「ル メニル シュール オジェ グラン クリュ マロ シャルドネ」は複雑で豊かな味わいで、チョーク由来のテンションが、柑橘類や砂糖漬けの柑橘ピールを思わせる味わいにフレッシュさを与えてくれています。またこのワインのミネラル感を思い起こさせるような塩味を伴ったフィニッシュが特徴的です。

円形劇場のような地形の中心部に位置するメニル グラン クリュ内のリュー ディ「マロ」

メニル グラン クリュ内のリュー ディ「マロ」は、緩やかな斜面でチョークの崩積土、20～30cnの細かい褐色土壌の表土で、東～南東向きの畑です。円形劇場のような地形の中心部に位置しています。シャルドネは1990年に植樹。

この区画ではAlternative Viticulture（持続可能な農法）から移行し、2023年にAgriculture Biologique（有機農業）の認証を取得しています。ビオディナミのカレンダーに従い、手摘みで収穫し、完全に成熟したブドウのみを使用するなど、人と環境を尊重しながら管理。自然酵母で醗酵後、228Lと400Lの樽で11ヵ月熟成。澱引きなしで自然な清澄を行います。

ラベルの線はメニル シュール オジェ の土地の地質図をもとに描かれています。金色と白色は、その区画から感じる暖かい日差しの印象と、白ブドウ品種であるシャルドネを表現しています。

健康な土壌を次世代に引き継ぐために、4.8haの畑でオーガニック農法を実践

シャンパーニュ オーロール カサノヴァは、元プロのバレエダンサーの妻オーロール カサノヴァと、医療分野で働いていた夫ジャン バティスト ロビネという異色の経歴を持つ夫婦が営むワイナリーです。ふたりともシャンパーニュのブドウ栽培に携わる家系にルーツを持っています。

ふたりは2011年、アヴィーズでのブドウ栽培と醸造の研修で出会い、2013年に家族から受け継いだ畑を基にドメーヌを設立。最初の数年間はメニルにあるガレージを間借りし、プレス機などの設備も周囲に借りながら、ワイン造りを開始しました。2018年には念願のセラーをマルドゥイユに購入。古い蔵であるため、決して煌びやかな設備が整っている訳ではありませんが、伝統的なバスケット プレスも1台備え、思い描いたワイン造りを実践できる土台を整えました。

オーロール カサノヴァのフィロソフィーは「地球環境への配慮と人的介入の制限、そして家族から受け継いだ異なる区画の特性を深く理解し、表現すること」。化学物質は使用せず、オーガニック農法を実践し、一部ビオディナミも取り入れています。資源の使用を最小限に抑え、健康な土壌を次世代に引き継ぐことを重要視しています。現在は4.8haの畑を所有し、グラン クリュのピュイジュー(モンターニュ ド ランス)、ル メニル シュール オジェ、オジェ(コート デ ブラン)、さらにシャンヴォワジー、エペルネ(ヴァレ ド ラ マルヌ)といった5つの村に26区画が点在しています。

繊細な骨格でありながら力強く、凝縮感と緻密さがありながらも軽やかさも保っいる「遊び心のあるワイン」

オーロール カサノヴァのシャンパーニュはL’assiette Champenoise(ランス)やTim Raue(ベルリン)といった世界の星付きレストランでも採用されており、2023年からはシャルトーニュ タイエやアグラパールなど同産地を代表する一流生産者が所属する団体、テール エ ヴァン ド シャンパーニュの一員にもなっています。2021年にドメーヌを訪問したワイン アドヴォケイトのウィリアム ケリーは「私が試飲したワインは、繊細な骨格でありながら力強く、凝縮感と緻密さがありながらも軽やかさも保っており、“遊び心がある”と言いたくなるほどだ。この最初の訪問は興味深いもので、今後もカサノヴァの活動を追い続けるのが楽しみだ」と評価しています。