ロベルト ルカレッリ

エミリア ロマーニャ州と接するペーザロ ウルビーノ県はロッシーニを生んだペーザロとラファエロを生んだウルビーノという二つの歴史ある町を中心に発展してきた。ロベルト ルカレッリのカンティーナは県南部海岸線の街であるファーノから約20km内陸に入ったカルトチェートに位置する。

この街の名前の由来はこの地を流れるメタウロ川がポエニ戦争の決戦の場となったが、その相手カルタゴからきている。ルカレッリ家は数世代にわたってこの地でブドウ栽培をおこなってきた。現当主ロベルトの代になり自らのワイン造りをおこなうべく、1998年にカンティーナを完成させた。

この県は地勢的にも品種もエミリア ロマーニャとの関係が色濃く、サンジョヴェーゼは言うに及ばず、リミニ県でも栽培されているのが白の品種ビアンカーメで、メタウロ川流域ではビアンケッロと称されている。

ビアンケッロ デル メタウロの生産地域の18コムーネの中で最適とされるのが、フェルミニャーノ、アクアラーニャ、フラッテ ロッサ、フォッソンブローネ、イソラ デル ピアーノ、そしてカルトチェートのメタウロ川沿い北側の6コムーネと言われている。現在所有する畑は18ha。以前はシャルドネ等も栽培していたが、今日ではビアンケッロとサンジョヴェーゼにほぼ集約して栽培をおこなっている。

土壌は主に石灰を含む粘土が主体でサンジョヴェーゼの畑では硅土質粘土となっている。ビアンケッロに関しては樹齢の古いものはいまだに伝統的な整枝方法であるカポヴォルトで仕立てているが、近年植えたものと黒ブドウに関してはコルドンを導入している。ビアンケッロの栽培にかける彼にとってDOC規定の甘い収量制限に関して、異を唱えビアンケッロの品種特徴と収量制限の味わいに与える影響は別次元の問題と考え、独自に収量管理を厳しくおこなっている。

そのことがクリアで快活な中に凛とした背骨をもった彼のワインの味わいに大事な要素となっている。醸造家には彼が最もマルケで信頼するエノロゴ、アロルド ベレッリを2005年より起用。ビアンケッロに関してはクリアな果実味と清々しい酸味を生かすために熟成はステンレスのみ（ロコは一部トノーで発酵のみ）でおこなっている。また赤ワインも過度な木樽香を嫌いトノーと大樽での熟成を行うなどこの地のサンジョヴェーゼの特徴を踏まえた選択をおこなっている。