樹齢140年から155年！北斜面のコントラーダ「ヴェルゼッラ」に生き続けるネレッロマスカレーゼ

シチリアの名門ワイナリー、フィッリアートから超プレミアムエトナワインがリリースされました！なんと樹齢140年～155年というネレッロマスカレーゼで造る「シグヌム エトナ2014」！フィロキセラの攻撃に耐え、自根で生き続け今なお果実を実らせる、奇跡のブドウから造られるワインです！

他の樹とは明らかに違う特徴をもつブドウ

フィッリアートは1990年代の始めにエトナでワイン造りを始め、1994年にエトナロッソDOCを初リリース。エトナでのワイン造りに早くから力を入れてきました。そして2007年にエトナ北斜面、カスティリオーネ ディ シチリアにある標高650メートルのコントラーダ「ヴェルゼッラ」にカヴァネーラ農園を購入。この中の2.5ヘクタールほどの区画に育つブドウ樹が、他の畑の樹とは明らかに異なる特徴を持つことを発見します。樹形、太さ、そして生命力。幹の大きさや枝の伸び方、曲がり方にはっきりと違いが見られたのです。

細かい粒子の火山性土壌、標高が高く冷涼な気候、そして北斜面。フィロキセラに対抗する条件が整った希有な畑

コントラーダ「ヴェルゼッラ」の畑のブドウ樹に歴史的、文化的、農学的、ワイン学的にも価値が高いことを見出したフィッリアートは、この特別な遺産の価値をさらに高めるために2009年にプロジェクトを立ち上げました。植えられていたネレッロ マスカレーゼの樹齢を科学的に裏付けするため、国立調査機関の監視下にあるパレルモ大学農学部に樹木学的、樹木年代学的、葡萄品種学的な分析を依頼。その結果、植物の遺伝子型を再構築しDNAを割り出すことに成功。現在のエトナで栽培されているネレッロ マスカレーゼと比較しました。パレルモ大学は年代測定を実施、平均樹齢が150年であることを科学的に確認しました。これにより、このネレッロマスカレーゼは、フィロキセラの被害を受けなかった、自根の樹であることがわかったのです。

同じエトナの中でもフィロキセラが原因でブドウ樹が枯れた場所も数多くあります。調査により、「ヴェルゼッラ」のカヴァネーラ農園はエトナの中でも樹齢の古いブドウ樹が存在していることがわかりました。ここは火山性土壌の土が細かい粒子となりやすく、これによりフィロキセラに対する免疫が作られ、さらにフィロキセラの活動温度（10～25度）よりも低い気候条件を持っていたことでフィロキセラに対抗できたと考えられています。

エトナのシンボルとしての存在感を放つ「シグヌム エトナ」

「シグヌム エトナ」は、フィッリアートのトップキュヴェとして2014年ヴィンテージで初リリース！シグヌム エトナとはラテン語で「エトナのシンボル」という意味。エトナDOCの中でもわずか3％以下しかない、リゼルヴァとして造られています。700から1300リットルの木樽で24ヶ月以上熟成後、さらに18ヶ月間の瓶内熟成を行います。

樹齢の高いブドウだからこそ成せるナチュラルな凝縮感

2020年1月21日シグヌムを試飲しました。静けさと躍動感、そして凝縮感とバランスが見事なまでに調和しています。フランスのブルゴーニュ、グランクリュのピノノワールが見せる表情を思わせるエトナです。

純度の高い透き通るようなミネラルとシャープながら丸みを帯び暖かみのある酸味。骨太の骨格がありながら今開けても飲めてしまう親しみやすさ。これだけの凝縮感がありながら微塵も重たさを感じさせない、まさにグランクリュと呼ぶに相応しいエトナです。樹齢を重ねたワインにだけ表れるナチュラルな凝縮感には本当に感動します。繊細でミネラル感を伴う余韻の長さにも胸を打たれました。

このエトナは今まで培ってきた味覚を問われるワインかも知れません。それでも一度は体験すべき価値はあると思います。今開けて数日かけて飲まれてもいいと思いますし長期熟成も期待出来ます。まさにエトナのテロワールが凝縮されたワインです。

エトナに存在する歴史的価値の高いプレフィロキセラ

1800年代の中盤、ヨーロッパのブドウ畑はフィロキセラという害虫の被害を受け、大部分のブドウ樹は枯れてしまいました。そのため、現在ヨーロッパの殆どの畑は自根のブドウ樹はなく、フィロキセラの耐性があるアメリカ産の台木にヨーロッパ原産のブドウを接木して植樹されています。

フィッリアートは、エトナの自社畑についてパレルモ大学の化学技術研究部と提携して、樹齢100年超のブドウ樹にはマークを付け、どのように育っているのか成長過程を調査しています。成長過程で特に問題が無ければ、大学お墨付きの証明書が1本1本のブドウ樹につけられます。

プレフィロキセラのブドウ樹はネレッロマスカレーゼ以外にも、まだ知られていないブドウ樹も存在しています。エトナの土地に現存する、現在の品種とのDNAを比較分析することでさらにエトナにおけるブドウ栽培の歴史の解明を進めています。

シチリアの西部、トラパニのパチェコに1985年から醸造所を構え、「シチリア固有のブドウ品種のポテンシャルを十分に引き出す」「シチリアの土地にあった国際品種の活用」の哲学のもと、ワイン造りに取り組んでいます。

最新技術の導入にも積極的で、日常のワインから偉大なワインまで、常に安定した品質で、イタリア国内はもとより世界各国で高い評価を受けています。『ルカマローニ2012』では11銘柄が90点以上を獲得、年間最優秀生産者に選ばれました。白ワインはエレガント、赤ワインはボディが強すぎず非常にバランスのとれた仕上がりです。