重鎮マルコ デ グラツィア氏が創業したエトナの先駆者「テッレ ネーレ」突撃インタビュー

2024/09/13

2024/09/05

クリスティアン リーストロ氏 Mr. Christian Liistro

イタリアワイン界に革新をもたらした重鎮マルコ デ グラツィア氏が創業!
6万年の歴史を持つ火山性土壌と秀逸なテロワールを見事に体現するエトナの先駆者「テッレ ネーレ」突撃インタビュー

テッレ ネーレは、バローロ ボーイズを世界に広めたマルコ デ グラツィア氏が2002年に創業したワイナリーです。拠点を置くエトナは、世界でも数少ない活火山の麓にあるワイン産地。今でこそ世界的に有名な産地ですが、マルコ氏は誰よりも早くエトナの本質を見抜いてワイン造りを始めました。初めて歴史的区画「コントラーダ」をクリュとしてリリースするなど、バローロ同様の改革を次々と起こしてエトナの品質向上に大きく貢献しました。創業時は7社しかいなかったエトナの造り手が今や300社まで増加し、最初に取得した区画グアルディオラの畑の価格は40倍にまで高騰しています。まさにマルコ氏の背中を追うように、多くの優良生産者が進出を果たして現在のエトナの地位が確立されました。今回は、セールスマネージャーのクリスティアン リーストロ氏をお招きして、マルコ氏の経歴や土壌、ワインについてお話を聞きました。

イタリアワイン界に一大旋風を巻き起こした重鎮
テッレ ネーレ当主マルコ デ グラツィア氏

生まれはアメリカ、育ちはトスカーナ。
10代からワイン造りに携わり、大学では世界各地で古代ギリシアを専攻

――当主のマルコ デ グラツィアさんの経歴と、エトナに進出するまでの軌跡についてお聞かせください。

マルコは偶然の連続と言いますか、ユニークな経歴の持ち主です。アメリカのワシントンで生まれ、トスカーナで育ったフィレンツェ人です。キャンティ クラシコ地区で暮らしていたため、醸造家や栽培家に囲まれながら収穫を手伝うなど、12歳の頃からワインの世界に身を置いていました。

大学では古代ギリシアの演劇を専攻し、フランスのソルボンヌ大学、イギリスのブリストル大学、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校で勉強しました。その頃は哲学者や哲学の講師を志していました。

マルコ デ グラツィア氏

ブルゴーニュで経験を積み、バローロ改革で世界的脚光を浴びる
あるとき、マルコがアメリカの友人を訪ねた際、その父親が営むエノテカにキャンティを持参していったそうなんです。そこでみんなが「素晴らしいワインだ」と喜んでくれたことをきっかけに、「これは仕事になるかもしれない」と感じ、よりポテンシャルの高いワインを見極めるためにブルゴーニュへ経験を積みに行きました。

その後、ピエモンテ州ランゲで高品質ワインの探求を始めます。するとマルコは、ランゲで造られる多くの自家用ワインが、40~50年の熟成ポテンシャルを秘めていることに気づきました。ここからが、いわゆるバローロ ボーイズの話になるのですが、当時の若いバローロ、バルバレスコは飲みにくさがありました。

マルコは飲み手の嗜好を理解し、若くても飲めるバローロを造ることで、リリース直後から受け入れられる市場を見いだしました。それが小樽などを駆使したモダンなバローロです。マルコはその構想を引っさげ、各生産者に提案し始めました。彼のビジョンに賛同したドメニコ クレリコやパオロ スカヴィーノ、ルチアーノ サンドローネ、エリオ アルターレなどと一緒に、あの一大ムーブメントを起こしたのです。まさにコンサルタントですね。

「ランゲにマルコの銅像を建てなければならない」by アンジェロ ガヤ
モダンバローロで大成功を収めるとバローロ ボーイズという言葉が生まれ、次々と他の生産者からマルコを求める声が続出しました。アメリカへの輸出もどんどん増えました。この結果はマルコの改革のおかげだと言わざるを得ません。アンジェロ ガヤは、とあるインタビューで「マルコは、当時貧しかったランゲに豊かさをもたらした。ランゲに彼の銅像を建てなければならない」と話したほどです。

いち早くエトナの潜在力を見抜き、テッレ ネーレ創業
現在の地位確立に大きく貢献したマルコ氏の先見の明

偶然が偶然を呼び、熱視線を送るエトナへ進出
マルコはエトナに進出するまで、自身が選んだワインを輸出する会社「マルク デ グラツィア セレクションズ」(※)を兄弟で営んでいました。イタリア各州のワインがあるなかで、シチリアは扱っておらず、その当時から「シチリアからはエトナを選ぶ」と考えていたそうです。兄はネロ ダーヴォラを推していたそうですが、弟のマルコはエトナ(ネレッロ マスカレーゼ)だと。
※厳選されたイタリア全土の高品質ワインを輸出

依然としてエトナワインの選定ができていなかった2000年頃、彼はヨットで地中海沿岸を旅していました。すると、偶然にも悪天候でエトナ周辺に15日間停泊することになったのです。そこで、友人であるサルヴォ フォーティ(シチリア屈指の醸造家、コンサルタント)に案内してもらい、エトナの畑を見て回りました。さまざまな情報を得ると、グアルディオラの畑に対して「ここだ」と確信を持ち、すぐに畑の取得に至りました。彼はいつも偶然を呼ぶんですよね(笑)。

テッレ ネーレ創業時、7社しかいなかったエトナの造り手が300社まで増加
そして、畑を取得した2年後、2002年にテッレ ネーレを創業しました。現在、エトナの生産者は300社ほどありますが、創業当初は7社だけでした。当時のエトナは品質が高くなく、量り売りのワインで溢れていました。しかし、火山性土壌から生まれるエトナの繊細さに、マルコはすでに気がついていたのです。

誰よりも早くエトナの本質を見抜いていたマルコ氏
創業した2002年からラベルに「地中海のブルゴーニュ」と記載

ネレッロ マスカレーゼはサンジョヴェーゼと親戚関係にある品種です。フィレンツェ人でありトスカーナの土着品種を知り尽くすマルコだからこそ、エトナの土着品種の本質を見極めて進出(投資)に至りました。ボトルの裏をご覧ください。初めてボトリングした2002年にマルコが書いた文章が記してあります。

「極めて多様な土壌とミクロクリマが存在し、並外れたフィネスを有することから、エトナは“地中海のブルゴーニュ”と言える。テッレ ネーレは、樹齢40年から140年以上の非常に古い畑のネレッロ マスカレーゼを所有し、アルベレッロ仕立てで栽培している。」

「マルコはワイン界のスティーブ ジョブズ」
テッレ ネーレの創業から20年以上経った今、多くの人がエトナに対して「エレガントでブルゴーニュに近い」などと評していますが、マルコは昔からエトナの本質を見抜いていました。よく私は言うのですが、彼は(ワイン界の)スティーブ ジョブズです。アイディアを実行に移して、きちんと成功まで導く稀有な存在です。

エトナ初のロゼワインやコントラーダを初めてクリュとして生産するなど、数々の改革を実行
マルコは、それまで注目されなかったエトナの土壌、気候、日照量(畑の向き)の条件を明確に表現したワインを造り始めました。1968年から存在する伝統的な区画「コントラーダ」をワイン名に記載し、創業した2002年からクリュワインとしてリリースしています。それまでは、クリュを名乗るエトナの造り手はいませんでした。また、エトナでロゼワインを造ったのもマルコが最初です。シチリア全体ですらロゼの評価が低かった頃、彼はロゼ専用の畑を設けて高品質ロゼの生産に着手したのです。

畑の価格が40倍に高騰
このように、マルコはエトナでもバローロ同様の改革を起こし、エトナワインの品質向上に大きく貢献しました。創業時に取得したグアルディオラの畑は、今や価格が40倍に高騰しています。今日のエトナワインの成功は、20年以上前にエトナに行き着いたマルコの先見の明なしでは語れません。

グアルディオラの畑

今もなお噴火を続ける欧州最大の活火山エトナ
何万年と蓄積されたミネラル豊富な火山性土壌

100種ものミクロクリマが存在するエトナDOCの個性を反映したワイン造り
エトナDOCは1968年に制定された原産地呼称です。エトナ山の北、東、南に位置していて三日月の形をしています。主に北側はネレッロ マスカレーゼ、東側はカリカンテ、南側はネレッロ カプッチョが多く栽培されています。DOC外の西側は気温が低く、ブドウ栽培に適していません。

テッレ ネーレの所有畑は、全て北側に集中しています。広さは全部で54ha、29区画に分かれています。エトナは100種のミクロクリマがあり、その特徴を見極めて優良区画を厳選しているので、畑は1箇所にはまとまらず点在しています。また、その土地に根付く酵母とキュヴェも100種ほどあります。私たちは、それらの異なる特性を反映させて全14種のワインを造っています。

6万年前に噴火して蓄積した、今も残り続ける歴史的土壌「エリッティコ」
カルデラーラ ソッターナなど、一部のグランクリュのラベルに「グランデ テロワール エリッティコ」と記載しています。エリッティコとは、6万年前に噴火して蓄積した、今もなお残り続ける歴史的土壌です。そもそもエトナは、今から何十万年も前、ユーラシア大陸とアフリカ大陸のプレートが衝突して誕生しました。発生場所は現在と異なり、海岸沿いの街アーチ トレッツァにあたる場所でした。

エトナはプレートの動きに伴って徐々に北西へと移動し、その間に大きな噴火を繰り返して現在の形を築いて現在地に辿り着きました。エトナは何回も噴火を繰り返し土壌を形成してきたわけですが、エリッティコは6万年前の噴火で形成されたままの土壌が残っているのです。砂質でもあるので、雨とともにミネラルがどんどん浸透していきました。

「特に美味しいワインができる」「他とは6万年の差がある」
特殊な土壌成分を持つエリッティコ

2015年頃、マルコは「特に美味しいワインができる土壌」の存在に気づき、地質学者と一緒に土壌の調査を始めました。その学者はカメに各土壌の上を歩かせるという手法を取ったのですが、ある特定の場所だけカメの足裏に傷がつくことがわかりました。そして、その土壌を調べると異常にシリカ成分が豊富であることが判明し、その場所こそがエリッティコという昔の土壌だとわかったのです。他の土壌とは6万年の差がある特別な土壌です。

エリッティコ土壌のカルデラーラ ソッターナ

多種多様で秀逸なテロワールを生み出す
エトナの歴史的区画「コントラーダ」

樹齢50年以上のコントラーダと定義づけるテッレ ネーレのグラン クリュ
――最後に、コントラーダについて教えてください。

コントラーダは1968年から存在する歴史的区画の名前です。伝統的に理想的なブドウができる素晴らしい畑と考えられています。私たちは土壌、天候、日照の向きの条件を考慮して区画を選んでいます。テッレ ネーレがコントラーダ単体で造るグランクリュは、全て樹齢50年以上と定めています。例えば、今回試飲するエトナ ロッソ カルデラーラ ソッターナの樹齢は80~100年です。

所有コントラーダの一つフェウド ディ メッツォ

所有する主なコントラーダ
・サントスピリト
標高850m、火山灰の多い火山性土壌です。樹齢は80年。豊かな果実味が特徴ですがエレガンスを追求しているので、短期間のマセラシオンで酸が際立つように仕上げています。

・グアルディオラ
サントスピリトに隣接した、より標高の高い区画です。標高は1000m。土壌は岩石70%、砂質30%です。年間収量は3tと少ないです。

・カルデラーラ ソッターナ
エリッティコの土壌。岩石、火山灰、砂質が混ざった土壌です。黒い石が多い区画です。標高は650mです。

・サンロレンツォ
エリッティコの土壌。ほとんど火山灰で構成されています。栄養価の高い土壌のため、しっかりした骨格があり持続性のある仕上がりになります。標高は750m以上。『ワインスペクテーター』Top 10にも選ばれたことがあります。

次回のリリースは早くて32年後!
20周年の限定クリュ エトナ ロッソ カルデラーラ ソッターナ「ベッラコロンナ」

クリュ エトナ ロッソ カルデラーラ ソッターナの20周年を記念して、ベッラコロンナというワインを造りました。ベッラコロンナは、カルデラーラ ソッターナの中にあるマルコお気に入りの畑です。樹齢は18年と若いですが、今回だけ特別にクリュとしてリリースしています。来年からはスタンダードのエトナ ロッソとして使われます。樹齢50年以上のブドウしか使用しないクリュに戻るには、早くて32年後ですね。2022年ヴィンテージだけの超限定ワインです。

カリカンテ特有の酸とミネラルを堪能できるエトナ ビアンコ

エトナ ビアンコ

エトナ ビアンコ

クリスティアン氏:
「エトナ ビアンコは70%がカリカンテ、残りの30%がインツォリア、ミネッラ、グレカニコ、カタラットで造られています。ステンレスタンクのみの醸造でマロラクティック発酵はしていません。クリュではないベースのワインは、赤白ともに買いブドウを一部使用しています。60~70%はエトナDOCの北部にある所有畑から、30~40%は東もしくは南の畑から契約畑です。私たちにとってのエントリーワインは、テロワールではなく品種を表現しています。飲みやすく、カリカンテ特有の酸やミネラルをしっかり感じることができます。香りがとても繊細なので、冷やしすぎず12~14度程度で飲んでいただきたいです」
試飲コメント:やや淡い麦わら色。注いだ瞬間から広がるエレガントな香り。フレッシュかつ濃縮した黄色い果実とミネラルのニュアンスがあります。口に含むとレモンやグレープフルーツのような柑橘系のフレッシュな酸に満たされます。それでいて口当たりは柔らかく、ミネラリーな余韻が持続します。

10ヶ月古樽熟成!
濃密かつフレッシュなクリュ エトナ ビアンコ

エトナ ビアンコ カルデラーラ ソッターナ

エトナ ビアンコ カルデラーラ ソッターナ

クリスティアン氏:
「カリカンテのクリュ エトナ ビアンコ カルデラーラ ソッターナです。1000Lの古樽で10ヶ月熟成させています。サービス温度によって表情が変わる味わいを楽しんでいただきたいです。ホタテやウニ、ウサギやキジの煮込みなどに最適です。カルデラーラ ソッターナはスパイスの風味を生み出す土壌なので、クミンやカルダモンなどのスパイスの効いた料理にも合います」
試飲コメント:輝く麦わら色。黄色い果実や白い花などを感じる凝縮感のある香り。口当たりはソフトで、濃密かつフレッシュな果実感が口中に広がります。鋭い酸と華やかな風味が長く持続します。

綺麗な酸とエレガンスに満たされるエトナ初の歴史的ロゼ

エトナ ロザート

エトナ ロザート

クリスティアン氏:
「これはエトナで初めて造られたロゼワインです。シチリア全体でもロゼの評価が低かった頃、マルコがロゼ専用の畑を設けて造り上げた高品質ロゼです。畑の標高は850mのため、しっかりした酸とエレガントさが表現されています。また、しっかりした骨格とスパイスの風味もあり、熟成向けのワインにも仕上がります」
試飲コメント:淡い玉ねぎの皮色。イチゴなどベリー系果実のエレガントな香り。ソフトな口当たりで非常にエレガントな味わいです。繊細な酸と赤系果実のニュアンスが見事に調和しており、とりわけ綺麗な酸が余韻として長く持続します。

バランスに優れたテッレ ネーレの定番ロッソ

エトナ ロッソ

エトナ ロッソ

クリスティアン氏:
「このワインは、生産量の半分を占めるとても重要なワインです。お手頃な価格でテッレ ネーレの導入に最適な定番ワインです。ネレッロ マスカレーゼ主体で造られており、16ヶ月の樽熟成をおこなっています。ブドウの90%は50年未満の若い樹です。クリュではないベースのワインは、赤白ともに買いブドウを一部使用しています。60~70%はエトナDOCの北部にある所有畑から、30~40%は東もしくは南の畑から契約畑です。私たちにとってのエントリーワインは、テロワールではなく品種を表現しています。お手頃ではありますが、他のワインと変わらず品質は高いです。15年ほどは熟成可能です。タンニンはシルキーでなめらかで飲みやすく、開けてすぐ楽しめます。肉、魚、野菜、何にでも合わせやすいです。徐々に、クローブの香りが出てきますが、これはカルデラーラ ソッターナのスパイス成分由来です」
試飲コメント:ガーネット色に帯びたルビー色。赤系果実や黒系果実、花などの凝縮かつフレッシュな香り。香り同様の統一感のある味わいで、果実感、酸味、タンニン、スパイス、全ての要素がバランスよくまとまっています。

クリュ「カルデラーラ ソッターナ」20周年記念!
当主マルコ氏お気に入りの畑で造る限定クリュ エトナ ロッソ

エトナ ロッソ カルデラーラ ソッターナ ベッラコロンナ

エトナ ロッソ カルデラーラ ソッターナ ベッラコロンナ

クリスティアン氏:
「クリュ エトナ ロッソ カルデラーラ ソッターナの20周年を記念して造られた限定ワインです。ベッラコロンナとは、そのコントラーダの中にある畑の名前です。当主マルコお気に入りの畑で、限定クリュとして選ばれましたが、樹齢は18年と若いので、来年からはスタンダードのエトナロッソに使われます。高樹齢のブドウしか用いられないクリュに戻るには、早くて32年後でしょうね。生産本数は1万2000本で、95カ国に輸出しているので日本に入ってくる本数も限られてきます」
試飲コメント:ガーネット色に帯びたルビー色。果実味豊かな複雑な香り。赤系果実や黒系果実に加え、スパイスのニュアンスも。生き生きとしたタンニンがあり、エレガントながらふくよかな味わいです。

樹齢80年以上の畑!
優しい上品な風味に満たされるクリュ エトナ ロッソ

エトナ ロッソ カルデラーラ ソッターナ

エトナ ロッソ カルデラーラ ソッターナ

クリスティアン氏:
「樹齢80年から100年のブドウで造るクリュ エトナ ロッソ カルデラーラ ソッターナです。丸みを帯びてバランスも素晴らしいワインです。秋の雰囲気を感じます。非常に長い余韻が優しく持続します。限定クリュのベッラコロンナと畑も醸造も同じですが、樹齢と酵母が違うだけでこれだけの差が生まれるのです」
試飲コメント:輝くガーネット色。凝縮した赤系果実や土、スパイスなど力強く複雑ながらエレガントで奥行きを感じる香り。口当たりは柔らかく、赤系果実や花のニュアンスを持つ上品な風味に満たされる味わいです。

インタビューを終えて

幼少期からバローロボーイズ、エトナ進出と、当主マルコさんについてたくさんお聞きできたインタビューとなりました。光る原石を見抜く目を持つマルコさんが、未来を切り拓き、新しい時代を築いてきたからこそ、現在も素晴らしいイタリアワインを堪能できるのだと感じました。また、その事実や功績をしっかり伝えないといけないと強く思いました。

試飲したワインは、どれも優れたバランスで優美な味わいでした。特に「テッレ ネーレの導入に最適」だという定番のスタンダード エトナ ロッソは、力強さ、複雑さ、果実味、酸、ミネラル、スパイス、タンニンなど全てが美しく調和していて素晴らしかったです。

何万年も前から噴火活動を続け、今もなお高頻度に噴火を起こすエトナ山。クリスティアンさん曰く、この2年間で標高が100m高くなったそうで、聞いたときは驚きました。エトナ山誕生から現在に至るまで噴火によって蓄積された土壌は偉大だと改めて実感しました。その歴史の重みも含めて、テッレ ネーレのワインを堪能したいと思います。