新生「バローネリカーゾリ」の20周年を記念した限定ワイン

2018年10月、リカーゾリ社第32代フランチェスコ リカーゾリ男爵にお話を聞きました。「1993年にバローネリカーゾリのワイナリー運営をスタートさせて20年になった2013年に、何か記念になるワインを造りたいと考えました。リカーゾリ復活を信じて応援してくれた友人や世界各国の輸入会社の40名を招いて20周年記念パーティーを行ったのですが、出席者のみなさんに8種類のワインをブラインドで試飲してもらいました。それは、2011ヴィンテージのもので、より優れた畑のサンジョヴェーゼを主体に造ったものです。気に入ったワインを投票してもらい、一番多くの支持を集めたワインをボトリングしました。それがこのイストリアファミリエ2011です。

2011年は95％サンジョヴェーゼと5％プティヴェルドのブレンドになっています。格付けはIGTにしました。ラベルにもこだわりました。32代続くリカーゾリ家系図に書かれていた先祖の名前を入れています。

最初は友人や世界各国の輸入会社へプレゼント用として考えていましたが、評判がいいので、販売する事にしました。2011年を『ワインスペクテーター』のブルースサンダーソンに送ったら、非常に高い評価をもらいました。しかしながら2011年は元々少量しかつくっていなかったこともあり、ほとんど残らなくなってしまったため、次回は優良年とされる年のみに造る事にしました。

2015ヴィンテージに2回目のボトリングを行いました。イストリアファミリエを造る価値のあるヴィンテージにのみ造る事にしています。2015年はメルロー、カベルネソーヴィニョン、プティヴェルドを3分の1ずつブレンドしています」と話してくれました。

圧倒されるめくりめくるような香りの豊かさ

貴重な20111ヴィンテージを試飲しました。濃密かつクール、凛とした果実とミネラルの香り。時間が経つにつれ、ブラックチェリーやプルーン、スパイスの複雑性が現われ、このワインの中に秘めたストーリーの豊かさを思い知らされます。グラスを廻すと凝縮した果実のインパクトに寄り添うハーブの清らかさ、カカオやコーヒーのタッチも感じられる重厚感が感じられ、一つのワインからはとても想像もつかないような、めくりめくるような香りの豊かさに圧倒されます。

重厚ながらも、決してバランスを崩す事の無い、隙の無い味わい

飲むと、丸みがあり濃密な果実感に引き締まった酸がボディを美しく磨き上げています。骨格の確りとしたボディがありつつも、サンジョヴェーゼの酸、ミネラルが見事な調和を成し、高い次元でエレガンスに満ちた味わいが口中に広がります。重厚ながらも、決してバランスを崩す事の無い、隙の無い味わい。脈々と受け継がれる偉大な伯爵家の歴史、そして未来を象徴するような例外的な存在感を持つ崇高な1本です。元々販売用にボトリングしていない為、ファーストフィンテージの2011年は極少となっています。偉大な功績に甘んじることなく未来へ挑戦し続けるリカーゾリ男爵家の象徴的なワインです。是非特別なひと時にお試し頂きたいワインです。

ワインガイド評価

『ジェームズサックリング』97点（2021ヴィンテージ）

カシス、ブラックチェリー、地中海産ハーブ、ラベンダー、新鮮なブラックペッパーの濃く控えめなアロマ。フルボディで香ばしく、熟したビロードのようなタンニン、ジューシーな酸味、甘くトーストしたような余韻がある。長期熟成向きの緻密なワイン。今はまだ少し若い。2026年から試すことができるが、2031年からが最良の状態になる。

『ワインアドヴォケイト』96点（2021ヴィンテージ）

10年ぶりに試飲したワインがある。当時、フランチェスコ・リカーゾリがバローネ・リカーゾリを率いて20年になるのを記念して造られた2011年ヴィンテージを試飲した。2021年のヒストリア・ファミリアエは、重厚なガラスボトルと赤いワックスカプセル（3,000本のみ製造）に収められており、フロントラベルには手書きのファミリーネームがゴールドのステンシルで記されている。甘い香りのブーケを持つこのワインは、ブラックベリーのクーリ、甘いスパイス、シナモン・ビスケット、生タバコのとても豊かなトーンのおかげで、飲むのがとても楽しい。これらのアロマは、額面通りでは十分な樽香を暗示しているが、その効果は嬉しいほどバランスが取れている。ワインはフルボディで、臆することなく現代的だ。一族の歴史に裏打ちされたワインだ。飲み頃2024-2035年（2024年7月）

キャンティクラシコの伝統地区ガイオーレ イン キャンティにあるブローリオ城を拠点に1000年に及ぶ歴史を持つリカーゾリ家。現在のキャンティワインの基礎となる造り方を築き上げ、イタリア王国の首相も務めた“鉄の男爵”ベッティーノ　リカーゾリは現オーナーの祖先です。

1990年代以降、現オーナーのフランチェスコ リカーゾリ男爵が改革に着手し、その品質は目を見張るほどに向上。そして、イタリア国内外のワインガイドで高い評価を獲得し続けています。

2000年にはブローリオの土地のミクロクリマ(そのエリアでの気候条件）に完璧に適したサンジョヴェーゼを造り上げ、フラッグシップである「キャンティ クラシコ カステッロ ディ ブローリオ」をリリース。リカーゾリの復活を成し遂げました。

フランチェスコ　リカーゾリ男爵が改革に着手して20年目を迎えた2013年にはそれまでに進めてきたプロジェクトの成果を発表。まず、ボルゲリ地区での新しいワンづくりへの挑戦として「ボルゲリロッソ」をリリース。そして、キャンティクラシコ地区で所有する250haの畑を土壌の特性ごとに分類。最適な品種を最適な土壌で育てたクリュワインとしてカステッロ ディ ブローリオ、カザルフェッロ、コッレディラの３つを完成させました。伝統あるキャンティの造り手として、またスーパートスカンと呼ばれるモダンなテイストのワインの造り手としてさらなる発展を続けているワイナリーです。