「バルバレスコと同じセッラボエラ地区で栽培されているバルベーラ」

2019年2月、パイティン社のルカ パスクエロ エリア氏にお話を聞きました。「バルバレスコと同じセッラボエラ地区でなだらかな東側の斜面の畑で栽培されているバルベーラです。ランゲでは大まかに分けて2種類の斜面の畑があると言えます。一つは急斜面。もう一つはなだらかな斜面です。急斜面は痩せた土壌で水はけが良すぎる特徴がありネッビオーロの栽培が適しています。なだらかな斜面は割と肥えた土壌で保水性にも優れ、バルベーラの栽培が適していますね。果実の凝縮感が良く出ています。

「ネイヴェのしっかりとした果実味、アスティエリアの酸の綺麗な部分を併せ持つ土壌」

ネイヴェの東側に位置するセッラボエラ地区は近しいアスティ地区の砂質の特徴が少し入っていますね。バルベーラの酸を引き立たせる土壌と言えます。私達の造るバルベーラは、ネイヴェのしっかりとした果実味、アスティエリアの酸の綺麗な部分を併せ持っている土壌から産まれています。

非常にクラシックなバルベーラの味わいが感じられると思います。バルベーラというワインはピエモンテに住む者にとって毎日飲む「食卓のワイン」です。食事と合う飲みやすさや、心地よい酸とミネラルが楽しめます」と話してくれました。

表現力豊かなアロマを持つシルキーでエレガントなバルベーラ

バルバレスコエリア、ネイヴェ地区「セラボエッラ」の傾斜が緩やかな東側、標高280～320メートルの南西向きの2.7ヘクタール畑に1991～1994年に植樹された平均樹齢25年のバルベーラ。アルコール醗酵は26～28度に温度管理された横長ステンレスタンクにて8日間行います。マロラクティック醗酵が起こる前に、スロヴェニア産オークの大樽に移し12ヶ月以上熟成。その後ステンレスタンクで２ヶ月休ませ、フィルタリングや清澄をせずにボトリングします。

赤い果実の表現力豊かなアロマを持つシルキーなバルベーラです。スミレの花、フローラルな上品なアロマにほんのりとミネラルとスパイスのニュアンスが寄り添う美しい香り。果実の豊かな印象がありながら、酸とミネラルが屋台骨にしっかりと走っているので、緻密でもたつきがなく、とてもデリケートで引き締まったボディがあります。タンニンは滑らかでセッラボエラ地区の特徴が感じられます。非常に秀逸なバルベーラです。抜栓翌日試飲しましたが、より一層味わいが纏まり、白眉の出来映え。非常に品質の高いエレガントなバルベーラです。

19世紀末バルバレスコ黎明期に誕生した歴史的ワイナリー

パイティンの歴史は、1796年にベネデット エリアが、ブドウ畑とカンティーナを持つワイナリーをルイジ ペッリッセーロから購入した時から始まりました。

その後息子のジュゼッペが畑を広げ、15世紀から続く地下のカンティーナを購入、1893年に「ソリ パイティン」のバルバレスコの瓶詰めを始めました。そして1898年にワインの輸出を開始しました。

ワイナリーはセコンド パスクエロ エリアが1965年にシステムを刷新し、新しいカンティーナを設立、新しい畑に植樹を始めました。今日のワイナリーは、セコンド パスクエロと2人の息子ジョヴァンニとシルヴァーノにより運営されています。

現在は17ヘクタールの畑でBarbaresco, Nebbiolo, Arneis, Barbera, Dolcettoを生産しています。パイティンのワインは、しなやかで緻密なボディに隠された、立体感のある凛々しいタンニンです。バルバレスコの歴史に深く寄与したパイティンは、現在も進化し続けています。