すべてを「ブルネッロ」の基準で造るという贅沢!伝統派の最高峰「ポッジョ ディ ソット」

2026/08/10

2025/10/17

レオナルド ベルティ氏 Mr. Leonardo Berti

すべてを「ブルネッロ」の基準で造るという贅沢――。
妥協のない選別が生む「ロッソ ディ モンタルチーノ」と、感情を揺さぶる、1樽のみの「ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ」。伝統派の最高峰「ポッジョ ディ ソット」

2025年10月、ブルネッロ ディ モンタルチーノを代表する至高の造り手「ポッジョ ディ ソット」を訪問しました。ポッジョ ディ ソットの哲学はシンプルかつ非常に贅沢です。「すべてのブドウを最高品質のブルネッロにする前提で育て、2年間の大樽熟成を経たあとにブラインドテイスティングでキュヴェを選別する」ということ。

6月にインタビューさせていただいた醸造責任者のレオナルド ベルティ氏が温かく出迎えてくださり、畑とカンティーナを案内して頂きました。

    目 次
  • モンタルチーノの一等地 南東に位置する「カステルヌオーヴォ デッラバテ」
    日照量の多い南向き斜面と昼夜の大きい寒暖差が生む恵まれたテロワール
  • 「早摘み」と、ピジャージュ(パンチダウン)は行わず「ルモンタージュ(液体の回しかけ)」の徹底!ワインに一切のストレスを与えない大樽熟成
  • すべてを「ブルネッロ」の基準で!
    贅沢なロッソと感情を揺さぶる「1樽」のみのリゼルヴァ
  • 唯一無二のエレガンスを生む「自社固有のサンジョヴェーゼ クローン」

モンタルチーノの一等地 南東に位置する「カステルヌオーヴォ デッラバテ」
日照量の多い南向き斜面と昼夜の大きい寒暖差が生む恵まれたテロワール


(ポッジョ ディ ソットのカンティーナがあるテラスから一望できる自社畑)

見晴らしの良いテラスに立つと、広大な畑を一望できます。ポッジョ ディ ソットが管理する20ヘクタールの畑のうち、約半分をこの場所から見渡すことができます。

畑は南東から南西向きの斜面に広がり、日照条件は抜群。一番低い標高150mにあるグランドピアノのような形状の区画から、カンティーナ裏手の標高500mに達する高地まで、標高差があるのが特徴です。

また、ここには休火山であるアミアータ山から常に心地よい風が吹き抜けます。夏の昼間は気温が40度近くまで上がりますが、夜間はこの風によって一気に気温が下がり、昼夜の寒暖差をもたらします。

オルチャ川に近い標高が低いところの畑は粘土質とガレストロ土壌になります。中間部分は有機成分が豊富で、石の多い土壌です。ミネラルも多く、鉄分が含まれるので土の色は赤色を帯びています。

「早摘み」と、ピジャージュ(パンチダウン)は行わず「ルモンタージュ(液体の回しかけ)」の徹底!ワインに一切のストレスを与えない大樽熟成

ロッソ ディ モンタルチーノも最低2年間大樽熟成

ポッジョ ディ ソットでは、アルコール度数が高くなりすぎるのを防ぎ、ブドウ本来のフレッシュな酸を保つため、やや早めの収穫を行っています。標高差によって区画ごとにブドウの成熟タイミングがずれるため、焦ることなく熟度を見極めて収穫を進めることができます(2025年は9月3日~9月27日にかけて実施)。

●栽培・醸造のこだわり
仕立て(コルドーネ スペロナート)
すべての株で左右均等に枝を伸ばす仕立てを採用。樹液(リンパ)が均一に行き渡り、果実の品質が平準化されます。

優しい抽出(ルモンタージュのみ)
2016年に取得した「サンジョルジョ」のカンティーナで発酵。果皮に余計な負荷をかけないようピジャージュ(パンチダウン)は行わず、ルモンタージュ(液体の回しかけ)のみで時間をかけてゆっくり成分を抽出します。

自然なデカンタージュ
発酵後のモスト(果汁)をポッジョ ディ ソットのカンティーナへ移し、翌年1~2月まで静置して自然沈殿させます。

●大樽熟成のタイムライン

熟成に使用するのは、ワインに最も優しいと考えるスラヴォニア産オークの大樽(20~25年ほど使用)のみです。

熟成1年目の移し替え以降はワインには触れずにそのままじっくり寝かせています。熟成完了後、セメントタンクでブレンドして馴染ませてからボトリングを行います。

すべてを「ブルネッロ」の基準で!
贅沢なロッソと感情を揺さぶる「1樽」のみのリゼルヴァ


ポッジョ ディ ソット最大の特長は、「すべてのワインをブルネッロとして造り始める」点にあります。

収穫、発酵後は区画ごとに醸造を行い、2年間の大樽熟成が終了した段階で、テイスティングによってロッソにする樽を選定します。つまり、同社のロッソは「ブルネッロになり得た、非常に贅沢なワイン」であり、そのヴィンテージのスタイルを真っ先に伝える重要な顔なのです。

ブルネッロに選ばれる区画は粘土質が豊富な低標高エリアが多く、約8割は毎年共通の傾向を示します。しかし、冷涼な年や雨の多い年(2014年や2017年など)は、その年の気候条件に合わせて柔軟に選択を変えます。

●感情を揺さぶる「たった1樽」のリゼルヴァ
最高峰キュヴェである「ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ」は、あらかじめ決まった区画から造られるわけではありません。ブルネッロのボトリング直前、テイスティングにおいて「他の樽とは明らかに違う」「感情を揺さぶられる」と感じる至高の1樽だけが選ばれます。もちろん、ブルネッロあってのリゼルヴァなので、ブルネッロが最高品質であることが最も重要なことだと考えています。

超限定生産
生産量は選ばれた大樽のサイズ(10HL~38HL)に依存するため、年間わずか1,200本~5,000本程度という極少生産(2012年は10HLの樽だったため限定1,200本)。

唯一無二の個性
単一区画の特別な個性がそのままボトルに表現されます。

唯一無二のエレガンスを生む「自社固有のサンジョヴェーゼ クローン」


今回の訪問では、同じコッレ マッサーリ グループ傘下であり、同じ栽培・醸造チームが手がける「サンジョルジョ」との比較試飲も行いました。

同じチーム、同じ環境で造られているにもかかわらず、グラスに注がれたワインには明確な違いが現れます。特に際立つのが、ポッジョ ディ ソットならではの透明感と美しい輝きを帯びた淡い色合いです。

この違いを生み出している最大の理由は、使用しているサンジョヴェーゼのクローンの違いです。両者を比べると、明らかにポッジョ ディ ソットの色合いは淡く、エレガントで、輝いています。

サンジョルジョがこの土地に適したクローンをセレクションしたものを植えているのに対し、ポッジョ ディ ソットは自社畑に植わっているオリジナルのサンジョヴェーゼ クローンで造っています。これがポッジョ ディ ソット独自の色や味わいを生み出しています。

この貴重な自社固有クローンこそが、ポッジョ ディ ソット、他にはないエレガンスと高貴な透明感をもたらす最大の秘密です。

全てはブルネッロになる前提!2年間の樽熟成後に初めて誕生するのがその年の顔となる「ロッソ ディ モンタルチーノ」

ロッソ ディ モンタルチーノ 2022

ロッソ ディ モンタルチーノ 2022

2022年は非常に暑くて乾燥した年で、生産量も20~30%ほど減少しました。暑い年ではありましたが、酸が十分あり、決して過熟したような感じにはなっていません。

お話してきたように、ポッジョ ディ ソットは全てをブルネッロにする前提で造っていますので、収穫後2年間は、ロッソ ディ モンタルチーノは存在しません。2年間の樽熟成が終わるタイミングで、どれをロッソにするかを決めています。ロッソ ディ モンタルチーノはそのヴィンテージで最初にリリースされるワインであり、そのヴィンテージの顔にもなります。その年のブルネッロがどういうものなのかを表現しているからです。

ポッジョ ディ ソットのスタイルを最も表現しているブルネッロ ディ モンタルチーノ

ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2020

ブルネッロ ディ モンタルチーノ 2020

2020年はクラシックなヴィンテージです。現時点で2020年のブルネッロは、ポッジョ ディ ソットのスタイルを最も表現しているワインだと思います。素晴らしい香りがあり、エレガントで飲み心地の良さがあります。

1年前の2019年は素晴らしい年ですが、その本領を発揮するにはまだ時間がかかります。そして、飲み頃に達したらその傑出した出来栄えを味わうことができるはずです。アンナータで飲み比べるとしたら、今の段階は2020年のほうがポッジョ ディ ソットらしさが出ていると思います。

もっとも感情を揺さぶられたひと樽のみ選ばれる「リゼルヴァ」

ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ 2019

ブルネッロ ディ モンタルチーノ リゼルヴァ 2019

2019年のリゼルヴァです。とにかく爆発力のあるヴィンテージです。このワインには全ての希望や期待が存在し、必ず満足を得られるものになっています。

気候的に完璧な年でしたし、畑作業も困難なことはありませんでした。生産量も多く、15%ほど増加しました。リゼルヴァは、アンナータをボトリングするタイミングで誕生するわけですが、樽ごとにブラインドテイスティングをして、他とは違う、最も感情を揺さぶられる樽がリゼルヴァになります。また、アンナータよりも1年間長く樽熟成させるので、最も若々しいもの、という要素もあります。

リゼルヴァになるのは1区画だけです。毎年同じ区画がリゼルヴァになるわけではありませんが、だいたい、3~5の区画からリゼルヴァが生まれる感じですね。生産量は選ばれた樽の容量次第なので、例えば38HLなら5000本、30HLなら4000本。2012年は10HLの樽だったので1200本だけでした。

インタビューを終えて

「全てのワインはブルネッロになる前提で造っています」というポッジョ ディ ソットの哲学。つまりそれは、全ての畑、全てのブドウ樹を平等に扱い、最高品質になるように全力を尽くすということです。それを実践するには相当の労力が必要なはずですが、ポッジョ ディ ソットではその哲学が全員に共有され、皆がブレることなく同じ方向に向かって進んでいるのだと感じました。

敷地に足を踏み入れると、畑もカンティーナも隅々まで非常に清潔で美しく整頓されており、最高品質への妥協を許さない姿勢が随所から感じられました。

「収穫から2年間、カンティーナにロッソ ディ モンタルチーノは存在しません」。他では耳にしないこの言葉通り、彼らのロッソは、ブルネッロと違わぬほどの圧倒的なクオリティを誇ります。

「最上級のリゼルヴァを抜き取った後でも、ブルネッロは絶対的な最高品質でなければならない」という確固たる自負。そして「もっとも感情を揺さぶられるひと樽」であるリゼルヴァをどの区画から選ぶかは、ヴィンテージに委ねるという柔軟さも持ち合わせています。

『特定の区画が一番』ではなく、『全ての畑が最高品質』という哲学。なぜポッジョ ディ ソットのワインが世界中で愛され、高く評価されているのか、その理由が深く身に染みて理解できました。

固有のクローンがもたらす、輝くような透明感とエレガントなフィネスには、ただため息が漏れるばかりです。時間をかけて大切に育まれた至高のワインを、ぜひ特別なひとときにご堪能いただければと思います。