ソアーヴェのリーダー「ピエロパン」が造る話題のアマローネ

イタリアを代表する白ワイン「ソアーヴェ」の造り手として常にその先頭であり、人気、実力ともにトップクラスを維持し続けるピエロパンの「アマローネ」！100年以上も白ワイン専門だった彼らが造る「赤」、しかもアマローネと言うことで初リリースからいやがおうにも世界中から期待と注目が集まりました！

初めてピエロパンのアマローネを飲んだのは、お披露目試飲会のとき。その味は想像をはるかに超える美味しさ。凝縮感がありながら滑らかでエレガントで、甘さはもちろんあるけど決して疲れさせない飲み心地。濃厚で甘みを強く感じるために食事と合わせるのが難しいタイプのアマローネがたくさんある中、ピエロパンのアマローネはリッチでしっかりとしたストラクチャーがある濃密さを持ちつつ、酸の絶妙なバランスのおかげで究極なまでに洗練された味わいとなって喉を落ちていきます！他では味わったことのない衝撃的な美味しさを目の当たりにして、この味わいを体験できた日本で初めてのひとりになることができた幸運にしばらく浸ってしまいました。

実は、ピエロパンが赤にチャレンジすると聞いた数年前、ソアーヴェだけに特化してきたピエロパンがそのポリシーを変えることに実は少し抵抗がありました。でもこのアマローネを飲んで、そんな気持ちはいっぺんに吹っ飛びました！

本来のアマローネとは、力強く優美でバランスが良く、食事と一緒に楽しめるワイン

ヴェネトに生まれ育ったピエロパン家にとって、白ワインのソアーヴェと同じように愛着のあるワインがアマローネ。1890年からソアーヴェで農園を営んできたピエロパン家は創業者の孫で現オーナーのレオニルド氏の代になって大きく飛躍、ソアーヴェを代表する造り手となりました。レオニルド氏の息子たちが仕事を受け継ぐようになった1999年、ついにアマローネへの挑戦をスタート。息子のアンドレア氏は「白ワインを１００年以上造ってきてそろそろ別のことがしたくなったんだよ」と冗談混じりの本音？とともに「父（レオニルド）は僕たち息子に新しい世界にチャレンジさせようと考えたんじゃないかな」と話します。

ピエロパンのアマローネは究極なまでにエレガントなスタイル。それは、アマローネとは本来食事と一緒に楽しむものだと考えているからにほかなりません。アンドレア氏は言います。「近年、アメリカの消費者のし好にあわせたアマローネが造られるようになってしまった。つまり、甘くてチョコレートのようなニュアンスがあって、食事とは別に楽しむようなものに。私たちが造るアマローネはそういうものではなく、本来のアマローネでなければならない。それは、力強く優美でバランスが良く、食事と一緒に楽しめるワインだ。」

エレガンスとフィネスを表現する「ピエロパン」にとって最適な高い標高のイラージの畑

それにしても、すでに多くの偉大なヴァルポリチェッラとアマローネが造られているのによくぞ条件の良い畑が残っていたのが不思議。そのことを尋ねると、「私たちが見つけた土地はチェッローレ ディラージの丘陵地の標高350～500mの場所。ブドウ畑だったわけではなく、私たちが植樹しました。ヴァルポリチェッラには5つの谷があるけれど、ここイラージは比較的新しいエリアです。ワインにエレガンスとフィネスを求める私たちにとってこの標高はいいものができるという確信がありました。もちろん、これまではこの土地が冷涼過ぎて誰も見向きもしなかったけど、温暖化でブドウが生育する条件が良くなったというのもあります。いずれにしても初めて植樹された畑で、初リリースするまでに何年も実験を繰り返しました。」とのこと。

全て手作業で収穫したブドウを3ヶ月陰干ししたあと、4人で一粒一粒状態の良いものだけを選びぬいてアマローネに使います。少しでも悪いものは徹底してはじいていくその姿勢は常に最高のものを目指すピエロパンのポリシーそのもの。エレガントで洗練された味わいを追求するその姿勢は一足先にリリースされたヴァルポリチェッラ「ルベルパン」にも表現されています。まだ若い樹齢ながらすでに圧倒的な存在感を見せつけるピエロパンのアマローネとヴァルポリチェッラ。これからどこまでのぼりつめていくのか、本当に楽しみです！

ワインガイド評価

『ジェームズサックリング』95点（2017ヴィンテージ）

洗練された華やかさと印象的なフレッシュさを持つリッチなワイン。ブドウは4ヶ月間陰干し。ボトリティスは極力避ける。各房をチェックし、腐敗や酸化した果実を避けるため、疑わしい果実は手作業で取り除かれる。これは計り知れないワインだが、このスタイルからよく連想されるハーブやメントール、泥臭いトリファイドの香りはほとんどない。その代わりに、キルシュ、アニス、ミントのアロマが口中に広がる。タンニンは正確で、玉のようにまとまっている。印象的で重みがあるが、逆説的にフレッシュで現代的。今すぐ飲めるが、2026年からがベスト。（2023年5月）

1890年から4世代にわたる歴史を持つソアーヴェで最も尊敬される造り手ピエロパン。「質の良いワインしか造らない」がモットーで、それは畑の選び方にも表れています。所有する畑はソアーヴェ・クラシコエリアの斜面地の一等地にあり、「すべての仕事は畑から始まる」というのがレオニルド氏の持論です。

大量生産に走りすぎたことによる質の低下で、いっときソアーヴェ全体が陥った評判の低下を嘆き、不屈の精神で名誉回復に努めました。ブドウ畑自体に重点を置くことへのこだわり、常にさらなる高品質を追求する姿勢、醸造工程の革新がピエロパンワインの個性を特徴づけています。

そして1999年にはアマローネを造るため、4代目に当たるアンドレアとダリオが中心にになったプロジェクトがスタート。100年以上の白ワイン造りで得た経験と知識と情熱が、赤ワインにも向けられた今、ますます成長を続けています。