伝統を尊守しながら土着品種とテロワールの個性を表現したワイン造りを行う、カンパーニャ州のヴァディアペルティ。このワインは白ブドウ品種コーダ ディ ヴォルぺ100％で造る、同社最上キュヴェ「トラマ」です。白果実や白い花のフルーティーな香り。蜜などのニュアンスも。硬質なミネラルが感じられ、綺麗な酸とともに口中に広がります。

2019年7月、来日したラファエレトロイジ氏にお話しを聞きました。

「元来、強い酸味のあるグレコの特徴を中和するために混醸されていたコーダ ディ ヴォルペは、酸味が少なく穏やかな味わいのため、長期熟成の偉大なワインには向かないと思われていました。私はこのブドウから父を納得させるような白ワインを造ってみようと思い立ったのです。当時コーダ ディ ヴォルペだけでワインを造ろうと考える生産者はまったくいませんでした。やがて1993年に収穫したブドウから、私はついにコーダ ディ ヴォルペの単一品種による白ワインを造ることに成功しました。出来上がりのワインを試飲したときの父の驚きと喜びの表情をいまでもはっきりと思い出すことができます。砂岩混じりの石灰質土壌を指すイルピニアの方言であるトラマという言葉をこのワインの名前にしました。」

樹齢40～60年のブドウの古樹ブドウから更に厳選

標高450～480メートル、ヴェルデッキアとピエトラデフージの南向きのミネラルが非常に豊富な火山岩土壌です。樹齢40～60年のブドウの古樹ブドウの中から更に特に素晴らしいブドウをだけを厳選して手摘みのみ。例年10月上旬までブドウの完熟を待ってから収穫を行います。収獲されたブドウはソフトプレスで丁寧に圧搾が行われ、ステンレスタンクにて澱と共に醗酵、熟成を行います。

時間の経過と共に変化する味わいも魅力です。冷やし過ぎず、少しずつ温度を上げていくと、煌めくような彫りの深いミネラル、果実の清らかな深み、層状に重なる美しい余韻が一体となって、素晴らしい味わいが楽しめます。抜栓翌日の味わいの方がより深みを魅せていきます。

新鮮なブッラータチーズ、ムール貝の白ワイン蒸し、オマール海老、焼きタラバガニ、新鮮なホタテのソテー、鱧の梅肉和え、上質な天ぷら等、上質な旨みをもつ魚介類と是非合わせてみたいワインです。

イルピニアで伝統的土着品種とテロワールの個性を表現したワイン

美しいサバト渓谷が流れるカンパーニャ州イルピニア。そこに住むトロイジ家がワイナリーのオーナーです。3代前のアントニオは19世紀後半に渡米し、イタリアの優良ワインを扱うインポーターとして活躍します。その影響から祖父のラファエレはイルピニア（現在アヴェッリーノと呼ばれる一帯）にブドウ畑を開き家族でワインを造り始め、ラファエレの死後、妻と4人の息子がラファエレの遺志を引き継ぎ、兄弟の中の１人アントニオが現在の礎を築きます。

現在はアントニオの息子ラファエレの手により行われるワイン造り

歴史の教師だったアントニオはイルピニアで生まれ育った事を誇りに思いイルピニアの歴史や美しい景色、そして伝統を多くの人に伝えたい思いから1984年よりワインのボトリングを始めます。そして現在、アントニオの息子ラファエレの手により、伝統を尊守しながら土着品種とテロワールの個性を表現したワイン造りが行なわれています。

保水力が高くミネラルを多く含む土壌

畑は各所に点在し、全部で10ヘクタール。標高は350～650に渡ります。土壌は粘土や火山岩。畑からほど近い場所に硫黄の鉱山があり、土壌にミネラルが多く含まれ、ワインのアロマを複雑にします。また、粘土質が多いおかげで、土壌の保水力が高く、ミネラル成分が流れ出さないようになっています。

コーダ ディ ヴォルペはフレッシュな酸味があり、素晴らしいワインだ

イタリアのワインガイド『スローワイン』にてヴァディアペルティが紹介されました！

「1984年アントニオ・トロイジによって設立されたヴァディアペルティはイルピニアの中でも長い歴史を持つワイナリーで、現在は息子のラファエレがアヴェッリーノで農業科学を教えながらワイナリーを営んでいる。主な畑の樹齢は20年以上になり、モンテフレーダネにあるワイナリーの裏には上級キュヴェ用のフィアーノの畑がある。グレコはモンテフスコの標高600mの畑で栽培されている。コーダ・ディ・ヴォルペはフレッシュな酸味があり、素晴らしいワインだ。フィアーノ ディ アヴェッリーノとグレコ ディ トゥーフォは完璧な出来で、今は若干グレコの方が香りが開いている」