トスカーナ州北西部、標高1000メートルの広大な渓谷でナチュラルなワイン造りを実践する「マエスタ デッラ フォルミカ」。彼らが創業当時から、シラー主体に複数の品種を混醸で造る赤ワイン「ガモ」です。華やかでスパイシーな香り。エレガントでスムースな飲み口の赤ワインです。

前2019年ヴィンテージは、テロワールと歴史を表現した高品質ワインに贈られる『スローワイン』最高賞ヴィーノスローを受賞しています！

心地よいフルーティな味わい

全8区画、7種の古樹を混醸で造る赤ワイン

2025年7月、当主アンドレア エルミ氏にお話を聞きました。

「全8区画の標高300～700メートルの畑からなる、古い樹齢のブドウで造る赤ワインです。品種の比率はヴィンテージによって異なります。小さな区画が多いため別々の醸造は行わず混醸です。シラーのように多い場合は単独で仕込みます。熟成は主に5年目の古いバリックで行っています。」

2025年7月にガモ2021ヴィンテージを試飲しました。ルビー色。心地よい果実の香りに加え、ほのかな骨格を感じます。味わいは香りと同様に心地よい果実感が広がり、複雑さと心地よいタンニンが調和しています。

何世紀もの歴史が培った「多品種文化」のワイン造り

かつてこのエリア出身の女性たちは、フランスやピエモンテの貴族のもとへ出稼ぎに行っていました。その彼女たちが故郷へ戻る際にブドウの苗木を持ち帰り、植えていった歴史があります。ガモは、その歴史と深く結びついたワインです。かつての女性たちが持ち帰ったブドウが代々受け継がれてきた結果、多種多様な品種が今も残っています。多彩な品種をブレンドしてきた長い歴史と、その背景にあるエピソードが、「ガモ」というワインを形づくっているのです。

樹齢20-150年のビオディナミ栽培で育てたブドウを使用

畑はガルファニャーナ地区（カシオ、ロッカルベルティやアンティシャナなどの村）にある代々受け継がれてきた、古くからある2.8haの規模。標高300-700mで南東-南西向きにある、石の多い多様性豊かな土壌。山の影響を受けた地中海性気候。ブドウはビオディナミ栽培で育てた、樹齢20-150年のシラー40％、サンジョヴェーゼ35％、その他25％（ガメイ、チリエジオーロなど）を使用しています。

無清澄で無濾過、SO2は必要最小限で瓶詰め

1ヘクタールあたり30hlの低収量で9-10月に収穫しています。シラーは全房使用。果皮浸漬しながら15-18日間、16-24℃でタンクにて天然酵母で発酵。3分の1はステンレスタンクで、残りはバリックで8ヶ月熟成。無清澄で無濾過、SO2の使用は最小限で瓶詰めしています。

マエスタ デッラ フォルミカは、アンドレア・エルミ氏と、その友人マルコ・ラッファエッリ氏が2013年に設立した自然派ワイナリーです。拠点を構えるのは、トスカーナ北西部のアプアーネ山脈とアペニン山脈に挟まれた広大な渓谷。ピサ大学の醸造学専攻で知り合った二人が標高1000mの地で、自然に寄り添った自由な発想でワイン造りを行っています。

この地は、夏は昼夜の寒暖差が大きく、冬は積雪が多く、春は穏やかな晴天が続きます。昔から多様な品種が植えられており、トスカーナの土着品種だけでなく、シラーやガメイ、ブラウフレンキッシュといった品種までも栽培されてきました。当主アンドレア氏はこの地でどうしてもリースリングを育てたいと考え、モーゼルの名門「ゼルバッハ オスター」からリースリングの株を譲り受け、栽培を始めました。

自然に恵まれた素晴らしいテロワールを保つために、ビオディナミ農法を実践しICEA認証のオーガニック認証を取得。栽培と同様に、ワイン造りも最大限自然に近しい手法を実践しています。天然酵母による発酵、樽香をつけないようにタンクや古樽にて熟成、無清澄で無ろ過、SO2は最小限もしくは無添加。品種やブレンドなど自由な発想で醸造し、唯一無二のワインを造っています。