2015年2月27日 ヴィニャルタ社 ジュリア ゴミエロ氏来社

2015/02/27
突撃インタビュー
 
2015年2月27日 ヴィニャルタ社 ジュリア ゴミエロ氏来社

「北のボルドー」と言われるコッリエウガネイDOCのトップ生産者ヴィニャルタインタビュー

ジュリア氏と乾杯
ヴェネト州パドヴァの西に広がるコッリ エウガネイ(Colli Euganei)と呼ばれる丘陵地区の造り手ヴィニャルタ。コッリ エウガネイはカベルネやメルローなどのフランス品種が適している土地と考えられ、200年以上前から植樹されています。そのコッリ エウガネイを代表する造り手がヴィニャルタ。設立者のルーチョ氏の長女で輸出担当のジュリアさんにワイナリーの話を聞きました。

溶岩に覆われた火山質土壌と、軟性の石灰質の白亜土壌。2つの異なるタイプの土壌を生かし、コッリエウガネイの個性を発揮するワインを造る

コッリ エウガネイは3000万年前に火山が隆起してできた土地で、緯度がボルドーと近いので、昔からフランス品種に適した土地と言われていて、1870年代には植樹されていました。イタリアで一番最初にメルローが植樹されたのはヴェネトなんです。

コッリ エウガネイには2つの特徴的な丘があります。片方は溶岩に覆われた溶岩質の火山質土壌。もう一つの丘は白亜土壌と呼ばれる軟性の石灰岩土壌。ヴィニャルタの畑は全部で55haあって、このエリア内に点在しているのですが、いろいろな場所にあるおかげでタイプの異なるワインができます。

2つの特徴的な丘の風景

オーナーは異色の経歴。ヴェネツィア大学建築学科出身、アメリカで農場を経営する実業家で大成功。同時にワイン造りにものめり込み、生まれ故郷パドヴァで自らのワイナリーを設立

私の父のルーチョは大学で建築を学んだ後、アメリカ西海岸のサリーナでラディッキオの農場を始めました。一時は日本の需要の半分をまかなうほど輸出していました。その事業を進めるとともにワイン造りへの情熱から1980年にヴィニャルタを設立しました。

研究熱心なルーチョはエノロゴの勉強はしていませんが、ブドウ栽培に関してもワイン醸造についても自分の信念がある人です。設立当初から、ポムロールのような「エレガントでありながら力強いワイン」を造ることを目指しました。

 

ワイナリーのシンボルマークは「ル コルビジェ」のデザイン

ワイナリーのシンボルマークメドゥーサとアドリア海の太陽をモチーフにしたワイナリーのシンボルマークはあのルコルビジェがデザインしたものです。コルビジェは、建築の道を志していたルーチョにとって憧れの建築家。ラベルにも必ず入っています。

ヴィニャルタとは「高い所にある畑」と言う意味。ここでルーチョはお金儲けのためのワインではなく、純粋にワインへの情熱を実現するためにワイナリーを立ち上げました。コッリエウガネイの素晴らしいワインを多くの人に飲んでもらって、この土地の伝統や偉大なテロワールについて知ってもらうこと。これが今のヴィニャルタが目指していることです。

珍しい辛口のモスカート
シリオ モスカート セッコ コッリ エウガネイ 2013
シリオ モスカート セッコ コッリ エウガネイ 2013


モスカートは甘口タイプが多いのですが、これは辛口です。華やかな香りはモスカート特有ですよね。でも、飲んでみるとしっかりとしたドライです。ルーチョは最初にモスカートドライを造ったんですよ。

ミネラルと酸がが特徴的なピノビアンコ
ピノ ビアンコ コッリ エウガネイ 2013
ピノ ビアンコ コッリ エウガネイ 2013


ステンレス醸造で、マロラクティック発酵を約半分ほど行います。半分にするのは酸味を残すためです。
試飲コメント:ミネラリーで酸がしっかり。全体的にシャープな印象だがコクがあり、飲みごたえもある。

ヴィニャルタの主力ワイン。メルロー60%、カベルネソーヴィニョン40%の黄金ブレンド
ロッソ リゼルヴァ コッリ エウガネイ 2009
ロッソ リゼルヴァ コッリ エウガネイ 2009


生産量の半分がこのワインで、ヴィニャルタの看板ワインです。ブレンド比率はメルロー60%、カベルネソーヴィニョン40%でヴィンテージに左右されずに一定です。ラベルにも記載しています。熟成はフレンチオークの旧樽で2年間。「イタリアのボルドー」とも言われているワインです。
試飲コメント:赤い果実の甘く濃密な香り。複雑味のある味わいで、熟成感のある濃厚な美味しさ。エレガントなミネラルも感じる。

DOCをぶっ壊す!カベルネを増やして力強さを表現
マッラーノ ヴェネト 2007
マッラーノ ヴェネト 2007


先ほどのリゼルヴァと同じ畑のブドウを使いますが、その中でも最良のものをセレクトして造ったワインがこのマッラーノです。このワインを造るとき、メルローとカベルネを半々にするのがベストだと考えました。コッリ エウガネイDCOの規定ではメルローを60~80%にしなければなりませんが、それよりも造りたいワインを造りました。マッラーノ(MARRANO)は「革命」と言う意味で、DOCをぶっ壊す、と言う意味も込められています。熟成は旧樽で3年間です。
試飲コメント:エレガントで力強い。カベルネのボディをしっかり感じるが、不思議なほどにタンニンの渋みがほとんどない。バランスの取れた美しい味わいには驚き。

トレビッキエリ受賞歴9回の偉大な赤
ジェモラ コッリ エウガネイ ロッソ 2009
ジェモラ コッリ エウガネイ ロッソ 2009


ジェモラ山にある4haの単一畑で造るトップキュヴェです。メルロー70%、カベルネフラン30%。2007,2008,2009ともにトレビッキエリで、これまでに9回受賞しています。2009が2008よりも先にリリースされたので、ガンベロロッソでは2009ヴィンテージが2014年版で、2008ヴィンテージは2015年版で受賞してます。

ジェモラの畑は丘陵地で岩がごろごろしている土壌です。1本の樹に1房だけ残して収穫しています。

試飲コメント:パワフルでなめらか。抜栓してさほど時間が経っていなくてもすでに甘やかさがあり、香り味わいともに開いている。

特別なモスカートで造るパッシート。DOCG昇格のきっかけとなったワイン
コッリ エウガネイ フィオル ダランチョ アルピアーネ 2011
コッリ エウガネイ フィオル ダランチョ アルピアーネ 2011


甘口のデザートワインです。フランスのモスカートコンクール「モンド デ モスカート」でモスカート世界1位に選ばれました。品種はモスカートジャッロです。アルピアーネとは古代ローマ時代のこの品種の呼び名です。4ヶ月間乾燥させて造ります。
イタリア内外で高い評価を得たワインで、それもあって「コッリ エウガネイ フィオル ダランチョ」は2010年にDOCGに昇格しました。

試飲コメント:琥珀色の外観、はちみつなどの甘みとスパイシーさのある複雑な香りがとても魅惑的。しっかりとした甘みと強い酸味が調和した、とてもエレガントな味。

試飲コメント:琥珀色の外観、はちみつなどの甘みとスパイシーさのある複雑な香りがとても魅惑的。しっかりとした甘みと強い酸味が調和した、とてもエレガントな味。
インタビューを終えて
「コッリ エウガネイ」というあまり聞かない名前のDOCですが、これほど素晴らしいレベルの高いワインが造られる場所だったのかと驚きました。コッリエウガネイには約40のワイナリーがあるそうですが、ヴィニャルタはもちろんその中のトップ。
ワインがとにかくエレガントでバランスがいい。かと言って単調ではなく、それぞれに特徴的なミネラルやボディが感じられ面白さもあります。アルコール度数が高いのに飲みやすい。

もっともっと、ヴィニャルタのワインを知ってもらいたい。その思いでいっぱいになりました。

集合写真
ヴィニャルタのワインはこちら⇒
突撃インタビューバックナンバーはこちら⇒