トスカニーイタリアワイン専門店 / イクリヴィ

イクリヴィ

フェルナンドザヌッソ氏

「20年前、この地のワイン文化は失われていた。土地の味のするワインの復活を夢にてブドウ畑を探した。そして荒廃したブドウ畑を見つけた」

イクリヴィの創業者フェルナンドザヌッソ氏は40年近く貿易関連の仕事に就いていましたが、50代半ばにして母の故郷であるフリウリで90年代初めにフリウリの伝統的ワインの復活を夢見て、息子のマリオとブドウ畑の取得へと動き出します。

前所有者が高齢を理由に放棄されていた畑を取得。「ブドウ畑は荒廃していたが、幸運にも農薬で痛めつけられている訳ではなかったのでブドウ樹には生命が宿っていた」と語ります。古いブドウ樹を活かし少しずつブドウ樹を増やしていく事に成功します。1995年にワイナリーを商業、1996年に初ボトリングを行います。

創業時にはコルモンス出身で、「フェッルーガ」や「ボルゴデルティリオ」でエノロゴを務めたガスパールブシェーミ氏をエノロゴとして1年間招聘。ブシェーミ氏の方法論の全てを取り入れるのではなく、やるべき事、そうでない事を見分けてイクリヴィの栽培に活かしていくようになります。

「コッリオリエンタリデルフリウリ」と「コッリオ」に畑を所有

畑は「コッリオリエンタリデルフリウリ」のグラモニャーノ丘陵に4ヘクタール、隣接する「コッリオ」の「クアリン」丘陵に8ヘクタールを所有しています。畑の中に家があり、住んでいるので化学的な薬品や化学肥料は使わない。ブドウ樹の病気には全て手作業で対処。有機栽培で認められた銅と硫黄のみを使用します。

「ワインに搾りたてのブドウの香りがある事が理想」

イクリヴィが理想とするワイン造りは「ブドウに語らせること、ブドウ果汁を出来るだけシンプルにワインに変えていく。他の要素を全て排除することが重要」と考えています。野生酵母のみで醗酵、マセラシオン、マロラクティック醗酵もしません。清澄もしません。「ワインに搾りたてのブドウの香りがある事が理想」と考えているからです。

ブドウの繊細な香りや味わいを隠さない為にマセラシオンは行わない

ブドウから出てくる最初の果汁は濁りがなく、圧倒的に香りが強い。このモストディフィオーレだけで繊細なブドウそのものの香りを得ています。果皮や種の要素が出ていない果汁のピュアさが「モストディフィオーレ」にはあります。つまりこの繊細な香りや味わいを隠さない為にマロラクティック醗酵もマセラシオンも行いません。

「果皮や種の要素を抽出すれば、果汁の繊細さは隠れてしまう」

「マロラクティック醗酵によって色々な味の要素が産まれますが、果実そのものの表現は弱くなる。マセラシオンも同じで果皮や種の要素を抽出すれば、果汁の繊細さは隠れてしまう」と語ります。香りを閉ざしてしまう亜硫酸も醸造時は無添加。イクリヴィは「ピュア」である事を追求しています。

ボトル

「この土地のテロワール、天候、伝統を感じるよう可能な限り「透明感」のあるワインを造ること」

ザヌッソ氏の思いは、「歴史が語ってくれる」ワインを造ること。そのためには、この土地のテロワール、天候、伝統を感じるよう可能な限り「透明感」のあるワインを造ること。まさに「足しも引きもしない」という風土（テロワール）の表現が最適です。そのためには有機栽培を行うこと、自然な低収率（1ヘクタール当たり20ヘクトリットル）が必須です。

どのワインにおいても、発酵を促進させる酵母や添加物は一切使用せず、自然酵母のみ。ステンレスタンクにて澱と共に熟成します。澱引き、フィルターは行いません。

古いブドウ樹の凝縮したエッセンスをワインにする

イクリヴィが醸造以上に重視しているのが樹齢です。「若樹は自分を理解できない。つまり未熟。樹齢の高まりと共にブドウ樹は土地を理解する。収量は落ちるが、ブドウのエッセンスは強くなっていく」と語ります。シンプルな醸造を採用しているので若い樹の水分量の多いブドウではワインとして成り立たないそうです。古いブドウ樹は房数も少なく、水分量も少ない。その凝縮したエッセンスをワインにする訳です。