1981年にビオディナミを開始した、アルザス有機農法の先駆者ピエール フリックの「リースリング」です。ビール区画と他の区画で栽培されたリースリングを使った同社の定番白ワイン。11ヶ月の長期アルコール発酵。オークの大樽でシュールリーしながら16ヶ月熟成しています。トラミーナ―系の様なアロマの濃度で白いバラ、ニワトコ、エストラゴン、ライチなど青さとトロピカルさが層をなした香り。しなやかで軽やか、微かな揮発酸が心地よいリースリングです。

区画名のビール(Bihl)は「こぶ、小さな丘」の意味。

以前は「リースリング ビール」という名称でしたが、2019年に3区画あるビールうちの2区画ので植え替えを行ったため、他の区画のリースリングを加えて使用。そのため約5年間はビールの呼称が外れることになっています。ビール(Bihl)は「こぶ、小さな丘」の意味。ファッヘンハイム村のある平野につき出た丘にあります。西向きで褐色石灰質とルースの土壌です。リースリング、シルヴァーナー、ゲヴュルツトラミネールが植えられています。

古いオークの大樽の中で細かい澱とともに16ヵ月熟成

ビオディナミで育てた。1977年（ビール区画）と1985年（他区画）に植樹された南斜面向きのリースリング100％を使用。手作業で収穫されたブドウを温度管理はせずに11ヶ月自然発酵。続けてマロラクティック発酵を実施。古いオークの大樽の中で細かい澱とともに16ヵ月熟成しています。無清澄で、セルロース繊維による濾過を行いボトリングしています。

千年以上かけて育まれてきた、アルザスのワイン造りの伝統の味わい

「このワインを味わうことは、時間を味わうことでもあります。ブドウが育った時間と、醸造にかけた時間と、ボトルの中で熟成した時間と。さらに、千年以上かけて育まれてきた、アルザスのワイン造りの伝統を味わうことでもあると言ったら、大げさでしょうか。

テイスティングした2022ヴィンテッジの28種のワインは、1つを除いて現段階で亜硫酸がゼロ。しなやかで、軽やか。亜硫酸が低いリースリングにありがちな重さがなく、微かな揮発酸が心地よい。丹精した栽培から生まれるエネルギーと熟練のたまものと、つくづく思いました。（インポーターのラシーヌ社コメントより）」

ピエール フリックは1970年にビオロジック、1981年にビオディナミを開始した、アルザスでの有機農法の先駆者です。現当主ジャン＝ピエール フリックは、コルマールの南、ファッフェンハイム村にあるブドウ農家の12代目。彼の信条は「ブドウの樹は、天と地をつなぐ架け橋。ワインの本質とは審美的なものであり、それは芸術の一分野を占めている。ワインは自然への愛と、畏怖の念が刻印されるべきものである」と語ります。

ブドウ栽培は長年の真摯なビオディナミ栽培により力強さを備え、ブドウの樹には生命力が吹き込まれています。近年はボルドー液の使用も大幅に低減。12haの自社畑の一部はブルゴーニュと同じジュラ紀ドッガー(Dogger)時代（バトニアン期、バジョシアン期を含む）の魚卵状石灰岩も豊富。簡単に割ることが出来る脆い岩で小石が多く、保水性が低いのが特徴。

醸造時は白品種も全て全房でプレス。自然酵母で発酵。100年以上使い続ける30hlのフードル（大樽）で熟成の樽として、多数保有しています。熟成はオークの大樽でシュールリーを行います。1988年以来、補糖を一度も行っていません。複数あるSO2無添加キュヴェには立体感ある舌ざわりがともない、触覚的なテクスチュアが現れます。

当主ジャン＝ピエール フリックと妻シャンタル、息子トーマスによるピエール フリックの案内

「ワインはすべて、気候条件に恵まれない年で、ブドウを買う場合であっても、ビオディナミで栽培され、手作業で収穫されたブドウのみを原料としています。圧搾は空気圧式プレスで行い、補糖、補酸はせず、自然酵母で発酵させ、温度管理はしていません。通常1-2回は澱引きをし、マロラクティック発酵もまた自発的に、そして完全に行います。発酵が終わると、古いオークの大樽の中で細かい澱とともに平均6-9ヶ月間熟成。清澄剤は使用しませんが、瓶詰め前にセルロース繊維によるろ過を施します」

「ワインの“純度”を保つために、2002年からナチュラルコルクの使用をやめ、王冠で栓をすることにしました（クレマンはナチュラルコルクを使用）。これにより同じキュヴェのすべてのボトルが時間とともに均等に熟成し、長期熟成が保証されます。私たちのワインにはどれも、テロワール、ヴィンテージ、私たちの畑の手入れによって生まれた独特なバランスがあります。私たちは、ワインを“製造する”のではなく、真正の生きたワインを“育て”ています(ジャン＝ピエール フリック、シャンタル フリック、トーマス フリック 2022年1月 ラシーヌ社HPより抜粋)」