2024/08/27
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フランチェスコ モンキエロ氏 Mr. Francesco Monchiero
ロエロ特有の香り高さとフルーティな味わいを最大限に表現!
DOCG協会初代会長も務めた名実ともにロエロをけん引する「モンキエロ カルボーネ」突撃インタビュー
1989年、醸造家親子が創業したロエロ屈指の造り手
チャオ。私はフランチェスコ モンキエロです。モンキエロ カルボーネは、1989年に私と父がロエロ地区カナーレで創業したワイナリーです。ワイナリー名は父方のモンキエロ、母方のカルボーネという2つの苗字に由来しています。両家ともに農業を営んでいて、母方のおじいちゃん子だった私の意見もあって、両方の苗字を合わせました。
ワイナリーを創業する前、父はGIV(※)の醸造家としてウンブリアで働いていました。1987年、地元のバローロプロジェクトで呼び戻されたことをきっかけに、家族もピエモンテに戻り、1989年に私はアルバの醸造学校に入学しました。ワイナリーを始めたのは学校に通いながらだったので、私もまだ若かったですね。
※Gruppo Italiano Vini:イタリア最大手のワイナリーグループ
クリュ バルベーラ「モンビローネ」
1918年から所有する畑「モンビローネ」
ロエロ地区最高のクリュ バルベーラを生産
私たち家族のワイン造りは1918年、バルベーラの畑から始まりました。曽祖母が最初に取得したカナーレのモンビローネという畑です。以降、長い間バルベーラのみを生産していました。現在のグランクリュに位置するバルベーラ ダルバ モンビローネです。
父と一緒に初めてワインを造ったのは1990年。そのモンビローネのバルベーラと、私が新しくカナーレのスルゥに植えたネッビオーロでした。広さは、2つ合わせて1.5ha程度です。
バルベーラ、ネッビオーロ、アルネイスを中心に計38haの畑を所有
初めてアルネイスに着手したのは1993年です。白ワインに最適な土壌を持つロエロですが、当時、周囲ではまだ少量しか造られていませんでした。1980年代におけるロエロ アルネイスの栽培面積は30haで、今は1000haにまで拡大しています。
それは90年代にイタリアワインが大成功を収めた影響が大きく、それと同時に私たちも成長しました。アルネイスをはじめ、全ての所有畑は38haまでに拡大しました。
アルネイス発祥の地などロエロ各地の畑を所有
ロエロ特有の砂質土壌が生む香り高さとフルーティさ
今お伝えしたとおり、主にバルベーラ、ネッビオーロ、アルネイスを造っています。全て自社ブドウです。長期熟成ポテンシャルを持つ高品質なワインを造るために、ブドウの選別を厳しくおこなっています。
通常、1kgのブドウから0.7lのワインができると言われていますが、品質にこだわると最大0.5lしかできません。私たちはそうやって品質にこだわり、1段階目の選別にクリアしなかったブドウは全てボトリング業者に売っています。
香り高いアロマを生むロエロ地区4つの村に数々の単一畑を所有
拠点を置くロエロは、砂質の多い土壌で知られています。私たちは、その土壌由来の特徴が反映された香り高くフルーティなワインを造っています。畑はロエロ地区の4つの村に点在していて、1918年に取得したバルベーラのモンビローネ、次に取得したネッビオーロのスルゥなどの単一畑があります。
そのなかでも特に重要なのはレネージオの畑です。アルネイスのブドウはレネージオの丘で生まれたと言われる、いわばアルネイス発祥の地です。マルヴィラやカッシーナ キッコなど優良生産者が畑を所有する場所です。
アルネイス発祥の地の区画「レネージオ インチーザ」(中央下)
アルネイス発祥の地の区画で造るクリュ「レネージオ インチーザ」
レネージオは、同じ丘でありながら4つの区画に分かれています。レネージオ、レネージオ インチーザ、レネージオ モントローネ、レネージオ ヴァルベッリーナです。バローロのカンヌビのようなものですね。私たちが所有するのは1.5haのレネージオ インチーザの畑です。
レネージオ インチーザは斜面で80%が砂質土壌なので、ザザザッと滑ってしまいます。非常にポテンシャルが高いワインができる畑で、規定の2倍を超える48ヶ月間熟成させたクリュワインを造っています。フレッシュでありながら非常に複雑でふくよかな味わいです。近年では『ガンベロロッソ』で最高賞トレビッキエリを獲得しています。
モンキエロの最上級クリュ ネッビオーロ「ブリッコ ジェネストレート」
一方で、ロエロ東部のプリオッカ村の畑ブリッコ ジェネストレートは砂質が15%と少なく、主に石灰と粘土の土壌です。ここでは、最良のネッビオーロ100%を用いたグランクリュ的存在のロエロ リゼルヴァを造っています。ロエロ特有の香り高いアロマはもちろんのこと、非常に複雑な味わいが引き出されています。
フルーティで塩味のバランスに優れた味わい!
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ロエロ アルネイス レチット |
フランチェスコ氏: 「レチットは複数の畑をブレンドして造られるロエロ アルネイスです。30~50%が砂質土壌の畑です。ファーストヴィンテージは1993年で、もう30年間造っているワインです。白桃などのフルーティな香りがあり、角のない丸みのあるバランスに優れた味わいです。酸味由来のフレッシュさと、塩味が特徴的です。5、6年熟成可能です。アペリティーボとしても合わせられますし、繊細な食事、特に魚料理に最適です」 |
試飲コメント:淡い麦わら色。リンゴや白桃を感じる黄色い果実と白い果実の香り。口に含むと柔らかい酸味が広がり、塩味と果実味が溶け合う余韻が長く持続します。バランスに優れた味わいです。 |
熟成規定をはるかに超える48ヶ月熟成!
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ロエロ アルネイス リゼルヴァ レネージオ インチーザ |
フランチェスコ氏: 「ロエロ アルネイス リゼルヴァ レネージオは、2016年が初ヴィンテージの最新のセレクションシリーズワインです。畑は砂質土壌が80%を占めており、簡単に滑ってしまうような丘陵地です。2018~2019年ヴィンテージはトレビッキエリを獲得しています。ブルゴーニュのシャルドネを意識し、熟成ポテンシャルを示すために造りました。ステンレスタンク100%で発酵し、一部大樽で澱とともに熟成させて複雑性を引き出します。木樽熟成後に瓶内熟成させることで木樽由来の特徴はなくなっていきます。リゼルヴァは最低18ヶ月以上の熟成が義務付けられていますが、私たちは合計48ヶ月間熟成させてからリリースしています。フレッシュで塩味があることはもちろんですが、ふくよかなので白ワインでも幅広い肉料理やメイン料理に合わせることができます。アルネイスは、このレネージオの丘で生まれたと言われています」 |
試飲コメント:濃い黄金色。濃密なリンゴやドライフルーツ、コンポートなどの凝縮感のある果実香があります。味わいは香り同様の要素があり、力強く複雑です。優れた骨格も相まって余韻は非常に長いです。 |
軽やかな酸とフレッシュさが広がるバルベーラ ダルバ |
バルベーラ ダルバ ペリーザ |
フランチェスコ氏: 「カナーレにあるペリーザ畑で造るバルベーラ ダルバです。ほどよい斜面の東向きの涼しいエリアにある畑です。100%ステンレスタンクで造っています。香り豊かで、サクランボなどフルーティな味わいです。口中に広がる軽やかな酸がフレッシュさを与えています。白ワインのような使い方ができる赤ワインです。肉料理はもちろん魚料理にもいいですね。冷蔵庫で冷やしても美味しいと思います」 |
試飲コメント:ルビー色。チェリー系の果実がほどよく広がる香りで、柔らかい印象です。味わいは香りの印象通りの柔らかさとフレッシュさがあります。果実味、酸、タンニンが見事に調和した心地よい味わいです。 |
軽やかながら複雑味あふれるランゲ ネッビオーロ |
ランゲ ネッビオーロ レグレット |
フランチェスコ氏: 「ランゲ ネッビオーロはバローロ、バルバレスコでも造られる銘柄ですが、これはロエロで造られています。軽やかながら豊かな香り、森の果実などのフルーティさのある飲みやすい味わいです。タンニンは際立ちますが、攻撃的ではなくエレガントで柔らかさがあります。家で飲むには最適ですね。5、6年間はフレッシュな状態で飲めるワインです」 |
試飲コメント:淡いルビー色。イチゴなどの明るい赤系果実のエレガントな香り。バラやなめし革、若干のドライフラワーのニュアンスもあり複雑です。存在感がありながらも柔らかさを持つタンニンが、持続性のある味わいを引き出します。 |
極少量生産!
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ロエロ リゼルヴァ ブリッコ ジェネストレート |
フランチェスコ氏: 「ネッビオーロ100%で造るロエロ ロッソ リゼルヴァです。ブリッコ ジェネストレートとは、ロエロ東部にあるプリオッカ地区のクリュです。砂質土壌は15%と少なく、主に石灰質土壌の多い畑です。私が初めてこのワインを造ったとき、どちらかというと数年で楽しめるワインを想定していましたが、初リリースから3年経ったワインはまだまだ寝かせる必要がありました。そのため瓶熟成の状態で待つことを決め、7年ほど経過した頃からいい感じになってきたので、7年の瓶熟を経てリリースしています。ロエロの土壌由来の香りは力強く、複雑な味わいがあります。熟成が進むにつれて柔らかいタンニンが現れます。生産本数は非常に少なく、最初の4年は1000本に至りませんでした。現在だと年間2500本生産可能です。良年のみ造っています」 |
試飲コメント:輝くガーネット色。バラ、ドライフラワー、ドライフルーツ、赤系果実が香るエレガントなアロマ。味わいは力強く複雑で、香りに感じた要素が口中に染みわたります。あとからスパイスのニュアンスが現れます。タンニンが際立っており、まだまだ熟成のポテンシャルを感じます。 |
インタビューを終えて
特に最初に試飲したアルネイスは、素晴らしいバランス感で飲み心地が良かったです。フランチェスコさんが「家では白ワインをよく飲みます。たくさん飲む私にとっては、軽やかな白ワインが最適です」と話されていたように、ずっと飲んでいられるような味わいでした。
最後に試飲したロエロ リゼルヴァ ブリッコ ジェネストレートも、タンニンもあり複雑ですが繊細な味わいに満たされて素晴らしかったです。