収量の少ないアルベレッロ仕立の「ヴィーニャバスティニャーノ」

2018年2月、コンティ カッポーニ ヴィッラ カルチナイア社の当主セバスティアーノ カッポーニ伯爵からお話を伺いました。「ヴィーニャ バスティニャーノは小高い丘を上がった場所にあり、周囲3面を松林に囲まれています。2004年に古い畑のサンジョヴェーゼを移植しました。土壌は粘土質とスレート状の石灰岩が混じるガレストロの土壌です。畑は東向きにカーブした形であるので、畑に合わせてブドウの畝を東向きにカーブした仕立てとなっています。栽培法はアルベレッロで収量は少ないです。アルベレッロの仕立てだとブドウが地面に近い分、地面の温かみ、反射熱をブドウに伝えやすい点が利点です。

熟成は600リットルのタマゴ型のセメントタンクと大樽を使用

トノー樽で醗酵し、熟成は600リットルのタマゴ型のセメントタンクと大樽で行います。タマゴ型セメントタンクは2013年から使っています。タマゴ型タンクは常に自然な対流が起きるので均一な熟成が出来、自然なバトナージュ（澱を攪拌させる作業）がタンク内で起きています。利点は多いのですが、一つ言うのならば、このタンクはコストが非常に高いという事です。30～35%程木樽よりも高価であり、スペースを取ってしまう事ですね。600リットルのタマゴ型タンクを置くスペースに木樽ならば2500リットルが置けてしまうという事です」と話してくれました。

松の傘に囲まれて守られた条件の標高280メートルの粘土石灰質の単一畑「ヴィーニャバスティニャーノ」のブドウを使用しています。2008年がファーストヴィンテージ。ブドウの樹はマセル セレクションにより150種の中からセレクトしています。

森のフルーツにカカオやスパイスの風味が重なります。濃密なインパクトがあり骨太なボディ。酸とタンニンがワインのスタイルを美しくシェイプに仕上がっています。余韻が長く、エレガントで複雑な印象です。

古き良き時代を偲ばせる伝統的なスタイルを貫くキャンティ クラシコ

コンティ カッポーニ ヴィッラ カルチナイアは古き良き時代を偲ばせる、自然派で伝統的なスタイルを貫くグレーヴェ イン キアンティ地区の生産者です。歴史ある造り手で、この地方の統治者であったカッポーニ伯爵が、1524年に4つの畑を購入しワイン造りをスタートさせました。カルチナイアはそのうちの一つで、現在まで続く唯一の畑になりました。「アイア」とはトスカーナの方言で場所を指します。「カルチナイア」とは「石灰石が採れる場所」という意味があります。

絹商人として財を成しブドウ畑を購入

カッポーニ家は元々フィレンツェの南にあるオルトラルに住んでいましたが、1215年に書かれたフィレンツェの文献では既にカッポーニ家の記載がある程です。カッポーニ家は絹の商人として生計を立てていました。当時絹の商人は7つの大きな組織に属しており、私達はその大きな組織を運営していました。絹の商人として仕事もしながら、組織内でお金を貸付等を行い財を成して行き、1524年にグレーヴェインキャンティの土地を購入する事にしました。

有機認証を受けた畑で造られる

現当主は37代目のセバスティアーノ カッポーニ伯爵です。215ヘクタールの所有する土地の内、ブドウ畑の標高は230~300メートルで27.5ヘクタール、オリーブ畑が10ヘクタールとなっています。土壌は粘土、泥土、砂、ガレストロ、小石などが混在し、全体的に石灰分が多い栽培はすべて有機栽培で行われていて、2014年ヴィンテージから全てのワインに有機認証を受けています。

ポッジョディソット、オルネッライアでエノロゴを務めたフェデリコ スタデリーニ氏を招聘

ポッジョディソットでジュリオ ガンベッリと共に働き、オルネッライアのエノロジストを務めたフェデリコ スタデリーニ氏をエノロゴに招聘しています。香り高く、繊細で優美。ミネラル分が豊富な伝統的なスタイルのサンジョヴェーゼを生み出します。

カッポーニ家の紋章を表した特徴的な白と黒のラベル

フローレンスの南、シエナに向かう有名な道“via Chiantigiana”の近くの丘と谷に畑があります。グレーヴェ イン キアンティの中でも糸杉の長く続く道や歴史ある建物は大変美しく、ワイン愛好家に広く知られる場所となっています。特徴的な白と黒のラベルはカッポーニ家の代々続く紋章を表しています。

荘厳なカッポーニ宮で撮影された映画『ハンニバル』

カッポーニ伯爵家が所有するフィレンツェ市内のカッポーニ宮は荘厳で、映画『ハンニバル』の舞台として撮影が行われたことでも有名です。これは原作者トーマス ハリスと伯爵が昔からの知り合いだった為、建物が作品のイメージにピッタリだとのことで依頼があり、それを伯爵がこころよく承諾した為、実現したことです。ちなみに主演のアンソニー・ホプキンスは撮影滞在中ずっと、カルチナイアのワインを愛飲していたそうです。