ブルネッロを世界に広めた最大の功労者「バンフィ」突撃インタビュー

2024/11/14

2024/10/17

宮島 義明氏 Mr. Yoshiaki Miyajima

ブルネッロを世界に広めた最大の功労者&モンタルチーノ産スーパータスカンの先駆け!卓越した品質とスケールを兼ね備えるモンタルチーノ最大の造り手「バンフィ」突撃インタビュー

1978年創業、ブルネッロ ディ モンタルチーノを世界に広めた名門「バンフィ」。創業者のイタリア系アメリカ人マリアーニ兄弟が、高品質なワインを生産する世界的規模のワイナリーを目指して誕生させました。ワインビジネスという概念が存在しなかった時代に、世界市場の開拓に成功し、現在ではブルネッロの生産量が全体の約10%を誇ります。ブルネッロと同様にスーパータスカンの生産においてもモンタルチーノの先頭を走ります。同地区に合計850haもの畑を所有し、スーパータスカンの先駆けとして知られるスムスをはじめ、クム ラウデやエクセルサスといった逸品を生み出しています。今回は、それら3種のスーパータスカンに加え、5つ星評価の秀逸なヴィンテージ2019年のブルネッロ ディ モンタルチーノなどを試飲しながら、バンフィ社の宮島義明さんにオンラインでお話を伺いました。

ブルネッロ ディ モンタルチーノの老舗にして最大のワイナリー
イタリアにルーツを持つアメリカ人一家が歩んだ軌跡

勤続25年超のバンフィ社エリアマネージャー宮島義明さん
――宮島さん、ご無沙汰しております。改めて、自己紹介からお願いいたします。

宮島義明です。私は日本の大学を卒業後、1994年に日本で就職せずイタリアに来ました。当時からF1やイタリアが大好きで「ここで就職して暮らしたい」と考え始めていたところ、翌年の1995年に田崎真也さんがソムリエ世界チャンピオンになったんです。私自身もお酒全般が好きでイタリアワインもよく飲んでいたので、ソムリエの資格取得を目指すことにしました。その後、運良く日本のワイン媒体から仕事をいただき、バンフィを訪問する機会に恵まれました。

海外から多くの方々が訪問するバンフィの規模の大きさを目の当たりにして、「チャンスがあるかもしれない」と思いバンフィにアプローチをかけてみました。その結果、ワインショップのオープニングスタッフとして1997年に入社することができました。その後、マーケティング部に異動して、イタリア国内外のレストラン営業をしています。現在は、トレンティーノ アルト アディジェ、フリウリ ヴェネツィア ジュリア、ヴェネト、エミリア ロマーニャ、マルケの5つの州のエリアマネージャーをしています。

ローマ教皇に仕えた女性給仕長テオドリーナ・バンフィを叔母に持つ
ジョバンニ・マリアーニが1919年に創業した「バンフィ ヴィントナーズ」

――バンフィの歴史も、改めて教えてください。

もともとバンフィの歴史は、1919年にジョバンニ・マリアーニがアメリカで創業した、ワインと食材の輸入会社「バンフィ ヴィントナーズ」から始まりました。会社名はジョバンニの叔母であるテオドリーナ・バンフィに由来しています。テオドリーナは、ローマ教皇に仕えた唯一の女性給仕長として、イタリア国内で広く知られる存在です。

アメリカ生まれのジョバンニは、幼少期に父親を亡くしたことをきっかけに、イタリアに住む叔母テオドリーナのもとで暮らしました。大司教たちに料理を振る舞う彼女の姿を見て育った彼は、イタリアの食文化に興味を持つようになりました。そして、成人後にアメリカに戻り、叔母への感謝を込めて彼女の苗字を取り「バンフィ ヴィントナーズ」設立に至ったのです。これがバンフィ社の原点です。
ジョン マリアーニ会長、クリスティーナ マリアーニ メイCEO

1978年、マリアーニ兄弟がバンフィ社創業
しかし、ビジネスは順調なスタートを切ることができませんでした。というのも、アメリカではちょうど禁酒法が始まるタイミングで、逆風にさらされたからです。そうして事業が成功したとは言えない中、ここモンタルチーノに目を向けたのが、ジョバンニの2人息子ジョンとハリーでした。ハリーは亡くなってしまいましたが、現在92歳のジョンはまだ現役バリバリの会長です。

彼らは、世界中に高品質なワインを届ける大規模なワイナリーを目指して投資を行い、1978年に現在のバンフィを創業しました。当時は「ワインビジネス」という概念が存在せず、仮に4~5haの土地を持ち、年間3万本のブルネッロを生産できたとしても、どこで誰にいくらで売るかは全く見当がつかない時代でした。ワインの売上で生計を立てられたのは、トスカーナやピエモンテのほんの一握りの生産者だけでした。

世界市場の開拓に成功し、生産量はモンタルチーノ全体の約10%までに成長
しかし、バンフィは世界的な市場を開拓し、現在では102カ国にワインを展開するまでに成長しました。バンフィのブルネッロ ディ モンタルチーノの初ヴィンテージは創業年の1978年です。当初の生産本数は約3万本でしたが、現在は好調な年で約70万本を生産しています。この生産量は、モンタルチーノ全体の年間生産量(900万から1000万本)の中でも大きな割合を占めています。こうした成長を通じて、バンフィはトスカーナのワイン生産者にとって重要な存在となったと考えています。

トスカーナとピエモンテ各地 7箇所に広がる所有畑
圧倒的な規模感を誇る本拠地モンタルチーノの醸造施設

合計850haの畑を所有するモンタルチーノ
約50%がサンジョヴェーゼ、残りは多種多様な品種を栽培

本拠地モンタルチーノに所有する栽培面積850haのうち440haがサンジョヴェーゼです。そのうち174haがブルネッロ ディ モンタルチーノDOCG、30haがロッソ ディ モンタルチーノDOCです。それ以外にも多種多様な品種を植えています。赤ワイン用のカベルネ ソーヴィニヨン、メルロー、シラー、カベルネ フラン、プティ ヴェルド。白ワイン用のシャルドネ、ソーヴィニヨン ブラン、ピノ グリージョ、ヴェルメンティーノ。白の甘口用としてモスカート ビアンコもあります。

私たちの自社畑があるモンタルチーノ南西部は、バンフィ社の独自性を形作る「海」の影響を強く受けるエリアです。この地域の多くは数百年前、海底に埋没していた場所(土壌)です。他の場所は山や丘に囲まれていますが、ここからはティレニア海まで40kmにわたり平原が広がっています。そのため、夏に直接吹く海風もワインに個性を与えているのです。

エンポリ県のチェッレト グイディ&カステッリーナ イン キャンティ
フィレンツェ西部に位置するエンポリ県の畑チェッレト グイディ。現在、セリエAのチームがあるエリアですが、ベーシックなキャンティの生産地です。クラシコ地区南部のカステッリーナ イン キャンティの畑では、キャンティ クラシコやリゼルヴァ、グランセレツィオーネを造っています。

ボルゲリ最南端カスタニェート カルドゥッチ&その南に位置するカザラッピ
ボルゲリ最南端のカスタニェート カルドゥッチに5.5haの小規模な畑があります。カベルネ ソーヴィニヨンとカベルネ フランを栽培しています。そこから15km南にカザラッピというイタリア人でも知らないような場所にも畑があります。海沿いでヴェルメンティーノを中心に栽培しています。

グロッセート県カステル デル ピアーノのチェントイア
モンタルチーノの南、グロッセート県カステル デル ピアーノに位置するチェントイアという畑。目の前には、トスカーナで最も標高の高い1740mの旧火山アミアータ山がそびえています。コル ディ サッソなどに使われるフレッシュで早飲み用のブドウが栽培されています。

ピエモンテ州アレッサンドリア県の2箇所
1978年に創業したバンフィ モンタルチーノですが、その翌年にバンフィ ピエモンテは誕生しました。1860年から続くワイナリーを取得して、メトド クラシコなどの生産技術を譲り受けました。畑の場所は、アレッサンドリア県のストレヴィとノーヴィ リグレです。バンフィ ブリュット(シャルドネ、ピノ ネロ、ピノビアンコ)やガヴィ(コルテーゼ)、モスカート ダスティ、ブラケット ダックイ、ドルチェット ダックイなどのワインを造っています。
ホライゾンシステム

1万4000Lのワインが生産可能な独自の発酵タンクを24機所有
各地で栽培されたブドウはモンタルチーノに運ばれて醸造が行われます。選果台では手作業でブドウを厳選後、光学式センサーで粒ごとの機械選別をし、健全に完熟した粒のみを発酵タンクに仕込んでいきます。発酵タンクはステンレスとフレンチオークの長所を兼ね備えたハイブリッド仕様です。下部には重力式でいつでもワインを引き抜けるステンレスタンクが配置してあります。

この発酵タンクをホライゾンシステムと称し、特許技術を取得しています。タンク1機の容量が1万7700Lで、およそ1万4000Lのワインが生産できます。これが合計24機(システム)あります。

広大なセラーに並ぶ大樽の数々
大樽熟成で図る伝統的ブルネッロへの回帰

また、地下9mのセラーには、6000~1万3300Lの大樽があります。私たちは大樽を30以上導入し、小樽を減らしました。これは温暖化対策とブルネッロ ディ モンタルチーノの伝統的なスタイルへの回帰のためです。大樽を用いることで同じ度数でもフレッシュに感じさせ、透明感としなやかさを引き出しています。

小樽があった部屋は、現在では単一畑ごとに4000Lの大樽で熟成を行う空間に変わり、個性豊かなブルネッロの熟成を可能にしています。一方で、350Lの小樽は地上階セラーにあり、スーパータスカンの熟成に使用しています。

「モンタルチーノのスーパータスカンとして草分け的存在」
飲み手に感動を与え続けるバンフィ社のワイン造り

伝統的なブルネッロとスーパータスカン、両者で高め合ってきた存在価値
1980年代初頭にブルネッロ協会がアメリカ市場に向けて行った試飲会では、カベルネ主体の混醸ワインが大絶賛されました。この結果は、IGTワイン造りの推進につながりました。様々なテロワールが交錯するトスカーナだからこそ、ブルネッロなどの伝統的なワインとIGTの両立が可能となり、スーパータスカンブームとともにブルネッロの評価向上につながったと考えています。

フィギュアスケートのショートプログラム(規定演技)とフリースケーティング(自由演技)になぞらえ、ブルネッロなどの伝統的なワインを「規定演技」、IGTのスーパータスカンを「自由演技」と表現しています。今回試飲いただく3種のスーパータスカンの名前には全てラテン語を用い、まさに自由演技として私たち独自の特別な思いが込められています。
モンタルチーノで造るバンフィのスーパータスカン3種

ブルネッロとともに国内外で賞賛される「クム ラウデ」
クム ラウデは名誉や賞賛を意味しています。飲み手の方々に「素晴らしいワインだ」と思っていただきたい期待を込めています。基本的にモンタルチーノの自社畑の国際品種やサンジョヴェーゼで造っています。ドイツ市場で大人気のワインで、空港の免税店ではブルネッロと一緒に取り扱われています。

モンタルチーノ産スーパータスカンの先駆け「スムス」
スムスは、頂点を意味しています。ファーストヴィンテージは1985年。特にモンタルチーノ産スーパータスカンの草分け的存在です。サンジョヴェーゼとカベルネ ソーヴィニヨンを掛け合わせたワインで、当初はそこにピノ ネロが入っていたり、1988年からシラーを入れたりと様々です。2020年はサンジョヴェーゼがなくなりメルローが入ります。

進化を追求するバンフィ社最高のスーパータスカン「エクセルサス」
エクセルサスは、非凡なという意味を持ちます。初ヴィンテージは1993年。時期によってカベルネ主体とメルロー主体を繰り返してきました。2018年ヴィンテージからカベルネ主体となりましたが、地球温暖化の影響でカベルネ フランなどでの調整も将来的に見込んでいます。

お客様の感動と環境順応を可能にする革新的アプローチ
頻繁にセパージュを変える理由の一つに地球温暖化があります。年々変化する環境に順応する必要があるからです。また、そうして品質が安定したワインを提供するだけでなく、お客様が飲んだ瞬間に「これは面白い!」と感じるような驚きや感動を与えたいとも考えています。体に染み渡るような美味しさや、いわゆる「ワオ!」というような特別なサプライズを表現したいという理由もあり、品種構成を変えています。

今ではイタリア全国津々浦々でワイン造りが行われ、かつて注目されなかった土地でも素晴らしいワインが生まれるようになりました。もはや美味しいワインを造ることは基本です。そこから先に進むために、私たちは醸造法や畑でのアプローチを毎年見直しています。これらスーパータスカンのように中身(セパージュ)を工夫したり、新しいワインを開発するなど、多角的な取り組みを進めて、新たな驚きと感動を届けられるようなワイン造りを進めていきたいと考えています。

細かい泡とクリアな酸が魅力のメトドクラシコ

バンフィ ブリュット メトド クラッシコ

バンフィ ブリュット メトド クラッシコ

宮島さん:
「バンフィ ブリュットは瓶内二次発酵を24ヶ月行って造るメトドクラシコです。バンフィピエモンテは1979年創業。1860年に創業したカンティーナ ブルッツォーネが前身で、1890年にはメトドクラシコ生産していた造り手です。私たちは、彼らのそのノウハウを引き継いでブリュットなどを生産しています。品種は、ピノ ネロ50%、シャルドネ40%、ピノ ビアンコ10%。ステンレスタンクで醸造させています。細かい泡とクリアな酸が魅力で、体に染み渡るような飲み心地があります。食事との相性も良く、イタリアの揚げ物や軽めのパスタ、リゾットと合います。食事なしでも爽快に飲める万能なワインです」
試飲コメント:やや濃い麦わら色。柑橘類のフレッシュでエレガントな香り。トースト香のニュアンス。口当たりはクリーミー。非常にフレッシュな酸に満たされ、柑橘の皮を感じる後味が現れます。白い果実や花の風味が酸とともに長く持続します。

ブドウ本来の風味を楽しめるシャルドネとピノグリージョの白ワイン

レ リメ トスカーナ

レ リメ トスカーナ

宮島さん:
「バンフィは注力する日常的に楽しめる白ワイン、レ リメです。リメとは韻(いん)を意味していて、使用品種のリズミカルな混醸スタイルを表現しています。レ リメの2022年は、シャルドネ73%とピノグリージョ27%です。ステンレスタンクのみで造られています。いわゆる「ネイキッド」と言われるような、ブドウ本来の風味を引き出したスタイルです。アペリティフや魚介類、野菜と良く合います。モンタルチーノや南部のチェントイアなど、様々な畑で造っています」
試飲コメント:淡い麦わら色。繊細な白い果実のジューシーな香り。爽やかさを感じます。口当たりが非常に柔らかく、香り同様の繊細でフルーティな味わいがあります。あとからやってくる苦味とともに繊細な果実の余韻があります。

バンフィ社が誇る世界的ベストセラー赤ワイン

コル ディ サッソ トスカーナ

コル ディ サッソ トスカーナ

宮島さん:
「コル ディ サッソはバンフィの世界的ベストセラー赤ワインです。年間100万本程度の販売実績があります。イタリアとアメリカだけで全体の8割を占めます。ヴィンテージにより比率が変わりますが、2022年はカベルネ ソーヴィニヨン68%、サンジョヴェーゼ32%です。ステンレスタンクのみで造られ、早飲みワインとして楽しめるサンジョヴェーゼの酸とチャーミングなタンニンが特徴です。暑い時期には少し冷やすと、タンニンはまろやかになり喉を潤す赤ワインとして楽しめます。焼き鳥のような料理にも合います」
試飲コメント:やや淡いルビー色。黒系果実と赤系果実、花を感じる凝縮感のある香り。濃縮感がありながらも、華やかで軽やかな味わいです。滑らかなタンニンと果実味の心地よい余韻。

大樽メインの醸造にシフト!
バンフィ社の代名詞、ブルネッロ ディ モンタルチーノ

ブルネッロ ディ モンタルチーノ

ブルネッロ ディ モンタルチーノ

宮島さん:
「バンフィの看板商品ブルネッロ ディ モンタルチーノです。2019年は5つ星評価の秀逸なヴィンテージです。同じく優れた年の2016年とは違い今から楽しめます。4月、5月は非常に寒くゆっくりとブドウが成熟し、夏は暑く乾燥していました。このギャップにより理想的な成熟を遂げることができました。最低2年から2年半の樽熟成を行っていますが、2019年から小樽の使用を9割以上排除して、大樽メインで造っています」
試飲コメント:ガーネットに近いルビー色。グラスに注いだ瞬間に、エレガントなアロマが広がります。赤系果実、熟した果実、花などの要素が繊細に溶け合った香り。チェリーやスミレの明快な風味に加え、徐々にタンニンの甘さとスパイスが現れます。ミネラルのニュアンスも感じます。

バンフィのスーパータスカンシリーズ
世界で絶大的人気を誇るスーパーセカンド

クム ラウデ トスカーナ

クム ラウデ トスカーナ

宮島さん:
「バンフィのスーパータスカン、クム ラウデです。クム ラウデとは、誉、賞賛を意味するラテン語です。ボルドーのスーパーセカンドのような、私たちのスーパータスカンのセカンド的位置付けのワインです。特にドイツ市場で人気が高く、空港の免税店でもブルネッロと共に販売されています。ヨーロッパ各地で高い評価を得るワインですね。ファーストヴィンテージは1999年。2020年までは、モンタルチーノのカベルネ ソーヴィニヨン、メルロー、サンジョヴェーゼ、シラーをほぼ均等に混醸していました。2020年ヴィンテージの具体的なセパージュはカベルネ ソーヴィニヨン46%、メルロー34%、サンジョヴェーゼ8%、シラー12%です。ふくよかで赤い果実味が豊かで、誰でも楽しめる飲みやすさがあります。

2021年ヴィンテージからまたセパージュが変わりました。カベルネ ソーヴィニヨン59%、メルロー26%、サンジョヴェーゼ10%、プティ・ヴェルド5%です。醸造家はセパージュは常に変わる可能性があるといい、元のブレンドに戻ることもありえます。2021年は特にグリセリンアルコールが豊かでボリューム感があります。柔らかなタンニンも相まって個性豊かなヴィンテージに仕上がっています」

試飲コメント:やや濃いルビー色。重厚で複雑な香り。黒系果実やプルーンのような熟した果実、リコリス、スパイスを感じます。香り同様の統一感のある味わい。調和が取れており、タンニンとともに黒胡椒のニュアンスの余韻が持続します。

バンフィのスーパータスカンシリーズ
モンタルチーノ産スーパータスカンの先駆的な存在

スムス トスカーナ

スムス トスカーナ

宮島さん:
「バンフィのスーパータスカン、スムスです。ファーストヴィンテージは1985年であり、モンタルチーノ産スーパータスカンの先駆的な存在として広く認知されています。2017年からラベルを一新しました。2017年のセパージュは、ヴィーニャポッジョーニと呼ばれるブルネッロの畑のサンジョヴェーゼ42%、単一畑ヴィーニャマルケートのカベルネ ソーヴィニヨン35%、カステッロ バンフィ南にあるベルベデールのシラー23%です。スムスという名前は頂点を意味し、ファーストヴィンテージではカステッロバンフィ スムスとしてリリースしていました。最高のサンジョヴェーゼ、カベルネ ソーヴィニヨン、そして当時はピノ ネロを使用し、モンタルチーノの自社畑から最高品質のIGTワインとして登場しました。現在はピノ ネロをやめ、1988年以降はシラーを使用し始めました。この変更により成功したスムスは、以降人気であり続けています。最新の2020年はカベルネ ソーヴィニヨン55%、メルロー28%、シラー17%で構成されており、サンジョヴェーゼがなくなりました」
試飲コメント:ガーネット色。力強く豊かな香りがあります。森の果実や土のニュアンスなど魅惑的な香り。香りに要素に加え、黒胡椒などを感じる重厚な味わい。それでいて口当たりはソフトで、果実味とタンニンが綺麗に溶け合っています。

バンフィのスーパータスカンシリーズ
カベルネ ソーヴィニヨン主体で造られるトップキュヴェ

エクセルサス トスカーナ

エクセルサス トスカーナ

宮島さん:
「バンフィのスーパータスカン、エクセルサスです。2018年ヴィンテージのセパージュはカベルネ ソーヴィニヨン85%、メルロー15%。ファーストヴィンテージは1993年で、2004年頃まではカベルネ ソーヴィニヨンの比率がメルローを上回っていました。しかし、それ以降のヴィンテージではメルローが多く、カベルネ ソーヴィニヨンが減少。現在はリリース当初の比率に戻り、カベルネ ソーヴィニヨンが高い構成となっています。今後は、地球温暖化が叫ばれる昨今において将来性の高いカベルネ フランがブレンドされることも見込んでいます」
試飲コメント:深みのあるガーネット色。ドライフルーツや革、落ち葉などといった複雑で奥行きのある香り。フレッシュさも感じます。上品な果実やドライフルーツなどの味わいが、存在感のあるタンニンと見事に溶け合っています。

インタビューを終えて

今回は、スーパータスカンに焦点を当ててお話をしていただきました。イタリアにはない国際品種とモンタルチーノのニュアンスが見事に感じられる味わいで素晴らしかったです。850haも所有する本拠地モンタルチーノの畑で造られたスーパータスカンであることも納得の味わいです。

また、「毎年のように品種構成を変える」「ブルネッロに小樽の使用は極力避ける」など変化を恐れない姿勢が、ワイナリーの進化と安定した品質を可能にしていると実感しました。今回試飲させていただいたバンフィ ブリュット、レ リメ、コル ディ サッソ、ブルネッロ、スーパータスカン。どのワインに対してもスタッフから「食事と合わせたくなる」「冷やしても美味しいかも」「飲み飽きない」などの感想があったように、明確な個性の違いと品質の高さを感じました。

スーパータスカンに焦点を当てていたものの、やはり避けて通れないのがブルネッロ ディ モンタルチーノ。「2019年は、今飲んでもすごい美味しいです」という感想に対して宮島さんは、「2016年など過去の5つ星満点ヴィンテージの中で、今飲んで最高なのは2019年」とおっしゃっていました。グラスに注いだ瞬間に複雑で繊細な香りが広がり、バランスの良い味わいで素晴らしかったです。