モレッラは、イタリア各地でワイン造りを修行したオーストラリア出身のリサと、プーリア出身のガエターノの2人が、プーリアの南方マンドゥリアで2002年に設立した、異色のワイナリー。プリミティーヴォといえば、果実味たっぷりの甘やかなワインのイメージがありますが、モレッラのワインは非常に伸びやかな酸があり、エレガント。凝縮感のあるリッチな味わいが魅力です。

樹齢50年以上の古樹がもたらす透明感とエレガンス

畑の土壌は、マンドゥリアに多い赤土ではなく、より鉄分の少ない白っぽい土壌。樹齢50年以上のプリミティーヴォを使用。20hl/ha以下という古樹からの極端な低収量、リサの類まれな醸造センスが加わり、モレッラのプリミティーヴォには冷涼感あふれた透明な味わいが生まれ出ます。

加えて太陽熱を蓄える岩も少ないため気候は涼しく、古樹がもたらすブドウは瑞々しさを備え、ワインのなかで伸びやかな酸が果実味を引き締めます。しかも幾重にも重なる深みと澄明で長い余韻がそなわり、既存のプリミティーヴォのイメージを鮮やかに覆します。その意味で、“新世界＝モンド・ヌオーヴォ“と名付けられました。

赤ワインは10hlの解放桶でマセレーションを行い、手作業でピジャージュ。その後、垂直プレスで圧搾し、300/500Lのトノーで熟成。瓶詰め後もワインにより6-18ヶ月間熟成させ、落ち着いてからリリースさせます。

あえてIGTサレントでリリース

原産地呼称についても、品種のブレンド比率に年によって幅を持たせるため、IGT サレントでリリースをしています。トップキュヴェの古樹のプリミティーヴォ 100%のキュヴェも同様にDOCマンドゥーリアは取得せず、IGTサレントでリリースしています。白ワインはセメントタンクで発酵と熟成を実験的に行っています。

モレッラはプーリア州のマンドゥーリアの地にて、醸造家リサ ジルビーとパートナーのガエターノ モレッラが2002年からプリミティーヴォを主体にワイン造りを行っているワイナリーです。笑顔を絶やさないリサとひときわユーモアにあふれるガエターノですが、仕事とワイン造りには真剣そのもの。生産者団体FIVIのディレクターも務めており、プーリアのワインの振興にも努めています。

オーストラリア出身のリサは、生産者として働くために1990年代にイタリアへとやってきました。ピエモンテやトスカーナで研修をし、その後シチリアの大規模なワイナリーで、ブドウの仕入れを担当することになり、プーリアへ何度も足を運びました。その過程で多くのプリミティーヴォの古樹を見かけ、中でも樹齢80年を超えるアルベレッロの畑の姿に胸をうたれました。そしてもし自分がワインを造るとしたら、と次第に考えるように。決断は早く、ガエターノとともに2002年にはマンドゥーリアの町なかに醸造所を構え、ブドウを買いながらワイン造りをはじめます。同時にブドウ畑も少しずつ購入し、現在は20haの畑を所有しています。

リサが感銘を受けたプリミティーヴォは1930年-1970年代に植えられたアルベレッロ仕立ての畑で、その畑が管理する20haの2/3を占めます。そのほかにネグロアマーロとマルベック、白品種（フィアーノが主体）の畑を所有していて、エントリーレベル用の若いプリミティーヴォはアルベレッロではなくグイヨーで仕立てています。

イタリアのかかと部分に位置するプーリアの中でも一番南のサレントエリアは、真っ白な石灰岩土壌の平地の広がるエリアです。海抜も80-100ｍと高くはなく、温暖というよりは酷暑のエリアです。酸が高く、早熟のプリミティーヴォであっても、近年の気候では酸と果実味、果皮成分のバランスをとることは難しいです。その中でモレッラのプリミティーヴォのような透明感すら感じる味わいは驚異的と言えます。そしてそれはやはり、リサがその品質を信じる高樹齢のプリミティーヴォの畑と彼女らの熱意のこもった手入れによるものなのです。古樹のプリミティーヴォからは良年であっても20hl/ha しかブドウは収穫されません。

マンドゥーリアの土壌はテーラ ロッサ（赤土）が特徴的で、鉄分を多く含み、出来上がるワインには、酸化的なニュアンスと暑さを感じる果実味が特徴的です。モレッラの畑でも、表土を赤土が50cmほど覆い、下層土は石灰岩です。キュヴェ モンド ヌオーヴォ用のブドウの取れる区画は、例外的に表土が白く、岩も少ないので昼間の熱が夜まで残ることが無いので、冷涼さすら感じる味わいのワインが出来ます。