静けさと繊細さを伴った印象的なファーストアタック

2019年9月来日したサム ハロップの試飲セミナーに参加してきました。彼の理論と実践は非常に分かりやすくどのワインを飲んでもはっきりとそれを感じることが出来ます。このシャルドネの第一印象は静けさと繊細な味わいの一言。手つかずの大自然から湧きだした湧水のような透明感と塩気。参加者が一口飲んだところでサムが一言。「一口目を飲んで味が薄いと思われる方もいるかもしれません。しかし舌の上で広がる凝縮感と旨味を感じていただければ決して薄い味ではないと思います。」僕も全く同感でした。その後は中盤から後半にかけて密度のあるシャルドネらしい果実味が顔を出し余韻も驚くほど綺麗。第一印象から最後の余韻まで本当に見事としか言いいようがありません。

世界最高峰のワイン資格、「マスターオブワイン」を2003年最優秀成績で合格したサムハロップがニュージーランドはワイヘケ島、ホークスベイで展開するブランド、サムハロップ

世界最高峰のワイン資格、「マスターオブワイン」を最優秀成績で合格

2003年世界のワイン界に超天才が現れました。世界30ヶ国にたった400人足らずしかいない世界最難関のワイン資格、マスターオブワイン(MW)の試飲と理論に一発合格したサム ハロップ。最優秀の成績で当時は最年少の合格という偉業を成し遂げました。

世界最大級のワインコンペティション、「インターナショナル ワイン チャレンジ」のコ チェアマンを務める

サムは2006年から2016年まで世界最大級の「インターナショナル ワイン チャレンジ」の審査実務の最高責任者を務めました。この他にも「ピノノワール ニュージーランド2017」で「偉大なピノ ノワールには透明感がある」とスピーチ。世界から大注目されました。

ワインメーカーとして幅広いキャリアを積む

サムは自身のワイナリーを立ち上げるため世界各地で修業を始めます。ニュージーランドのヴィラ マリアはブレンハイム、カリフォルニアのリトライ、オーストラリアの大御所ローズマウントでも修業。さらに興味深いのは英国のスーパー「マークス＆スペンサー」のワインメーカーに就任。バイヤーと一緒に世界各地を周り販売価格に応じた最高品質のワインを造り販売まで手掛け、会社の業績を上げました。

2013年天性のセンスと積みあげた経験でニュージーランドワインを造り始める

サムがワイン造りをするのはワイヘケ島とホークスベイ。サムの家と醸造所があるワイヘケ島で造る「セダリオン」ブランド。ホークス ベイで造る「グランド アマチュア」「ブリッジ パ」。セダリオンは採算度外視で生まれるニュージーランドの象徴とも言えるステータスを確立しています。

世界のワイン醸造を知り尽くしたサムが提唱する本物のワインとは

サムが提唱する本物のワインとは、

・土地の個性がきちんと現れている

・可能な限り自然な醸造

・継続可能な農法

・ワインは美味しくなければならない

非常にシンプルで分かりやすい哲学。

さらに提唱するシンパセティックワイン

サムはまた、本物のワインを造る上で大切な3つの要素を掲げています。

・醸造で人間がきちんとコントロールすべきところと自然に任せるところをきちんと見極める。

・遠方で飲む人のことを考えて品質を保つための最低限の酸化防止剤は入れる。

・葡萄が持つ本来の特徴をきちんと表現する。

こちらも非常にシンプルです。

自然と同調するワイン造り

本来ニュージーランドは四方を海に囲まれオーガニックは難しい場所です。持続可能な農作業を続けるためには必要に応じて畑に処置が大切です。捕食昆虫の棲家を守り害虫に対する昆虫の活動を守ることも大切。自然界といえどもある一定のコントロールは必要です、とサムは提唱しています。

ロワールの鬼才と言われたディディエダグノー氏に共感するサム・ハロップ氏は自然派であっても、高品質のものを提供するという信念のもと、野生酵母から選別した酵母を管理、使用しており、今回ご紹介する、精緻で美しいワインの数々を造りだしています。