フリウリの地に1106年から続く、最も古い家系を持つ名門ワイナリーアテムスの「ピノ グリージョ」です。アテムス社は白ワインのスペシャリスト。特にピノ グリージョとソーヴィニヨン ブランの専門家として名を馳せています。トロピカルフルーツ、サンザシやアカシアの花の香り。滑らかな質感でフレシュで軽やかな味わいが楽しめます。

2024年4月、輸出部長アルベルト オレンジャ氏にお話を聞きました。

「このピノグリージョはイソンツォ地区のブドウの割合が多くなります。トロピカルフルーツのアロマがあり、味わいは軽やかでしっかりとした酸があります。余韻にはアーモンドのニュアンスが感じられます。この軽快な味わいがイソンツォの特徴になります。フレッシュさを保つためマロラクティック発酵はしません。」

イソンツォの特徴の軽やかさを持つフレッシュな味わいのピノグリージョ

畑はコッリオの丘陵地帯とイソンツォ沖積平野の間にあります。平均標高60mの、一部海底が50年かけて隆起した始新世の砂岩から成る、粘土に富んだ湿った土壌や小石に富んだ深い土壌も。樹齢20年のピノ グリージョを使用。8月下旬から9月上旬に手摘みで収穫。ブドウは優しく圧搾、モストを24-48時間かけてデカンテーション。15-18度でステンレスタンクで発酵。低温に保ち、マロラクティック発酵を避けています。その後ステンレスタンクと一部バリックで4ヶ月熟成しています。

外観は淡い麦わら色。トロピカルフルーツの香りが鼻孔をくすぐります。続いて、サンザシやアカシアの花と、熟したリンゴや洋ナシの香りが現れます。いきいきとした酸が、ワインを全体的にバランスよく引き締めます。ヴェルヴェットのようなストラクチャー。ヘーゼルナッツとタイムの素晴らしい余韻が残ります。スキンコンタクトなしの現代的な醸造方法で造られ、フレッシュで軽やかな飲み心地の溌溂とした味わい。白身肉のロースト、ラム、グリルした肉、肉詰めしたお料理と良く合います。

ヴィンテージ情報

2022年の冬は雨が少なく乾燥していました。気温は特に低くなく、4月前半まで徐々に上昇。そしてアテムスの畑のピノ グリージョが発芽。遅めの剪定により、芽吹きを10日ほど遅らせることができました。もう何年も採用している技術です。春は穏やかな気温と好天に恵まれ、植生が絶え間なく成長。ピノ グリージョは過去2年のヴィンテージより確実に早い、5月25日頃に満開。6月と7月は暑い夏を和らげる恵みの雨が降り、そのおかげで植物は、過度の水分不均衡に陥ることなく8月を迎えることが出来ました。

イタリアの北東部、オーストリア及びスロヴェニアに隣接する国境の州フリウリ ヴェネツィア ジュリア。アテムスは、このフリウリのゴリツィア県ルチニコの地に1106年から続く長い歴史のある家系で、フリウリの中でも最も古いワイナリーです。ルチニコに現存する公文書には、アムテスの、当時のフリウリの地における活動や地元での社会的、政治的な強いつながりと、献身的なワイン造りに関しての記述を見ることができます。

1960年代頃までイタリアは赤ワインの産地で、白ワインで知られているものはほとんどありませんでした。そんな状況の中、フリウリが今日のように白ワインの重要なエリアになったのは、1964年にコッリオ協会が設立されてからです。アテムスの当主ドグラス アテムス伯爵はコッリオ協会設立メンバーの一人として、イタリアに高品質な白ワインができることを証明する重要な役割を果たしました。

ドグラス アテムス伯爵はトスカーナで醸造を学んでいた時にフレスコバルディ家に世話になり、以来フレスコバルディ家と懇意にしていました。彼にはひとり娘しかおらず、ワイナリーの後継者がいなかったため、2000年にフレスコバルディ家がアテムスを購入し、アテムスのワイン造りをさらに発展させています。アテムスは、フレスコバルディがトスカーナ以外で初めてワイン造りを始めたワイナリーになります。

現在はコッリオ地区とイソンツォ地区に64haの畑を所有。ゆるやかな傾斜のある段々になったブドウ畑から年間約40万本のワインを生産しています。『光、天候、ポンカ土壌』この3つの要素がアテムスのワインの特長。畑は海に程近いところに位置し、太陽光の反射と昼夜の寒暖差のおかげでブドウは理想的に成熟します。また、「ポンカ」と呼ばれる泥灰土と砂石が混じった柔らかな土壌はブドウの生育に良い影響を与えています。