モンタルチーノの南部、エレガントブルネッロの最高峰「チャッチ ピッコロミニ ダラゴナ」。様々な個性を持つ区画のサンジョヴェーゼをアッサンブラージュして造る、高品質なスタンダード ブルネッロです。旨味と酸味がしっかりと感じられ、程よくとけこんだタンニンとともに、優れたバランスを感じていただけます。

力強くエレガント、複雑性あふれる洗練された味わい

2025年11月、アレッサンドラ・アヴァンザーティ氏にお話を聞きました。

「複数の畑のブドウで造るスタンダードのブルネッロです。使用する畑の土壌はガレストロで、粘土を多く含むためやわらかな味わいになります。クリュのピアンロッソとは異なる個性の土壌ですね。2年間スラヴォニアンオークの樽で熟成し、6ヶ月の瓶内熟成を経ます。生産量は約7万本で、私たちが最も多く造るワインです。」

2025年11月に2020ヴィンテージを試飲しました。ガーネット色。赤い果実やスミレの華やかさを伴う、力強く複雑でエレガントな香りです。香りの要素がそのまま味わいに広がり、洗練された甘やかさと複雑味が調和して長く続きます。

ワインガイド評価

『ジェームズサックリング』96点（2020ヴィンテージ）

深みのあるワインで、活気と複雑さを兼ね備え、控えめなチェリーとラズベリーの香りに、灰とフレッシュなオレンジピールのニュアンスが漂う。葉っぱのような香りと肉厚なミネラル感がさらなる深みを加える。口当たりは豊かで熟した果実味、フルボディ、ビロードのようなタンニン、爽やかな酸味、そして紫がかったチェリーの余韻が特徴。確かな精度を感じさせる。現在でも飲めるが、2025年以降が最適。（2024年9月）

17世紀にさかのぼる、修道院の宮殿だった土地

チャッチ ピッコロミニの最も古い所有地は、17世紀にさかのぼる由緒ある土地です。もとは、サンタンティモ大修道院の院長であったモンタルチーノの司教によって建てられた宮殿の一部でした。この宮殿は複数の売却がなされ、最終的にはピウス2世法王の直系子孫アルベルト・ピッコロミニ・ダラゴナ伯爵と、エルバ・チャッチの結婚により、「パラッツォ・チャッチ・ピッコロミニ・ダラゴナ」として知られるようになりました。

1985年、ジュゼッペ・ビアンキーニ氏が資産を継承

1985年、宮殿や土地といった資産は現オーナー一族であるジュゼッペ・ビアンキーニ氏に引き継がれました。ジュゼッペ氏は農場を統括する本社を設立。伝統と文化を大切に守り続けました。ワインを心から愛したジュゼッペ氏は2004年2月に逝去しましたが、彼の意志は二人の子ども、パオロ氏とルチア氏に受け継がれ、現在は二人がワイナリーを率いています。

ブルネッロ ディ モンタルチーノDOCGで存在感を放つ生産者

数多くの名門がひしめくブルネッロ ディ モンタルチーノDOCGの中でも、その独自の味わいと完成度で際立つのがチャッチ ピッコロミニ ダラゴナです。畑が位置するのはモンタルチーノ南東部のカステルヌオーヴォ デッラヴァーテ。1985年以降、品質重視の姿勢を一気に強化。セラーを改築し、最新設備を導入。この改革から数年でワイナリーは高い評価を獲得し、瞬く間にブルネッロを代表する人気生産者のひとつとなりました。

鉄分とマグネシウムが豊富な、特異なテロワール

ガレストロ土壌が主流のモンタルチーノにあって、この地の土壌は白いガレストロに赤い粘土質が混ざり、鉄分とマグネシウムの含有量が周囲より格段に高いという、非常にユニークな特徴を持っています。この特殊な土壌こそが、チャッチ ピッコロミニ ダラゴナの個性を形づくる要素です。標高は240～360mで、オルチャ川の影響により日中は陽光が強く、夜は冷え込むという理想的な微気候が形成されています。