アヴィニョン市街から北西へ10km程、シャトーヌフ デュ パープからローヌ河を挟んで対岸、辛口ロゼワインで有名なタヴェルのコミューンの中に「ドメーヌ ド ラ モルドレ」は位置しています。1986年にフランシス デロルムと息子のクリストフにより設立された家族経営のこのドメーヌは、南部ローヌ流域メリディアオナルに広がる58 haの畑を所有しています。38に分かれた区画は8つのコミューンにまたがっています。

この30年の間で、クリストフ デロルムはドメーヌを大きく成長させました。誠実であり情熱的で、先見の明があるこのヴィニュロンは、「大地の愛」によってテロワールを尊重することを選びました。その結果、ワインは2013年からオーガニック認証、ドメーヌは2019年から農業の実践が自然の生態系の維持と環境への負荷を最小限に抑えることを保証する高環境価値HVE (Haute Valeur Environnementale) の最高レベル3の認証を受けています。加えて、畑全体は2020年にビオディナミ認証デメテル (Demeter) の認証を受けています。

クリストフの自然や農業、全ての要素に対する誠実な向き合い方は、彼が育てた熟練したチームに支えられながら現在、妻マドレーヌと娘のアンブルが後を引き継いでいます。これには惜しくも2015年に52歳の若さでこの世を去ったクリストフ デロルムがいました。こうして、彼の哲学を受け継いだチーム、そしてマドレーヌとアンブルの2人は、最も素晴らしいワインを造るという主な目的を尊重しつつ、故人が心身を捧げてきた事業を維持することを決断しました。

南フランスの2つの地方、プロヴァンスとラングドックが交差する理想的な位置にある「ドメーヌ ド ラ モルドレ」は、近隣の様々なAOCの生産を可能にしています。ドメーヌの所在地でもあるタヴェルを始め、シャトーヌフ デュ パープ、リラック、そしてコート デュ ローヌにヴァン ド フランスまで、更にはローヌ北部セプタントリオナルに位置するコンドリューの生産もされています。

「モルドレ」とは貴重な野鳥ベカスのニックネーム

クチバシの長い魅惑的な野鳥ベカス、ジビエでも最も貴重とされヤマギシとも呼ばれるこの野鳥を愛する情熱的な想いがドメーヌ名に命名されました。「モルドレ」とはベカスのニックネームとされており、「ラ レーヌ デ ボワ」や「ラ ダム ルース」、これらの名前もベカスのニックネームであり各キュヴェの名前にされていることから、ベカスはドメーヌのシンボルとされています。

ドメーヌの品質とその環境の基軸は、自然本来の防御力と回復力など自然のバランスを尊重すること

「ドメーヌ ド ラ モルドレ」の大きな誇りの一つは、例えば2002年9月 、2日間で600mmの降水量による洪水や2003年夏の猛暑など、異常気象に対峙しながらもブドウ畑に持続可能な生態系を再現したことが挙げられます。様々なテロワールが持つ自然のバランスを研究し実践することは、ブドウ畑にとって虫や菌類、バクテリア、気候などの過度な影響に対する自然本来の防御力を持たせることが出来ます。

このように、「大地の愛」によって育まれたクリストフ デロルムの自然に対する尊重と、それを引き継いだマドレーヌとアンブル、そしてチーム「ドメーヌ ド ラ モルドレ」に関わる全ての人々が体現する品質とその環境がこのドメーヌの揺るぎない基軸です。