中身一新、生まれ変わったフラッグシップ「カボション」

イタリア最優秀スプマンテを生んだ「モンテ ロッサ」のフラッグシップ「カボション」が新たに「フオリセリエ」となって生まれ変わりました。同社20周年を迎えた1992年に1987ヴィンテージがリリースされると、2004年の『ガンベロロッソ』で年間最優秀スプマンテに選出。かのフランク シナトラ夫人から「1年を締めくくるのに最高のスプマンテ」という賛辞が贈られました！そのカボションがリザーブワインを20％まで使い、シャルドネ70％とピノネロ20％をブレンド。ミレジマートからNVになって新シリーズとしてリリースされました！

2022年3月にワインジャーナリストの宮嶋勲氏にフランチャコルタとカボション フオリセリエについて解説していただきました。

「神様が与えてくれた好条件を満たすフランチャコルタですが、かつては高品質なスパークリングワインができる産地だと思われていませんでした。戦後、1961年にベルルッキがフランチャコルタで初めて瓶内二次発酵スパークリングワインを造り大成功を収めたことで、フランチャコルタの名が知れ渡ります。

フランチャコルタは、ミラノとヴェネツィアの間にあります。エリアの北側にはイゼオ湖があり、その更に北にはプレアルプスにつながるカモニカ渓谷があります。湖は温暖な気候を生み、2000メートル級の山は冷涼な気候を生みます。そのため、昼夜の温度差が激しく、ブドウが熟成するのに非常に適した産地なのです。様々な土壌がミックスしていることも特徴です。摩耗された様々な石ころが混ざっているため、非常に水はけがいいんです。

モンテロッサは1972年に生まれたフランチャコルタの名門です。このカボションは、ヴィンテージ名は入れずエディション名を入れています。これはエディション87。フランチャコルタの中では涼し気なトーンが出ていますね。果実はあるけどシャープな感じが出ています。フランチャコルタは、みんなが好きと思うような果実味があってわかりやすく、食事がなくても美味しいですよね。ラベルはジュエリーブランド“ブチェラッティ”の有名なデザイナーが出がけています。」

長期熟成による円熟味と上品なミネラルを感じる余韻

2020年3月18日、試飲しました。非常に輝きのある黄色で深みのある柑橘系フルーツとミント、ユーカリ、アーモンド、プラリネ、ハーブティーの香りがグラスから溢れだします。上品に鼻から抜けていくハチミツのニュアンスに上質さを感じます。リザーブワイン由来の厚みと42ヶ月もの長期熟成により、溶け込んだ泡と複雑味、凛とした酸味が素晴らしいフランチャコルタです。クリーミーな余韻で感じる上品な塩味も目が覚めるほど印象的です。

「モンテ・ロッサ」は、フランチャコルタワイン協会の初代会長を務めたパオロ氏が経営するワイナリー。1972年の創業で、家族経営の小規模ワイナリーながら、その実力は高く、フランチャコルタのトップワイナリーのひとつとして評価されています。

フランチャコルタ地区の多くの造り手はスパークリング以外にもスティルワインを造るワイナリーも多いのですが、モンテロッサはD.O.C.G.フランチャコルタだけを生産。つまり、「スパークリングワインの生産」だけにワイナリーの力の全てを注いでいます。

ワイナリーのフラッグシップはなんと言ってもカボション フランチャコルタ ブリュット。出来のいい年だけに造られる、ヴィンテージ表示(ミッレジマート)のフランチャコルタ。実に40ヶ月以上の長期熟成を経て生まれます。タバコやスパイスを感じさせる香りは複雑でパワフル。ソフトできめ細かな泡立ちはまるでムースのよう。イタリアで最も権威のあるワイン評価誌『ガンベロロッソ2004版』で年間最優秀スプマンテの栄誉に輝き、その地位を不動のものにしました。