ブルネッロの象徴「ビオンディ サンティ」の歴史と伝統が詰まった逸品「ブルネッロ ディ モンタルチーノ アンナータ」2018年です。いかなるヴィンテージであっても「ビオンディ サンティ」は常に最高峰の実力を持ち、常に非常に入手困難な一本といっても過言ではありません。そのあまりにも強靭な酸とミネラル感により可能熟成期間は50年～100年ともいわれています。

ビオンディ サンティ 最高栽培醸造責任者フェデリコ ラディ氏初来日

2024年6月、2017年9月から最高栽培醸造責任者を務めるフェデリコ ラディ氏が初来日されました。フェデリコさんは1976年生まれの生粋のトスカーナ人。大学卒業後、イゾレ エ オレーナ、マッツェイなどで栽培醸造を務め、2017年9月にビオンディ サンティに入社されました。ビオンディ サンティからオファーがあった時、どう感じたのかをお伺いしたところ「生まれも育ちもトスカーナの私にとって、ビオンディサンティはトスカーナの象徴で、憧れのワイナリーでした。だから話を聞いたときは大変嬉しかったです。夢が叶った気持ちでした。」とニコニコして話してくださいました。

2024年6月、2018年ヴィンテージを試飲しました。甘やかな果実の香りがグラスから広がります。飲むと、なめらかながらも凝縮した果実味が幾層にも重なっているのを感じます。複雑味とやわらかさの見事なバランス。一緒に飲んだ2017年に比べ、すでに全体的に味わいがまとまっていると感じました。

所有する中で最も古い畑「イル グレッポ」のブドウを使用

「イル グレッポ」はビオンディ サンティが所有している3つの畑の中でも、最も古い畑。伝統的な製法に則って熟成は行われ、スロヴェニアンオークの樽で約3年半熟成されます。樽は新しいものから古いものまで、さまざまな年代のものを取り混ぜて使用、これがワインに妙味を与えているといいます。

今すぐにでも楽しめますが超長期熟成のポテンシャルも

濃いルビーレッドの色調。熟したプラムやチェリーなどの果実のアロマに、バラやフリント、シナモンなどのニュアンスを纏った複雑な香りが広がります。口に含むと感じられる、繊細なタンニンと濃厚な果実味が印象的。上質かつ豊富な酸がバランス良く調和した、素晴らしい逸品です。今すぐ開けてもお楽しみいただけますが、20年以上の熟成ポテンシャルも備えています。

ビオンディ サンティの長い伝統はまさに“ブルネッロの歴史”

醸造家 ワイン農家であると同時に偉大な文化人でもあったクレメント サンティ。モンタルチーノはかつて甘口ワインの産地として有名でしたが、彼の造る赤ワインは、1856年のロンドン万国博覧会、1867年のパリ万国博覧会で賞を受け、その後イタリアで「1865年度優秀赤ワイン」に選ばれるなど、多くの賞を受賞しました。

その意思を継いだのが、孫のフェルッチョ ビオンディ サンティ。イタリア統一運動に参加後、モンタルチーノの自宅に戻った彼は、オイディウム菌とウドンコ病で荒れ果てた畑を再生するために病気に強い品種を選別して「サンジョヴェーゼ グロッソ」を植樹しました。そしてオーク樽で長期間寝かせることで格段に美味しくなることに気付きます。こうして1888年、最初のブルネッロが誕生しました。

こうして誕生したブルネッロの名声をさらに高めたのが前当主のフランコ氏。1967年にはトスカーナのブルネッロの栽培面積は76haほどで、いくつかのワイナリーが所有しているだけでしたが、1980年までには640haにまで広がり、ブルネッロ ディ モンタルチーノはDOCGの認定を受けました。これほど早期にDOCGに認められるのは異例のことで、それだけブルネッロというワインの品質が際立っていたことを示しています。また、フランコ氏は畑の拡大とともに研究に研究を重ね、ブルネッロの品種改良や技術改善にも力を入れてきました。2013年に91歳で亡くなるまでカンティーナに立っていたという、生涯現役を貫いた人物です。

ヴィンテージ情報

2018年は非常に涼しい年で、ブドウの成長サイクル全体に不可欠な降雨に恵まれたことが特徴的でした。全体的に、夏の気温は平均を下回りました。ブドウを収穫する直前に、標高の高いブドウ畑では、北からの健全な風が1週間吹き続け、凝縮感のあるブドウが収穫できました。収穫は9月16日から8日間、慎重な選果作業の下で行われました。

ワインガイド評価

『ジェームズサックリング』95点（2018ヴィンテージ）

ラベンダーとライラックのフローラルな香り。チェリーとピーチにオレンジのニュアンス。ミディアムボディでしっかりとしたシルキーなタンニンがあり、軽く噛み応えがある。果実味に塩味があり、杉と黒トリュフのニュアンス。酸が支配的。素晴らしいエネルギー。2024年3月リリース。2025年以降に飲めるが、すでに美味しい。（2024年4月）

ブルネッロ ディ モンタルチーノを語る上で避けては通れない生産者が「ビオンディ サンティ」です。19世紀の終わりにフェルッチョ・ビオンディ・サンティによって産み出された偉大な赤ワイン、「ブルネッロ ディ モンタルチーノ」。フェルッチョ氏は、自分の農園でサンジョヴェーゼの特異なクローンを選び出します。特に粘土質の岩土壌である畑で生育された優良ブドウは、非常に力強いワインを産み出し、そのワインを初めてワイナリー元詰めでリリースしました。

その後はフランコ・ビオンディ・サンティ氏の活躍により、ブルネッロの名は世界に広まり、現在の確固たる地位を築いています。つまり、ビオンディ サンティはブルネッロの産みの親であり、ブルネッロ ディ モンタルチーノの歴史と伝統にとって欠かせない偉大な存在なのです。

彼は最初のワインを醸造し、自分の直感が正しかったことを確信します。そして、非常に有能な息子とともに、販売促進活動を開始し、わずか数十年のうちに彼のワインとワイン造りにかける情熱は広く認められ、称賛されるようになりました。

現在ワイナリーは、シャンパーニュのパイパー エドシックやシャルル エドシックなどを所有するEPIグループの傘下に加入。マルケージ デ フレスコバルディでマーケティングディレクターを務めたジャンピエロ ベルトリーニ氏が代表を務め、過去の積み上げてきた経験を活かしつつ、さらなる品質向上に注目が集まっています。ここで生産されたブルネッロは、世界で最も長期保存が可能なワインの1つといわれています。