600年根ざすフランチャコルタのエルブスコでメトドクラシコを造り続ける家族経営ワイナリー「カヴァッレーリ」。彼らがシャルドネ100％で造るブラン ドゥ ブランです。スタンダードのノンヴィンテージキュヴェながら、あくまでもフラッグシップ。一番重要視するワイン造りの情熱を捧げた逸品です。

きめ細かい泡と果実味が酸をまろやかにし、ソフトな口当たりを作ります。フランチャコルタらしい華やかさと果実味の甘やかさ。ナッツのニュアンスやより芳醇に感じられる完熟シャルドネの風味があります。イタリアワイン特有の陽気さや親しみやすさだけでなく、きちんと繊細さを備えた味わいです。

綺麗な酸と華やかさが調和

2025年10月、当主フランチェスコ フランツィーニ氏にお話を聞きました。

「ブラン ドゥ ブランは、生産量の70％を占める代表的なワインです。エントリー的な存在でありながら、造るのに最も時間がかかり、収穫時から最優先でブドウを選別して造られます。まず、このワイン用のブドウを確保することから始まるくらい重要な位置づけです。複数区画のシャルドネ100％で、主にその年のブドウを使用。5～10％ほどリザーブワインをブレンドしています。発酵はステンレスタンクと木樽で行います。年ごとのキャラクターを反映するため、今回試飲しているのは、90％が2020年、10％が2018年のものです。最低24ヶ月間澱とともに熟成しています。」

2025年10月に試飲しました。輝きのある黄金色に近い麦わら色。香りは凝縮感とフレッシュさを併せ持ちます。綺麗でフレッシュな酸があり、りんごなど白い果実のピュアな果実味と華やかさが調和しています。余韻は長く、柑橘の果実感が心地よく持続します。

化学肥料を使用しない、有機栽培で造られたブドウだけを使用。天然酵母による自発的な発酵を促し、極力、人の手を介入しない醸造を行います。発酵は、大半をステンレスタンクで一次発酵を行い、一部バリックで発酵したものをブレンド。ボトリング後、24か月間瓶内熟成。ルミアージュは手作業で4週間行います。

イタリア最高峰メトドクラシコ産地であるDOCGフランチャコルタ。「カヴァッレーリ」は、その中心地のエルブスコに拠点を置く家族経営ワイナリーです。カヴァッレーリ家は1450年にこの地へ移り住み、以降およそ600年もの間、土地とともに歩んできました。先代のジョヴァンニ・カヴァッレーリ氏（2005年没）は、フランチャコルタ協会の創設メンバーの一人としても知られています。現在ワイナリーを担うのは、ジョヴァンニ氏の娘たちと、その子どもたち（いとこ同士）。

カ デル ボスコ、ベッラヴィスタと並び「三大フランチャコルタ」と称されていましたが、家族が守ってきた「高品質」「低収量」という哲学を貫くため、2025年3月、フランチャコルタ協会の脱退を決断しました。今後はフランチャコルタと名乗らなくなりましたが、造り方やスタイルは一切変わりません。先代から受け継いだ理想のワイン像をそのままに、今もエルブスコの土地に根ざしたワインを表現し続けています。

ブドウはすべて自社畑から。白のスプマンテはシャルドネのみを使用しています。そのシャルドネが37ha、ピノ ネロが1.5ha、スティルワインでは、カベルネ、メルロー合わせて5haのブドウ畑を所有しています。畑の広さから換算すると、本来35万本ほど生産することが可能なフランチャコルタですが、カヴァッレーリが年間生産するスプマンテは約20万本。量より質を追求し、最高の状態のブドウからのみワインを造っています。

常に土地を学び、畑に愛情と情熱を注いでワイン造りをおこなっており、長年培った経験から、現在は自然と共に歩むべくビオディナミに転向。さらに近年収量を従来の4000hl/haから3000hl/haに25％削減し、ブドウのクオリティの向上に努めています。よりナチュラルなワイン造りに徹しています。また、周辺地域の環境保全のため、エルブスコの森林を復興するプロジェクトにも参加。ミラノ大学と提携し高木と低木をミックスして植樹するプランを進めています。たゆまぬ情熱を注ぎながら、エルブスコの丘の本質を忠実に伝えることができるワインを生み出し続けています。