ラインヘッセン地方のマインツから南に約20km下ったユルヴェルスハイムに位置する若手生産者モーリッツ キッシンガーの「ゼクト」です。ビオディナミ栽培で育てた、平均樹齢40年のピノ ブランを主体にピノ ノワールとシャルドネを使用。モストの80%をステンレスタンク、20%を225Lの古樽で自然発酵させ、18ヶ月の瓶内二次熟成を行っています。ハニーデューメロンや洋ナシを思わせる香り。爽やかな酸味とエレガントで繊細な果実味。多層的でドライな味わいのスパークリングワインです。

モストの80%をステンレスタンク、20%を225Lの古樽で自然発酵

ブドウはビオディナミ栽培で育てた平均樹齢40年のピノ ブラン50%、ピノ ノワール25%、シャルドネ25%を使用。畑は標高200-300ｍの南向きでレスと粘土、石灰の土壌。ブドウを手摘みで収穫後、全房プレス。プレスは3回に分けられ、モストが最も透明なキュヴェプレスのみを使用。モストの80%をステンレスタンク、20%を225Lの古樽で自然発酵。冬にマロラクティック発酵を行います。8ヶ月後に瓶内二次発酵を開始。甜菜糖22mg/Lとゼクト酵母を添加し18ヶ月瓶内熟成。23年10月に澱抜きをして、ノンドサージュの仕上げでボトリングしています。SO2はトータル14mg/Lと微量です。

第２作目はより多層的になり、秀逸なゼクトに

「第２作目（Winzersekt Nr. 2）となるゼクトです。もう一つ押しが欲しかった第１作目のゼクトでしたが、第１作目がピノ・ブラン100％だったのに対し、２作目はピノ・ノワール25%、シャルドネ25%、ピノ・ブラン50%と3種類のブドウを使用しています。複雑味を出したかったとのことですが、より多層的になり、秀逸なゼクトになったと思います（インポーターのKlein aber Wein社コメントより）」

ラインヘッセン地方のマインツから南に約20km下ったユルヴェルスハイムに拠点を持つ若手の生産者モーリッツ キッシンガー。ラインヘッセンは緩やか丘陵地帯で、石灰とはじめ、多様な土壌をもつ広大なワイン産地です。代々ブドウ造りをしてきたキッシンガー家は1983年に元詰めを開始しました。モーリッツは4代目にあたり、父親から分けてもらった畑で独自のラインナップとなるワインを造っています。

モーリッツが自分のワインを初めて造ったのは2018年でした。ビオディナミの哲学やそこで提唱されている具体的な農法など、それまで醸造学校で学んだ内容とは全く異なる世界に触れた彼は、最初のビンテージを造る数年前から土壌の改良に着手しました。土壌の活性化に着手し始めた頃、その試みがどれほど意義があるものなのか不安もありましたが、年々生命力を増す畑を見ると、その道が正しいことが実感できたと語ります。

彼の畑は粘土が主なユルヴェルスハイムと石灰が主体のディーンハイムにあり、両者のブドウを掛け合わせることで、果実味とミネラルが掛け合わさったワインができます。ラインヘッセンの比較的冷涼な区画と、彼の畑の特性からモーリッツが栽培する品種はリースリング、シャルドネ、ピノ ブラン、ピノ ノワール、ソーヴィニヨン ブランとフランス系品種が占めています。

「良いワイン」について考えることを止めないモーリッツは実際にシャンパーニュ、ブルゴーニュ、ジュラに頻繁に足を運んでいます。そこで得たものをラインヘッセンに持ち帰り、実践に移すことで、周囲の若手生産者にも刺激を与える発信元にもなっています。謙虚な姿勢でワインを造り続ける彼のワインは毎年より一層楽しみになっています。