トスカーナの5つもの銘醸地でワインを生産する歴史的名門バロンチーニ家のキャンティ クラシコです。サンジョヴェーゼ100％を3種類の樽で熟成して造られた逸品です。熟した果実の香りに、バニラやシナモンなどのスパイスも感じられ、ソフトで、濃縮しており、タンニンとサンジョヴェーゼらしいフレッシュさが素晴らしいバランスがあります。

優しい飲み心地のサンジョヴェーゼ100％キャンティ クラシコ

2024年6月、醸造家のニコラ ベルティ氏にお話を聞きました。

「サンジョヴェーゼ100％で造るキャンティ クラシコです。3週間マセラシオンをしたあとに、1年間樽で熟成させます。使用する樽は3種類。大樽50％、バリックとトノーが25％ずつです。サクランボなどのフレッシュな赤い果実と、優しい飲み心地を感じていただけると思います。これはこの土地を表現しているものです」

2024年6月にキャンティ クラシコ2021ヴィンテージを試飲しました。淡いルビー色。グラスに注いだ瞬間からチェリーやベリーの香りが広がります。やや厚みがあり甘やかな果実のニュアンス。口に含むとフレッシュかつまろやかな酸が口中に広がり持続します。香りで感じたベリーやイチゴのような明るい果実味が、繊細なタンニンに溶け込んでいます。

標高350mにある畑は、僅かに粘土の混じった砂土壌で、収穫はすべて手摘みで行われ、1ha当たり、収穫量は70hl。天然酵母で醗酵させており、28度に温度管理され、最低3週間果皮と共に醸しをしています。マロラクティック醗酵はスチールタンクで行っており、木樽で24ヶ月間熟成しています。

バロンチーニ家の歴史は、今から約500年以上も前にまでさかのぼることができます。現在残る昔の系図によると、バロンチーニ家はサン ジミニャーノの地に、1489年から所有権を得たという記録があります。その土地の所有者であるアントニオ　ディ　バスティアーノの代からワイン造りをしています。アントニオの娘、アポロニアがサン　ジミニャーノの貴族出身のミケーレ　ペスキオリーニと結婚したことで、バロンチーニ家は、ポデレ　トッレ　テルツァ（Podere Torre Terza）を含むワイン畑と名声を得ました。それから何世紀か後、1960年代にジャウレス　バロンチーニがトップクラスのワイン造りでの成功を目指し、現在のカンティーナ　バロンチーニを立ち上げました。

恵まれた土地と家族の協力、先を見越して少しずつ畑を買い足していき、事業は拡大していきました。娘のブルーナは、20年前に父が亡くなった時に医学の道をあきらめ、トスカーナのそれぞれのD.O.C.G.にカンティーナを持つという父の夢を実現するための計画を立てました。現在彼女は畑にいたり、セラーでブレンドしたりと、ワインに携わることをこよなく愛しています。

彼女が思い描く理想像は、テロワールに密着した、土地の個性が生かされたワインです。これまでの経験を生かしつつ、レオナルド　ケージ、アンドレア　マッツォーニ、ニコラ　ベルティの3人のエノロゴの助けも借りながら、良いワイン造りを実現しています。ブレンドも彼らと一緒に行います。6つのカンティーナを所有し、特定の銘柄に特化した生産者が多いトスカーナでは珍しく、幅広いラインナップを生産しています。少ない人数で多くのカンティーナをコントロールすることで、規模と専門性、多品目でありながら効率的な運営という、相反する点を上手く融合させています。

<歴史>

500年以上前からの家系

‘60年代　ジャウレス　バロンチーニがカンティーナを設立

<オーナー> ブルーナ　バロンチーニ

<エノロゴ> レオナルド　ケージ、アンドレア　マッツォーニ、ニコラ　ベルティ

ブルーナ　バロンチーニは、父親が欲しいと思っていた様々な畑（トスカーナのすべてのD.O.C.G.に畑を所有する）を購入してきました。このカズッチョ　タルレッティは、その最後の畑で、3年前に購入しました。彼女の父親は、ずっとキアンティ　クラッシコの畑を欲しがっていたので、見て回って、探していました。その結果、ついに完璧な畑を見つけ、購入しました。「父の夢をかなえてあげたかった」と、ブルーナ。「カズッチョ」は有名な建物の名前で、ラベルに描かれています。タルレッティは、前の所有者の名前です。