9世紀から続く修道院で知られるイタリア最北ワイナリー「アバツィア ディ ノヴァチェッラ」。彼らが造る上級ケルナー「プレポージトゥス」です。透き通るように綺麗な果実味と、キリッとした品の良い酸が見事に調和した味わいです。

その年最高の畑で造る上級ライン

イザルコ渓谷を代表し、近年存在感を増す白品種ケルナー

2025年7月、輸出マネージャーのウォルナー ヴァルドボッヒ氏にお話を聞きました。

「今やイザルコ渓谷で最重要品種となったケルナーです。リースリングとスキアーヴァに似た要素を持ち、桃やペトロール香があり、口当たりはフレッシュでスパイシーです。近年ますます存在感を増す現代的なスタイルのワインになります。ステンレスタンクのみで造り、澱とともに10か月熟成、さらに最低2か月の瓶内熟成を経てリリースされます。」

2025年7月にプレポージトゥス ケルナー2022ヴィンテージを試飲しました。輝く黄金色。南国果実やペトロール香、白い果実の香りがあります。エレガントで厚みのある果実感と複雑さがあり、フレッシュで美しい酸とミネラル感が持続し、熟した果実の余韻が持続します。

標高650～700メートルの畑

「プレポージトゥス ケルナー」の畑は標高650～700メートル、石灰岩主体の土壌で南西向きの畑です。1ヘクタールあたり6000本の高密植栽培でブドウの凝縮度を高めています。例年10月上旬に収穫されます。低温管理されたステンレスタンクで醗酵、ステンレスタンクにて約3ヶ月間熟成を経てリリースされます。

1142年から続く修道院で知られるイタリア最北のカンティーナ

アバツィア ディ ノヴァチェッラは9世紀よりボルツァーノより北北東へ35ｋｍの地に畑を所有しブドウ栽培を行う由緒のある修道院としても知られ、イタリア最北の畑を所有するカンティーナです。

今もその姿を残す中世時代の修道院「ノヴァチェッラ」

ノヴァチェッラはラテン語の『Nova＝新しい』+『Cella＝住まい』に由来し、古くはローマやヴェネツィアに向かう巡礼者の休憩所として利用され、ここで造られるワインは疲れた巡礼者たちを癒していました。中世時代に聖アウグスチノ修道会が50ヶ所に建てた修道院で、現在もその姿を残しているのはノヴァチェッラを含む5ヶ所のみ。

1万年前は氷河が広がっていた土壌

白ブドウは修道院のあるヴァルナや近郊のブレッサノーネの畑にて栽培され、ピノ ネロ、ラグラインなどの黒ブドウはボルツァーノ近郊の畑にて栽培、醸造されます。白ブドウ用の畑は、標高は600～900m、1万年前は氷河が広がっていた土地。侵食により砂や砂礫、石英などが入り混じる非常に複雑な土壌を形成し、ミネラル感豊かなブドウが生まれます。また、斜面が少し違うと、ミクロクリマも全く違ったものとなるため、品種毎の個性を理解し、その品種に適した土壌を選び植樹しております。

設立当時1140年ころ建てられた建物をそのまま使用したセラー

セラーは、設立当時1140年ころ建てられた建物をそのまま使用。敷地内にある白ワイン用の施設は、ステンレスタンクが立ち並ぶ非常にシンプルな設備。非常に細やかな注意をはらうため、2009年版『ガンベロロッソ』最優秀エノロゴに輝いたチェレスティーノ・ルチーン氏を、1997年より専属の醸造家として招へいしています。