ピエモンテで代々続く、伝統的な農家のペヴェラーティ家が営むワイナリー「ラッセッラ」。元当主のイザベッラが引退し、現在は4人の息子が受け継ぎ、カーゼ コリーニのロレンツォ博士から指導を受けた無農薬栽培、野生酵母による発酵、SO2無添加という醸造方法を守り、味わい深さと飲み心地の良さを両立させた、とても素直な味わいのワインを造り続けています。ちなみに、ワインの名前はこの4人の息子の名前がそのままついています。

地元だけで消費される知る人ぞ知るアキッレ

「カーゼ コリー二」のロレンツォ博士の教えを受けて栽培したブラケット種から造られます。無濾過でボトリングされる為、見た目には濁りが多いのが特徴です。非常に薄くレンガ色が混じる艶やかな色調です。プルーンのドライフルーツや紅茶、ドライフラワーの奥深い香りが感じられます。飲むと、凝縮感のあるブドウの豊かな味わいと、透明感のある滑らかな飲み心地が共存する実に見事な味わいです。

抜栓直後からサクサクいけちゃうワインですが、2～3日置いておくと香りが爆発するので、何日もかけて飲まれることをお勧めします。

伝統的な造りのワインを再現する「イル ブオンヴィチーノ」から息子たちの代になり「ラッセッラ」に名称変更

20世紀の初めより代々続く伝統的なブドウ・ワイン農家であったペヴェラーティ家。弁護士の父の代には家族でピエモンテのアレッサンドリア市に引越し、農業から遠ざかっていましたが、70年代に現当主イザベッラの叔父であるステファノが少しずつ畑を買い戻し、現在の36haまで畑を広げ、ブドウを協同組合に売りながら一族伝統の有機農業を再開しました。ピエモンテから消えつつある伝統的な造りのワインの再現を求め、1990年から個別に少量をボトリングしはじめます。

4人の息子の名前をつけた4つの伝統的なワイン

そしてこの地で1999年から「イル・ブオンヴィチーノ（＝善良な隣人）」というアグリツーリスモを営むことになったイザベッラは、こうして再生した伝統的な４つのワインにそれぞれ彼女の４人の息子の名を与え、自分のアグリツーリスモや地元だけで消費しているのです。そしてイザベッラは息子たちに代を譲り、その際に若者の農業への新規参入に対する助成金を受けるために、ワイナリー名も「ラッセッラ」と一新しました。

「カーゼ コリー二」のロレンツォ博士が指導する無農薬による栽培と醸造

かつて農業と醸造を指導していたのは、あの「カーゼ コリーニ」のロレンツォ・コリーノ博士で味わいにも共通したニュアンスが感じられます。彼女の畑はすべて除草を全くおこなわず、無施肥、不耕起、無除草による栽培をし、ボルドー液以外の農薬は一切使いません。また全てのワインは野生酵母で発酵し、基本的にボトリング前でさえSO2無添加で造っています

飲んだ瞬間衝撃が走ったモスカート

もともとカーゼコリーニが日本に輸入されるきっかけになったのも、輸入元社長とイザベッラとの出会いからなんです。

（以下輸入元資料より）

「我々と彼女との出会いは、まっ茶色に濁ったモスカート・パッシートから始まりました。イタリアに赴いた折、ある人から手渡されたワインを飲んだ瞬間にとてつもない衝撃が走りました。パッシートによる甘みを完全に包み込んでしまうような強烈な旨み、信じられずに呆然としてしまいます。

アスティ地区からかなり外れた彼女の家まで追いかけていき、農業と醸造を指導するコリーノ氏にもその時に出会いました。彼女が何か話し始めると、必ず一同大爆笑のオチで終わるという、まるでコメディアンのような親しみやすい彼女。その生産者名「イル・ブオンヴィチーノ（＝善良な隣人）」は「隣のおばちゃん」という訳がぴったりです。」

アルコール度数は15度近くもあり、非常な濃密なエキスがありながらどこか飲みやすさを感じるワイン。生産量が非常に少なくほとんどが現地アグリツーリズモで消費される希少なワインです。