸造家です。輸出部長のジョルジョ氏は、グランセレツィオーネを「マンフレッドの傑作品」と評します。

グランセレツィオーネは他のキャンティ クラシコとは異なる醸造方法で造られています。優しくルモンタージュを2日間おこない、バローロの伝統製法カッペッロ ソンメルソ(果帽をモスト内に沈める製法)で発酵させます。これにより非常にデリケートな抽出が可能になり、優しい味わいが引き出されます。偉大なバローロを造り上げてきた醸造家たちによって、ワイナリーのスタイルが見事に表現されています。

世界的名声を得た白のスーパータスカン「バタール」
1988年に誕生したバタールも同様にクエルチャベッラが造る白ワインの傑作品です。ブルゴーニュのようなワインを造るというアイディアで生まれたワインで、彼らが世界的名声を得た白のスーパータスカンです。グランセレツィオーネとともにクエルチャベッラの理想の形が表現されています。

ヴェルメンティーノ主体で造るエントリーライン白

モングラーナ ビアンコ マレンマ

モングラーナ ビアンコ マレンマ

ジョルジョ氏:
「モングラーナはシンプルなワインです。ヴェルメンティーノ90%、ヴィオニエ10%をステンレスタンクとセメントタンクだけで造っています。比率は年によって多少変化します。赤白両方ともモングラーナはクエルチャベッラで唯一樽を使用しないワインです。ヴェルメンティーノから来るハーブのトーンを和らげるために、ヴィオニエをブレンドしています。二つの品種の特徴がうまく溶け合っています。ボディがしっかりしていて、ミネラルと塩味を感じる味わいです」
試飲コメント:バランスの取れた柑橘系果実や酸味のある果実に始まり、エレガントなフローラルノート。ローズマリーなどのハーブ、爽やかな塩味の特徴があります。

凝縮感とミネラル、塩味が溶け合うエントリー赤

モングラーナ マレンマ

モングラーナ マレンマ

ジョルジョ氏:
「サンジョヴェーゼ50%、カベルネソーヴィニヨン25%、残りの25%はメルローと他の品種。ステンレスタンクとセメントタンクだけで造っています。赤白両方ともモングラーナはクエルチャベッラで唯一樽を使用しないワインです。凝縮感とミネラル、塩味を感じられます。どんな食事にも合わせられるワインで、最初から最後までこれ1本で通せます。冷やせば魚とも合いますし、トマトソースにも最適です」
試飲コメント:果実味豊かでフレッシュ感がある一方、凝縮した舌を包み込むような豊かな味わいです。

代表的産地グレーヴェ、ガイオーレ、ラッダで造るキャンティ クラシコ

キャンティ クラシコ

キャンティ クラシコ

ジョルジョ氏:
「グレーヴェ、ラッダ、ガイオーレで造っていますが、主にグレーヴェ イン キャンティの畑のブドウを使用しています。グレーヴェは砂岩土壌由来の厳格な味わいで、森の下草や黒系果実のニュアンスを与えます。一方で、ラッダやガイオーレはガレストロ土壌です。赤系果実やチェリーのアロマを与えます。1年間の樽熟成をした後、1年間の瓶熟成をしてリリースされます」
試飲コメント:リッチな果実味とスパイシーなアロマ、なめらかな口当たりのまろやかな味わいとともにしっかりとしたきれいな酸が感じられます。余韻には心地よい甘みも感じられます。フルボディながら飲みやすい味わいです。

クエルチャベッラの理想が追求された傑作グランセレツィオーネ

キャンティ クラシコ グラン セレツィオーネ

キャンティ クラシコ グラン セレツィオーネ

ジョルジョ氏:
「バローロでの経験が現れた醸造家マンフレッドの傑作品です。クエルチャベッラが所有する畑の中で最も高い標高550-600mのグレーヴェ イン キャンティの単一畑で造っています。他のキャンティ クラシコとは醸造方法が異なります。優しくルモンタージュを2日間おこない、バローロの伝統製法カッペッロ ソンメルソ(果帽をモスト内に沈める製法)で発酵させます。これにより非常にデリケートな抽出が可能になり、優しい味わいが引き出されます。多くの造り手は、格付けが上がるにつれて重厚な味わいにしていきますが私たちは逆です。より軽やかでエレガントな味わいを追求していて、まさにエレガントなサンジョヴェーゼの理想形です」
試飲コメント:洗練された明るい美しさと繊細なタンニンを持つバランスの取れた味わいです。エレガンスと活力が見事に表現されています。

創設者が造り上げた世界的名声を得た白のスーパータスカン

バタール

バタール

ジョルジョ氏:
「バタールは創設者のジュゼッペと当時の醸造責任者グイド デ サンティが造った白のスーパータスカンです。ファーストヴィンテージは1988年。当時は自社用のワインとして、訪問されたお客様などに提供していました。各国を訪れたときにブラインドで出していたのですが、誰もトスカーナの白ワインと見抜く人はいませんでした。このワインは、白ワイン産地として無名だったトスカーナに新たな風を吹き込み、世界的名声を得た白ワインです」
試飲コメント:ビターアーモンド、レーズン、熟れたメロンを思わせる香りとリッチなミネラル感。レモンのような爽やかな酸味を伴った厚みのあるボディです。

インタビューを終えて

クエルチャベッラが創設時からずっと「洗練されたエレガントなワイン」をブレずに追求していることが実感できたセミナーでした。特に、その哲学の完成系とも言えるのがキャンティ クラシコ グランセレツィオーネ。600mにも及ぶきわめて標高の高い畑の特性も活かし、他の生産者とは真逆を行くエレガンスに満ちたグランセレツィオーネの存在が「ワイナリーが追い求めた傑作品」であることを表しているのだと感じました。そして、世界に誇るワインを造るという創設者の強い思いと、ジャコモ タキス氏の助言により取得した高標高の畑の存在も、クエルチャベッラが貫くスタイルが表現されていると実感しました。