2018年2月13日 ヴィナイオータ 太田 久人氏
自然派ワインの先駆者「ヴィナイオータ」太田久人氏に聞く「ラ ビアンカーラ」の魅力 Part1 |
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ラ ビアンカーラ、マッサヴェッキア、フランクコーネッリッセン、ヴォドピーヴェッツ、カーゼコリーニらを始め綺羅星の自然派ワイン生産者を輸入するインポーター「ヴィナイオータ」さん。「自然派ワイン」というフレーズが無いに等しかった20年前から、情熱をもった造り手達を訪ね、ブドウ本来の豊かな味わいが詰まったナチュラルなワインを日本に紹介する先駆者的存在です。今回ヴィナイオータの太田 久人氏に自然派ワインの代表的銘柄「ラ ビアンカーラ」のワインを試飲しながら、イタリアワインとの出会い、自然派ワインについて、哲学やワインに対する熱い想いを聞きました。
Part1ではワインや生産者との出会い、会社設立のお話を聞きました。 |
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ラ ビアンカーラを訪ねそれから視界が開けていく事に |
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太田さんのワインとの出会いについてお聞かせください
「そこまで心を揺さぶられるようなワインが無く・・・」 その頃ローマに2年住んでいました。ローマは試飲会とかすごく多くて、ガイド本の高評価ワインを片っ端から飲む機会がある訳ですが、そのガイドブックで高評価をうけているワインを逆に飲み続けていく中で、「その全てに自分が心を打たれる訳ではない事実に気が付く訳です。そこまで心を揺さぶられるようなワインが無く・・・」そのあたりからでしょうか、「評価」と僕の「エモーション」との間に乖離がある事に気づき始めました。もしかしたら「僕はワインが好きではないんじゃないか」思うくらいまで考えました。 ラ ビアンカーラを訪ねそれからパーンと視界が開けていく事に 「森に誰が肥料を撒くのか?」 もしかしたら平地の畑で化学肥料を撒いたり、水をあげたりしたら沢山身をつけるかもしれないブドウを、丘陵地で育てたら、やっぱりブドウの成りって少なくなってしまうんですね。 彼のようなやり方をすると、DOC法で定められた収量の10/1とまでは言いませんがそれに近しいくらいしかブドウが獲れないんですね。 「テロワール」ってそういう事なんだな ようやく「テロワール」の言葉の意味みたいなもの、あとテロワールを活かす為の方法と言うのは、生産者の「理念」や「哲学」があった時にそのテロワールワインが実現するのかという事を彼の言葉から教えてもらいました。 ワインが「ウケる」かとか、「高い」かどうかよりも「エモーションを感じたかどうか」 商売としては考えようによっては「クレイジー」に見えるかも知れませんが、僕自身の味覚や嗅覚が特別優れているとは思っていないのです。つまり、僕が感動するものぐらいだったら、何人かは感動してくれるはずだろう。遅かれ早かれそういう人達の仲間は増えるだろうと思ってはいました。 それからはどんどん自分自身の好奇心を満たす為にイタリア各地のとがった造り手達に会いに行く旅が始まったんです。 |
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20年前は「自然派」という言葉もほぼ無いような時代 |
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日本に戻ってくるときには「インポーター」をやろうとは決めていたのですか?
20年前、1万本のワインを購入しはじめたのが「ヴィナイオータ」 最初は20フィートの1万本位入るコンテナに10生産者位のワインを詰めました。そのなかで今も取り扱っている造り手は2軒だけですかね。「ラ ビアンカーラ」、「パオロ ベア」は2コンテナ目から入りました。3、4コンテナ目からは今のラインナップが揃い始めてくる感じでしょうか。 なにせ、僕が始めた20年前には「自然派」という言葉もほぼ無いような時代だったので、今とラインナップも違います。自分自身が本当はどういうものが好きなのかまだ解らない時代から始まったんですね。ですが幸いにも2年目に「ラ ビアンカーラ」のような造り手に出会った事で、比較的早い段階で自分自身がハマっていけたことは僕にとってすごくラッキーな事だったのかも知れません。20年前に僕が残っている事を想像出来た人は誰もいなかったのでは無いでしょうか(笑) 自然派ワインの人気が上がっていますね? うーん。どう言えばいいのでしょうか・・・ナチュラルワインは流行であっては絶対いけない事だと思うんですね。(造り手の)生き方だし、人生哲学だし、人生をかけた戦いみたいなものひとつの形だと思うんです。 例えば農業も数千年(~一万年近く)の歴史がある訳ですけど、それがオーガニック以外であった歴史って、たった数十年くらいの話じゃないですか。つまり農業の歴史の中で「オーガニック」だなんて言う必要がなかった時代、つまりただのアグリカルチャー「農業」と呼んでいれば農薬のない農業を指していた訳じゃないですか。たった数十年の歴史でコロンと変わってしまった状況になっている訳ですよね。 僕にとっての「本物」 「ちょっと前の世代を見直すような時代なんじゃないか」 「ワイン造りに人間が極端に干渉する必要がないのではないか」 モノが持つ本質的な部分を表出させるには、足すのでは「どこまで削げるのか」 先週流させて頂いた会社のメルマガにも書いた文章の中にもあるんですけど、「美味しさ」というのは「美味」と書きますが、ただワインにおける美味というのは「ヴィンテージの特徴、天候みたいなものが写し取られているか」「テロワールが写し取られているか」「ブドウの特徴が写し取られているか」この美しさが写し取られている事がワインにおける「美味しさ」だと思うんですね。(人間がクリエイトするものこそ「美味しさ」だと信じられていますけど。) よくイタリア人と話すと「日本料理レストランに連れてってくれよ」と言われるじゃないですか。「それは何?」って思うじゃないですか?お寿司か天ぷらかウナギなのかって。なんで僕たちがそうやって一つ一つの料理を細分化するかって、性分だったり、必要だったからしていったわけじゃないですか。専門的になる事でより突き詰めたものを表現する為に必要だと思って細分化していった訳じゃないですか。日本における飲食の世界の在り方とか見てもマニアックな気質というものは垣間見えると思うんですね。 |
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■インタビューを終えて | ||
太田氏の情熱的で物事の核心をついたお話に終始魅了されるインタビューとなりました。
お話の中で印象的だったのが、「僕自身の味覚や嗅覚が特別優れているとは思っていないのです。つまり、僕が感動するものぐらいだったら、何人かは感動してくれるはずだろう。遅かれ早かれそういう人達の仲間は増えるだろう」という言葉でした。 プロフェッショナルでありながら、飲み手の気持ちに寄り添ってくれる優しさだったり、おおらかさ。太田氏のブレない真っすぐな想いがじんわりと伝わる温かみのあるインタビューとなりました。 インタビューPart2では、太田氏と自然派ワイン代表銘柄「ラ ビアンカーラ」について試飲しながらお話を聞いていきます。 |
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自然派ワインの先駆者「ヴィナイオータ」太田久人氏に聞く「ラ ビアンカーラ」の魅力 Part1
2018/02/16