2015年6月9日 マァジ社 マルコザウリ氏 Mr. Marco Zauli
7世代続くアマローネの名門マァジが再発見した希少品種オゼレータの個性を知る!マルコザウリ氏によるオゼレータセミナー |
||||||||||
アマローネの名門として世界的に有名なマァジ社。ヴァルポリチェッラの伝統を守り、広めるための取り組みのひとつとして土着品種の研究を行っています。その研究の中で再発見したのが世界最古のブドウのひとつと言われる「オゼレータ」。その唯一無二の特徴について、比較試飲もまじえながらマルコ ザウリ氏にお話をお聞きしました。 | ||||||||||
古代ローマ時代からワイン造りをしていたヴァルポリチェッラの語源は「たくさんのセラーがある谷」 |
||||||||||
マァジは1772年にボスカイーニ家がヴァルポリチェッラの「ヴァイオ デイ マァジ」を購入して始まったワイナリーです。ヴァルポリチェッラ(Valpolicella)とは、ラテン語で「たくさんのセラーがある谷」という意味で、その名前の通り古代ローマ時代からここではワイン造りが盛んにおこなわれていました。
マァジはヴェネトの伝統を大切にしていますが、その伝統を守る上でも革新と研究が大切だと考えています。つまり、土着品種の良さを引き出すことが土地の伝統を守ることにつながるという考えです。ブドウの良さを知る上でも研究が必要なのです。 |
||||||||||
世界最古の品種のひとつという希少な「オゼレータ」。生産性の低さから造られなくなってしまった品種をマァジが再発見 |
||||||||||
今日のテーマは「オゼレータ」です。オゼレータは世界最古の品種のひとつとされているヴェネト固有の土着品種です。ヴェネトでしか造られていません。収量が非常に少ないため効率が悪く、50年ぐらい前は役に立たないブドウということで造られなくなってしまいました。オゼレータを残そうと考える栽培農家もいたのですが、今言った理由で他の品種に植え替える農家が増え、忘れ去られてしまったのです。ついにはイタリアのブドウ品種リストからも削除されてしまいました。
マァジのオーナー、サンドロは1970年代の終わりに自社畑の中にオゼレータを発見しました。誰もが栽培しなくなってはいましたが、自生的に残っていたブドウ樹でした。土着品種の研究に取り組もうとしていたマァジはこのオゼレータをコネリアーノの研究機関と共同で研究を始め、遂に復活させました。 |
||||||||||
|
||||||||||
唯一無二の個性を持つオゼレータ。マァジはオゼレータの可能性を引き出したワインを徐々に開発。 |
||||||||||
オゼレータの研究は、1980年代にマァジが着手したNASAシステム(=Natural Appassimento Super Asist)をはじめとする実験・研究の活動と同時進行に進めました。1885年にまずは2haの畑にオゼレータを植樹。6年間の実験を経てオゼレータを使った初めてのワイン「トアール1990」をリリースしました。トアールは最初ということもあって、オゼレータの比率は少なかったのですが、その後、オゼレータを80%にした「オザール1995」を造りました。オザールは2000ヴィンテージからはオゼレータ100%になっています。今でもオゼレータ100%のワインはオザール以外ほとんどありません。
2003年にはオゼレータを初めて使ったアマローネ「リゼルヴァ ディ コスタセラ2003」を2008年にリリースしました。先ほど、オゼレータがイタリアの品種リストから削除されていたと言いましたが、マァジの研究成果によって2000年にリストに復活、2003年にアマローネの規定品種としても認められました。現在、マァジは12haの畑でオゼレータを栽培しています。 |
||||||||||
オゼレータの特徴 |
||||||||||
オゼレータ(Oseleta)はヴェネトの方言で「小さな鳥」を意味します。成熟するのが遅く、雪で覆われた寒い冬の畑に実がついているオゼレータは果皮が厚くて色が濃いため雪の中でも見つけやすく、小鳥が食べに来ることからその名がつきました。
実はとても小さいのですが種が大きいのも特徴です。そのため、タンニンが豊富で色が濃いブドウになります。房はとても小さく、だいたい10~12cmほどです。 香りはミネラルやスパイシーさ、リコリスなどがあり、味わいはボディ、タンニンともにゆたかでしっかりとしたストラクチャーになります。カビの影響を受けにくいので、アッパッシメントにも適しています。他の土着ブドウとのブレンドにも、単一品種としても使えます。 |
||||||||||
3つの比較試飲でオゼレータの個性、特徴に迫る! |
||||||||||
今回、オゼレータの特徴を理解してもらうために3パターンの比較試飲をご用意しました。 まず、オゼレータそのものの味を知るために、オゼレータ100%で造るオザールを飲んでもらいます。 それから、①ヴァルポリチェッラ ②リパッソ ③アマローネの3つのワインについて、オザールが入っているものといないものとで比較してもらいます。 |
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
|
||||||||||
■インタビューを終えて | ||||||||||
オゼレータの独特な個性を肌で感じることができたセミナーでした。100%オゼレータのオザールの強烈なインパクトはもちろん、オゼレータを使うか使わないかでヴェネトの伝統的なワインがどのように変わるのかを実感できたのも貴重な体験でした。
オゼレータを再発見し、実際にアマローネの品種として復活させたマァジの情熱は本当に素晴らしいものがあります。復活させただけでなく、それを広めていく努力を続けた結果、今ではオゼレータを栽培するワイナリーも増えてきています。 ヴェネトだけでしか造られていないオゼレータの魅力にぜひ多くの人に触れていただきたいと思います。 |
||||||||||
マァジ(ヴェネト)のワインはこちら⇒ | ||||||||||
突撃インタビューバックナンバーはこちら⇒ | ||||||||||
2015年6月9日 マァジ社 マルコザウリ氏によるオゼレータセミナー
2015/06/09