ボルゲリ最南端＆最高標高に位置し、オルネッライアやサッシカイアと肩を並べる造り手「アルジェンティエラ」。歴史的建物「ヴィッラ ドノラティコ」の農園で造る赤ワインです。品種構成はカベルネ ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ フラン、プティ ヴェルド。豊かな果実味、タンニン、酸が見事に調和した味わいが特徴的です。

2021年は『ジェームズサックリング』で94点、『ワインアドヴォケイト』で93点、『ワインスペクテーター』で90点を獲得しています！

優れた骨格に黒系果実とスパイスが調和する優美な味わい

2024年10月にアルジェンティエラ社マッシモ バジーレ氏にお話を聞きました。

「ヴィッラ ドノラティコは日照条件が良好な南向きの2区画を除いて、多くの畑が北向きです。このワインは2003年から造っていますが、当初はバリックの影響が強いワインでした。現在はスタイルを大きく変えて大樽を使用しています。北向きだからこそ生まれるエレガントでフレッシュな風味があります。2021年ヴィンテージはバルサミコやユーカリの香りが特徴的で、タンニンもしっかりしているので15年から20年の熟成ポテンシャルがあります」

2024年10月にヴィッラ ドノラティコ2021ヴィンテージを試飲しました。やや深みのあるルビー色。黒系果実と樽のニュアンスが溶け合う香り。フレッシュな赤系果実の明るいニュアンスもあります。非常に滑らかで優美な口当たりながらも優れたボディがあります。黒系の果実味とスパイス、タンニンが見事に調和した余韻が長く持続します。

フレッシュさとエレガンスが生まれる畑

ほぼ全てが北向きの冷涼な「ヴィッラ ドノラティコ」

　ヴィッラ ドノラティコも非常に特殊な畑です。ほとんどの畑が北向きであるため、太陽の強い光を受けません。受けるのは夕方の優しい日差しくらいです。アルプスからの風が直接当たることもあり冷涼な環境です。アルジェンティエラほどの複雑性はありませんが、これらの独特な条件が他との明確な違いを生み出しています。ワインは大樽で熟成させて、フレッシュさとエレガンス性の高さを表現しています。

アルジェンティエラは、アパレルやホテル事業で成功を収めたフィンゲン・グループのオーナー、フラティニ氏とマルケージ・アンティノリの共同出資によって2000年に設立されました。ボルゲリ地区の最南端に位置し、最も海に近く、他のカンティーナと比べて標高の高い位置にあるという、ボルゲリの中でも固有の環境を持ちます。

醸造家はフェデリコ・ジレッリ氏。メディチ家の末裔である彼は、早くよりワイン造りに従事し、彼の母親が所有するカステロ・ディ・ボルゲリにも責任者として携わっています。また、ヴァランドローやパヴィ・マカンなどボルドー右岸を再興したフランス人、ステファン・ドゥルノンクール氏がコンサルタントを務めています。

標高約50m程度の平地が一般的なDOCボルゲリの中で、最も南に位置する森に囲まれたアルジェンティエラの畑は、地中海を望む標高150～200mの丘にあり、南から南西に広がる約80haを所有しています。長年の地質調査の結果選ばれたこの畑に、昼夜、地中海から吹き込む穏やかな風は、健全なブドウを育て、フィネスのあるワインを造ります。

そして、有機成分を多く含む石灰質、粘土質、泥灰質などの複雑な構成になっている土壌が、ワインにも一層の複雑味を与えます。森に囲まれたこの畑は、自然な温度調節、豊かな日照量、適度な降水量など、素晴らしく恵まれた環境です。フラッグシップワインの「アルジェンティエーラ ボルゲリ スペリオーレ2004」が、リリース2年目にしてトレビッキエリを獲得するなど、最も注目すべきカンティーナです。