ラインヘッセン地方のマインツから南に約20km下ったユルヴェルスハイムに位置する若手生産者モーリッツ キッシンガーの「カンナ リースリング」です。ビオディナミ栽培で育てた、平均樹齢32年のリースリングを使用。モストの一部を古いバリックで自然発酵させてから、10ヶ月のシュールリーを行っています。無清澄、無濾過でボトリング。デリケートな柑橘系果実の風味、ジューシーでキリッと締まった質感のリースリングです。

50%をステンレスタンク、残りを古いバリックで自然発酵

ブドウはビオディナミ栽培で育てた平均樹齢32年のリースリングを使用。畑は標高300ｍの東向きでレスと粘土、石灰の土壌。ブドウを手摘みで収穫後にブドウを軽く破砕。3時間程静置させた後4時間かけてプレス。モストの50%をステンレスタンクに、残りを古いバリックで自然発酵。その後10ヶ月のシュールリーを実施。その後ステンレスタンクで6週間静置。無清澄、無濾過でボトリングしています。SO2はトータル18mg/Lと微量です。

まとまりがあり、朗らかなワイン

「リースリングと０オーム白（シャルドネ主体のワイン）は21年と比べ、最初からまとまりがあり、朗らかなワインです。あと２-３ヶ月もするとよりまとまりが出ると思います（2024年4月末日、インポーターのKlein aber Wein社コメントより）」

ラインヘッセン地方のマインツから南に約20km下ったユルヴェルスハイムに拠点を持つ若手の生産者モーリッツ キッシンガー。ラインヘッセンは緩やか丘陵地帯で、石灰とはじめ、多様な土壌をもつ広大なワイン産地です。代々ブドウ造りをしてきたキッシンガー家は1983年に元詰めを開始しました。モーリッツは4代目にあたり、父親から分けてもらった畑で独自のラインナップとなるワインを造っています。

モーリッツが自分のワインを初めて造ったのは2018年でした。ビオディナミの哲学やそこで提唱されている具体的な農法など、それまで醸造学校で学んだ内容とは全く異なる世界に触れた彼は、最初のビンテージを造る数年前から土壌の改良に着手しました。土壌の活性化に着手し始めた頃、その試みがどれほど意義があるものなのか不安もありましたが、年々生命力を増す畑を見ると、その道が正しいことが実感できたと語ります。

彼の畑は粘土が主なユルヴェルスハイムと石灰が主体のディーンハイムにあり、両者のブドウを掛け合わせることで、果実味とミネラルが掛け合わさったワインができます。ラインヘッセンの比較的冷涼な区画と、彼の畑の特性からモーリッツが栽培する品種はリースリング、シャルドネ、ピノ ブラン、ピノ ノワール、ソーヴィニヨン ブランとフランス系品種が占めています。

「良いワイン」について考えることを止めないモーリッツは実際にシャンパーニュ、ブルゴーニュ、ジュラに頻繁に足を運んでいます。そこで得たものをラインヘッセンに持ち帰り、実践に移すことで、周囲の若手生産者にも刺激を与える発信元にもなっています。謙虚な姿勢でワインを造り続ける彼のワインは毎年より一層楽しみになっています。