トゥアリータが造るイタリア最高峰シラー「ペル センプレ」

ファーストヴィンテージの2001年以降、年産約3000本の希少性、イタリア最高峰シラーとして常に愛好家から大きな支持を得るトゥアリータのシラー「ペル センプレ」。

「ペル センプレ」（永遠に）

2016年からラベルからシラーの文字が無くなり、「ペル センプレ」（永遠に）と亡き創業者ヴェルジリオをオマージュしたラベルとなっています。

他の作業を一切止めて行うペルセンプレのボトリング

2023年2月にトゥア リータ3代目ジョヴァンニ氏にお話を聞きました。

「ペルセンプレは、私の祖父ヴィルジリオ（創設者）の強い思いで造られました。シラー種を他のワインにブレンドしようという話が出ても、それは絶対にダメだと。2010年に、そのシラーの収穫中に祖父は亡くなりました。私たちにとっても特別な思いがある品種、ワインなのです。レディガフィやジュスト ディ ノートリとはまた違う感覚があります。センチメンタルとでも言いましょうか。実は、ペルセンプレをボトリングする時は他の仕事を一切しません。生産本数は3000本なので1時間程度で終わる作業ですが、集中して行っています」

ペル センプレはマレンマ地区のコッリーネ メタリフィーネのシラー100％で造られます。フレンチオークの新樽にてマセラシオン醗酵後マロラクティック醗酵を行い、新樽100％のオーク樽で20～22カ月間樽熟成を行います。

黒に近い深紫の色調で、果皮がはち切れそうなまでに完熟したベリー系の果実香、珈琲やスパイスの香り。甘くつややかなタンニンとジューシーな果実味のバランスがよく、より一層高まった品格感があります。

ヴィンテージ情報

2021年は、生育期を通して雨の少なかった暑いヴィンテージ。1月にまとまった降雨があり、2月3月は穏やかな気候で植物活動は平年より早く進みましたが4月に入り気温が低下し生育活動が一時的に鈍化しました。その後は好天が続き、6月に入ってこの辺りの典型的な日中の強い風と乾燥した夏が到来し、ブドウは非常に健康的に良い成熟が進みました。4月から10月にかけて降雨が少なく干ばつ的な年とへと移行していき1週間ほど平年より早い収穫。ワインレベルは非常に高く、「凝縮感とバランス」が秀でたヴィンテージといえます。

ワインガイド評価

『ジェームズサックリング』96点（2021ヴィンテージ）

ナツメグとシナモンを伴う赤い果実のアロマが、軽い杉のニュアンスとともにはっきりと感じられる。フルボディで、引き締まった集中した味わいと、とてもとても洗練されたタンニンがある。軽く粉っぽさを感じ、長く鮮やかなフィニッシュの前に良い緊張感がある。2027年以降に飲むとよい。（2023年8月）

1984年、ヴィルジリオとリータ夫妻が当時ワイン産地としてまったく無名のトスカーナ・スヴェレート地区に土地を購入して設立された、家族経営の小さなワイナリー。運命に導かれたのか、購入した土地がワイン造りにおいて尋常ではないポテンシャルを持っていることに気がついたのはその後のこと。

最初は趣味でワインを作っていましたが、天才エノロゴ（醸造責任者）として世界的に有名なルカ・ダットーマとともに手がけた、ワイナリー初リリースの「ジュスト ディ ノートリ 1992」(カベルネ・ソーヴィニヨン50％メルロー50％)により注目され、頭角を現します。 その後メルローが素晴らしい出来であることから、1994年に実験的にバリック2つ分のメルローが瓶詰めされます。これがのちに伝説のスーパートスカンとなる、シンデレラ・メルロー「レディガフィ」の誕生でした。「レディガフィ」は1997ヴィンテージが『ワイン・スペクテイター』で100点、その後、2000ヴィンテージが『ワイン・アドヴォケイト』でも100点を獲得、2015ヴィンテージが『ジェームズサックリング』で100点と、イタリアワイン唯一の3大誌満点という快挙を成し遂げます。こうしてトゥア リータは、トスカーナでも最高峰のワイナリーとしての地位を確立しました。

「自分達は新参者だから、人と同じことをしていては成功しない。良質のワインだけを少量ずつ造るために、カベルネとメルローを選んだのです」夫妻は最初から、最高品質の国際品種で造られたワインを輸出向けに造る、という強い信念を持っていました。

2010年にヴィルジリオ氏は亡くなりましたが、その心は次世代へ引き継がれています。全てはブドウの品質で決まるワイン。トゥア リータのワインは人の愛情で育まれたブドウから作られています。