ビオディナミ農法の第一人者「カルロ ノーロ」

2025/03/31

2025/03/12

ヴァレリオ ノーロ氏 Mr. Valerio Noro

ビオディナミ農法の第一人者としてイタリア全土の土壌再生に大きく貢献!注目産地チェザネーゼ デル ピリオの個性を映し出す自然派「カルロ ノーロ」

イタリアにおけるビオディナミ農法の第一人者として知られるカルロ・ノーロ氏。1970年代から独自にビオディナミの研究を始め、その実践によって「何も育たない」とされていた土地で成果を上げた先駆者です。これまでに600軒以上の農家を指導し、300人以上の弟子を育成。現代ビオディナミの巨匠ミケーレ・ロレンツェッティ氏もその1人です。彼がコンサルタントを務めるグラヴネルでは、カルロ氏のプレパラシオン(ビオディナミ農法で使用される、天然成分の調合剤)を用いてビオディナミ農法が導入されました。2010年には、カルロ氏のご子息ヴァレリオ ノーロ氏がワイナリー「カルロ ノーロ」を設立。ラツィオ州ピリオにある見放された畑を見事に再生させ、土着品種チェザネーゼとパッセリーナを用いたナチュラルなワイン造りをしています。今回はヴァレリオ氏をお迎えし、造り手としての歴史や哲学についてお話を伺いました。

イタリアにおけるビオディナミ農法の第一人者
農家カルロ・ノーロ氏の出発点

ラツィオ州ピリオに根付きビオディナミを体現する家族経営ワイナリー
――それでは、カルロ ノーロの歴史からお聞かせください。

私はヴァレリオ・ノーロです。カルロ・ノーロの息子で、家族経営ワイナリー「カルロ ノーロ」を兄と一緒に運営しています。従業員はおらず、畑の栽培から醸造まですべて自分たちの手で行っています。ラツィオ州ピリオにある畑を所有し、土着品種のチェザネーゼを中心に栽培しています。

私たちが信条とするのはビオディナミ農法です。ビオディナミの本質は、人智学者ルドルフ・シュタイナーが説いた「食事は人間の精神や魂にも影響を与える」という考えにあります。単なる農法だけではなく、人智学や哲学が含まれる考え方です。
カルロ・ノーロ氏

1970年代――誰も成し得なかった「実践による成果」の挑戦
父がビオディナミに興味を持ち始めたのは、1970年代のことです。当時は化学肥料や農薬を用いる慣行栽培が主流で、代替となる方法を模索していました。すでにビオディナミの理論自体は存在していましたが、実践による成果が示された事例はほとんどありませんでした。父は、その「結果」を自らの手で示したいと思ったのです。

1980年代――独学で経験を積んで協会を設立
自らイタリア全土を巡り、普及活動に尽力

父は27歳の頃から、本業のかたわら、師と呼べる存在もいない中、ただ1人でビオディナミの理論に向き合い、畑での試行錯誤を通して実践的な経験を積んできました。そして、1980年から1992年にかけて、父はビオディナミ農法の普及のため、イタリア全土で講師として講義を行いました。1982年には、ラツィオ州にビオディナミ協会を設立し、その後ピエモンテをはじめとする各地で支部の立ち上げにも尽力しました。すると、1990年代初頭、父の人生を大きく動かす出来事が起こりました。

人生を変えたひとつの出会い
すべてを賭けたビオディナミの実践が証明した確かな成果

1990年代――世界的なビオディナミの先駆者アレックス・ポドリンスキー氏との出会い
それは、アレックス・ポドリンスキーとの出会いでした。彼は、理論にとどまっていたビオディナミ農法をいち早く実践に移した先駆者です。1950年代にウクライナからオーストラリアへ移住し、数百ヘクタールの農地にビオディナミを導入。農業改革を進め、高品質な作物の生産に成功した人物です。

ポドリンスキーは1992年頃にヨーロッパに戻り、そこで目の当たりにしたビオディナミの「惨状」に驚いたそうです。そして、「ビオディナミが本当に機能している農園を見たい」と求める中で、偶然、父カルロ・ノーロと出会ったわけです。父は長年独学でビオディナミを実践し、プレパラシオン(※)を作っていました。
※ビオディナミ農法で使用される、天然成分の調合剤

「ヨーロッパの農民のためにプレパラシオン作りに専念してほしい」
ポドリンスキー氏の言葉が導いた、ビオディナミにすべてを捧げる覚悟

父の高品質なプレパラシオンに驚いたポドリンスキーは、「今の仕事をすべて辞めて、ヨーロッパの農民のためにプレパラシオン作りに専念してほしい」と伝えました。まだ私たち子どもが幼かったにもかかわらず、父は安定した職を手放し、その使命に人生を捧げる決断をしました。

1990年代後半――「何も育たない」とされた畑の再生に成功
ビオディナミの効果を実践で証明

とはいえ、当時の時代背景として、農業は先のない職と見なされ、むしろ農業以外の道を選ぶほうが現実的とされていました。そんな中でも家族を養わなければならず、父は生活費を稼ぐために、「作物など育たない」とされていた農園で野菜作りを始めました。過去20年にわたる経験を注ぎ込み、「もし何も育たなければ、ビオディナミは信じない」という覚悟でした。

1992年から始めて、その努力が実を結んだのは1998年頃。野菜専業農家として独立できるレベルに達し、それ以降は高品質な野菜を安定的に収穫できるようになりました。つまり、ビオディナミ農法の効果が、目に見える形で証明されたということです。ポドリンスキーと出会い、実際に自分の畑が成果をあげたことで「従来の農法とは異なる効果」を確信したのです。

2013年――弟子であるビオディナミの巨匠ロレンツェッティ氏と学校を設立
グラヴネルのビオディナミ導入時にカルロ氏のプレパラシオンを使用

そうしてビオディナミで成果をあげた父のもとに、イタリア各地の農家からコンサルタントの依頼が相次ぐようになりました。当初は「私は農民であり、人に教えることはしない」と固辞していましたが、その要望に応えるため、2013年にビオディナミの専門学校(Professione Biodinamica)を設立しました。カンティーナがあるラビコに位置しています。

共同創設者は父の弟子であり、現代ビオディナミの巨匠ミケーレ・ロレンツェッティです。彼が指導したグラヴネルでは、父のプレパラシオンを用いてビオディナミ農法が導入されました。現在74歳の父ですが、授業による収入はすべてビオディナミの研究費にあてています。

ワイナリー「カルロ ノーロ」を設立
父の背中を追い、土壌と真摯に向き合うワイン造り

見放された畑を「宝」へと蘇らせて造るナチュラルなワイン
2010年、私たちはピリオの畑を取得して、ワイナリー「カルロ ノーロ」の歴史をスタートさせました。約2000本を生産した2009年がファーストヴィンテージです。畑の広さは5ha。長らく栽培が放棄されていた1969年植樹の古い畑では、劣化したセメント製の杭や針金をすべて取り外し、手作業で一から整備しました。

そして、もちろんビオディナミ農法を導入し、土壌の地力を高めていきました。そうして再生された畑は、今では私たちにとって「宝」と呼べる存在になりました。そして、自然な農法で育ったブドウを、なるべく手を加えずにナチュラルな形でワインを造っています。

当主ヴァレリオ氏のワイン造りの原点
「ピリオの原風景」「父の背中」「人智学・哲学の学び」

――ヴァレリオさんがワイン造りを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

きっかけは幼少期からの原体験にあります。収穫祭のたびに家族とともにピリオを訪れ、大人たちがワインを楽しむ光景を間近で見て育ちました。当時の私は、ブドウ栽培やワイン造りは世界で唯一ピリオだけで行われていると本気で信じていたほどです(笑)。

さらに、父がイタリア各地で講義を行い、人智学や哲学に触れる環境にも身を置いていました。そういった幸運が重なり、自然とワイン造りの道を選ぶことになりました。私たちがピリオの畑を選んだのも、父の出身地だからなんです。

火山が多く豊かな自然が守られてきた丘陵地「ピリオ」
ピリオは、アブルッツォ州との州境に接した丘陵地帯に位置しています。周囲には火山が多く、火山性土壌と石灰岩土壌が重なり合い、さらにはティレニア海から直線距離で約20kmという立地です。海からの風がもたらす気候の影響によって、この地ならではのミクロクリマが形成されています。

かつて、ラツィオ州では多くの人々が農業を離れ、大都市ローマなどへと移り住みました。その結果、この地域では過剰な開墾や森の伐採がされることなく、豊かな自然環境が保たれています。大規模なワイン投資や外部資本の流入もなく、チェザネーゼなどの土着品種が国際品種に置き換えられることもなく、長きにわたり受け継がれてきたのです。
特異なミクロクリマが生む
エレガンスと骨格に優れた「チェザネーゼ デル ピリオ」

土着品種チェザネーゼは「チェザネーゼ デル ピリオ DOCG」「チェザネーゼ ディ アッフィーレ DOC」「チェザネーゼ ディ オレヴァーノ ロマーノ DOC」など複数のエリア(呼称)で造られています。その中でも特に高く評価されるのは「チェザネーゼ デル ピリオ」です。

その理由は、先述のミクロクリマがもたらす効果にあります。土壌、海風、そして豊かな自然がもたらす綺麗な空気。こうした複合的な自然条件が、エレガントさと骨格を兼ね備えたワインを生み出しています。

品種と畑の個性を最大限に引き出すべく、5haを10区画に細分化
所有畑はピリオ内に点在しています。それぞれ性質が異なるため、合計5haを10区画に細分化しています。その多様性を活かし、白、ロゼ、赤と幅広いスタイルのワインを造っています。すべてのワインに共通するのは、塩味とバランスよく感じられる自然な甘みです。特にチェザネーゼ(オンチャ ロッソ、フォレタノ)は、ステンレスタンクのみで発酵、熟成させることで、品種本来のスモーキーさや熟成香を引き出しています。

規定よりも大切にしたい、ピリオで造るチェザネーゼの魅力
DOCGが制定された当時、チェザネーゼは他品種とブレンドされるのが一般的でした。そのため、私たちのようにチェザネーゼ100%で造ると、色や香りなどが昔の基準に達しないことがあります。真面目に造っているワインが認められないのは納得できないため、原産地呼称の取得は目指していません。ピリオはまだ知られていない土地ですが、徐々に品質が評価されていくと信じています。

1本のブドウ樹に込めた想いが環境全体の未来を切り拓く
カルロ ノーロが思い描くこれからの時代

全工程を細部にわたり管理して造り上げる最高の1本
私はこの仕事が心から好きで続けてきました。これまで多くの失敗を経験し、試行錯誤を繰り返してきました。その積み重ねがあったからこそ、今のワインがあります。私たちは従業員を持たない家族経営の小さなワイナリーです。畑の手入れから醸造に至るまで、すべての工程を自分たちの手で行っています。

いわば「職人仕事」のワイン造りです。生産本数は年間で約2万本、多くても3万本が限界です。それ以上になると、品質を細部まで管理できなくなると考えています。「このワインが世界で最高だ」と言うつもりはありません。しかし、私たちにとって、最も納得のいく造りから生まれた1本だと信じています。

美味しいワインを超えて目指す、ビオディナミ実践による環境改善の循環
私たちの目標は、ただ美味しいワインを造ることではありません。もちろん、ワインを評価してもらい、みなさんに楽しんでもらうことは大切です。しかし、それと同じくらい大切なのが、ビオディナミ農法によって農地を再生し、その取り組みが環境の改善につながることを示すことです。

そして、その結果を見た周囲の農家の方々が、心を動かされて自然農法に切り替えてくれる。そんな波及効果が生まれることを期待しています。そうした変化が地域全体の環境をより良い方向へ導き、結果として私たち自身の畑にも還元されていきます。このようなWin-Winの循環を築くために、農法の転換を促す働きかけをしていきたいと考えています。

「ブドウも人間と同じ」1本1本の個性に寄り添う畑仕事
――お兄さんとの仕事の役割分担はどのようにしているのですか?

私の兄は、子どもの頃から父に付き添って多くのことを学んできました。そのため、何事においても私より優秀です。書類関係の仕事は兄が担当しています。兄は理系の高校出身、私は美術系の文系の高校出身です。そのため、剪定ひとつとってもスタイルが異なります。兄は効率とスピードを重視し、私は美しさにこだわるタイプなんです。

よく兄から急かされますが、決して私が遅いのではなく、彼が速すぎるんです(笑)。ブドウも人間と同じで、1本1本に個性があります。子どもたちがそれぞれ異なるスピードで成長するように、植物も同じペースでは育ちません。だからこそ、その株に合わせた剪定をしています。

新たに2haの畑を取得
次世代へと未来をつなげ、じっくりとピリオで続くワイン造り

私たち兄弟はまだ若く、この地域で農業をしていること自体が珍しい存在です。ピリオで作業をしていると、地元の方から「君たち、フォレタノかい?」と声をかけられたこともあります。フォレタノとは「よそもの」を意味し、どちらかというとネガティブな響きを持つ言葉です。しかし、私たちはそれを誇りとして受け止め、この地で挑戦し続けています。

昨年、新たに2haの畑を取得し、来年の植樹を予定しています。私たちは農家としては2代目ですが、ワイン造りはまだ1代目です。理想のブドウが育つには何世代にもわたる時間が必要です。兄の子どもたちをはじめ、新しい世代がこの仕事を受け継いでくれることを願っています。

フレッシュな酸と塩味に満たされるエントリー白ワイン

オンチャ ビアンカ 2022

オンチャ ビアンカ 2022

ヴァレリオ氏:
「オンチャ ビアンカ 2022年は、ピリオの山の麓にある石灰岩礫の深い土壌で育ったパッセリーナ デル フルジナーテで造られています。飲みやすく、塩味のある味わいが特徴。白ワイン産地ではない、この地でも高品質なワインができることに驚いた生産者たちが、近年パッセリーナ デル フルジナーテを植え始めています。かつてはマセレーションを重視していましたが、2013年以降は飲みやすさを追求しています。容器はステンレスタンクが最適と判断し、品種や土地の純粋な表現を大切にしています。酸が強いマルケやアブルッツォ産のパッセリーナに比べ、こちらは塩味が強くまろやかな味わいです」
試飲コメント:黄金色。黄色い果実やキャンディー、ビワ、ハーブの香り。柔らかい口当たりで香り同様の味わいを感じられます。フレッシュかつ引き締まった酸が現れ、塩味とともに持続します。

果実味やミネラル、旨みが複雑に絡み合うクリュ白ワイン

コスタフレッダ 2021

コスタフレッダ 2021

ヴァレリオ氏:
「コスタフレッダは単一畑で造る白ワインです。コスタフレッダが寒い海岸を意味するように、畑は冷涼な標高350mに位置。北東向きの急斜面にある古樹の畑です。火山性堆積土壌に粘土が重なる土壌です。2021年は例外的に20%のマセレーションをしました。というのも、2021年のオンチャ ビアンカが発酵の時点で強さが足りず、リリースを断念し、その経験を活かしてテンションのある酸味と塩味を意識した造りにしました。しっかりとした骨格があり、まろやかさも感じられます」
試飲コメント:琥珀に近い黄金色。黄色い果実や白系果実の香り。香ばしさも感じます。抜栓直後は親しみやすい果実感がありますが、時間とともにミネラルなどの要素も現れます。口当たりは滑らかで旨みも感じる複雑な味わいの余韻がじんわりと持続します。

完熟かつフレッシュな赤系果実とタンニンが溶け合うロゼワイン

フォルチレッナ ロザート 2022

フォルチレッナ ロザート 2022

ヴァレリオ氏:
「チェザネーゼ100%のロゼワインです。ロゼ専用の区画で、1968年植樹の畑のみで造っています。一般的なロゼとは異なり、間引きや早摘みをすることなく、石灰粘土質土壌由来の力強さを引き出しています」
試飲コメント:濃い玉ねぎの皮。熟した赤系果実やネクター、イチゴの香り。フレッシュな赤系果実と穏やかなタンニンが溶け合う心地よい味わい。余韻には軽やかなイチゴのニュアンス。

爽やかな酸と塩味が特徴的なエントリー赤ワイン

オンチャ ロッサ 2020

オンチャ ロッサ 2020

ヴァレリオ氏:
「オンチャ ロッサは、オンチャ ビアンカと同じ区画のチェザネーゼから造られています。爽やかな酸が特徴で、発酵、熟成ともにステンレスタンクを使用。以前は木樽も使用していましたが、ステンレスのほうが品種の特徴を活かせると判断しました。タンニンとアルコール感をしっかり感じられる構成で、自然な甘みと塩味が調和しています。すべてのワインに共通することですが、私たちのワインは食との相性を大切にしています。ぜひ、ご自身のお好みの料理と合わせて楽しんでください」
試飲コメント:ガーネット色。赤系果実を主体に黒系果実や黒胡椒などのスパイス、爽やかな香りがあります。香り同様の果実感としなやかなタンニンが調和し、余韻には塩味を感じさせるエレガントな風味が持続します。

スモーキー&エレガンスが際立つクリュ赤ワイン

フォレタノ 2020

フォレタノ 2020

ヴァレリオ氏:
「フォレタノは、火山性土壌に粘土を多く含む単一区画のチェザネーゼから造られるワインです。発酵、熟成はステンレスタンクのみを使用。名前のフォレタノはピリオの方言で、よそものを意味します。ネガティブな響きが強い言葉ですが、あえて私たちはその言葉を誇りとして受け止め、この地で挑戦する世代として、また新たな世代が現れるきっかけになれたら嬉しいです。そして、そう呼ばれた場所が、ここの畑だったのでそう名づけました。マセレーションはオンチャ ロッサより長めに行っています。リコリスを思わせる軽い苦味が特徴的です」
試飲コメント:やや深みのあるガーネット色。フレッシュな赤系果実やレッドグレープフルーツのニュアンス、そしてクリーンなミネラル感が特徴的な香り。香ばしさも際立っています。滑らかな口当たりで、果実感とタンニン、そしてスモーキーなほろ苦さを感じさせる味わいです。エレガントで染み渡る余韻が持続します。

力強さと気品を兼ね備えた上級赤ワイン

コレフルノ 2020

コレフルノ 2020

ヴァレリオ氏:
「コレフルノは唯一木樽(トノー)を使って熟成したワインですが、2021年ヴィンテージからは木樽は使用していません。コレフルノに関しては木樽を再び使用する可能性はあります。コレフルノとは、暑い丘を意味し、火山灰や粘土、砂からなる土壌の畑で造られます。テンションと骨格のあるチェザネーゼが生まれます。この畑は、古くから高品質なブドウ産地として知られ、他エリアのワインに混ぜて補強されてきた歴史も持っています」
試飲コメント:深みのあるガーネット色。完熟した黒系果実や赤系果実に加え、ドライフラワー、スパイス、レザーの複雑な香り。タンニンは存在感を放っていますが口当たりは滑らかです。そのタンニンは豊かな果実味と見事に調和が取れていて、優れたボディとエレガンスを兼ね備えた味わい。茶葉のようなニュアンスも現れます。

インタビューを終えて

非常に充実したインタビューとなりました。カルロさんのイタリアにおけるビオディナミ農法の第一人者としての歴史、功績、そして哲学をしっかりと理解することができ、ヴァレリオさんからはカルロさんから受け継いだ「土壌への熱意」を強く感じました。引き込まれるお話ばかりで、インタビューを終えてからも次々と質問が湧いてくるほどでした。

また、その歴史や哲学に基づいて造られるワインも素晴らしく、特に5haというエリア内での土壌の違いが見事にワインに表現されていて驚きました。特にフォレタノは、火山性土壌をはっきりと感じさせるスモーキーさがあり、エレガントで深みのある味わいが印象的でした。

10年前、ピリオから西に約10kmのオレヴァーノ・ロマーノにあるワイナリーを訪れたことを思い出しました。ヴァレリオさんが話す通り自然豊かで落ち着きのある場所で、ほぼ登山と言えるような道のりでした。夕暮れ時であったこともあり、そこから見下ろす美しい景色は今でも忘れられません。

カルロ ノーロの哲学や想いの詰まったワインを、ぜひご堪能ください。