モンテプルチアーノ ダブルッツォの認知度を上げることに大きく貢献した、アブルッツォの大御所「マシャレッリ」の上級ライン「マリナ ツヴェティッチ」のメルローです。上品なバランス、タンニンは細かくなめらか。凝縮感に溢れたベリーの香りがあり、繊細な酸としっかりとした果実味が感じられます。濃密ながら調和のとれた味わいが楽しめます。

凝縮かつ複雑な果実味、華やかさが広がるメルロー

2025年11月、ミリアム リー マシャレッリ氏にお話を聞きました。

「国立公園内の畑で造られる極少量生産のメルローです。その証に、ボトルにはParco Nazionaleとテープが貼られています。霜害を受けやすいため毎年造れるわけではありません。できても1haあたり30キンタルほど。祖父の時代は250キンタル、父が品質向上のため60～70に下げ、さらに減らして品質を追求しています。」

2025年11月に2017ヴィンテージを試飲しました。やや深みのあるルビー色。凝縮した赤系果実や黒い果実の複雑で華やかな香りがあり、果実の甘やかさも感じられます。柔らかな口当たりでエレガントかつふくよかな果実味が広がり、心地よいタンニンとともに複雑味が長く持続します。

上級ライン「マリナ ツヴェティッチ」新樽バリック熟成のメルロー100％

ファーストヴィンテージは2006年で年産約15万本の上級ライン、マリナ ツヴェティッチメルローの畑は標高500メートルに位置します。グランサッソから吹く風により昼夜の寒暖差が発生し、ブドウに理想的な環境が生まれています。例年9月中旬に収穫。20～30日間マセラシオン後、12ヶ月100%新樽のバリック熟成、24ヶ月瓶熟。

1981年、アブルッツォ州サンマルティーノで創業

マシャレッリは、ジャンニ マシャレッリ氏が祖父から受け継いだアブルッツォ州サンマルティーノの土地で、1981年に設立したワイナリーです。初めてワインづくりに取り組んだのも同じ1981年。祖父から受け継いだ樹齢50年以上のトレッビアーノが植わる2.5ヘクタールの畑から始まったマシャレッリは、現在では約300ヘクタールの畑に拡大。デイリーに楽しめるベーシックライン、上級キュヴェ「マリナ ツヴェティッチ」シリーズ、そしてトップキュヴェ「ヴィッラ ジェンマ」まで、いずれも高い評価を得て国内外で支持されています。

妻マリナに受け継がれたジャンニの強い意志

残念ながらジャンニ氏は2008年にこの世を去りましたが、その遺志は妻マリナ ツヴェティッチ氏が継承しました。今も醸造所と熟成庫を守り続け、あらゆる逆風にも屈しなかったジャンニ氏の意志と独創性あふれる精神を継ぎながら、マシャレッリはさらに発展を続けています。

アブルッツォ4県すべてに畑を所有。土地ごとの個性を映すワイン造り

マシャレッリの大きな特徴は、アブルッツォの4県すべてに畑を所有していることです。各地の中から最適な土地を調査し取得しては研究を重ね、その土壌と気候を最大限に生かす醸造方法を選択しています。同じモンテプルチアーノであっても、全く異なるキャラクターのワインを生み出すという考え方は、ブルゴーニュの「クリュ」概念とよく似ています。

「人」「テロワール」「ブドウ」

3つの要素が調和した最高峰「ヴィッラ ジェンマ」

フラッグシップの「ヴィッラ ジェンマ」は、ジャンニ氏が祖父から受け継いだサンマルティーノの単一畑から生まれます。1ヘクタールあたり1万本という高密度植栽のモンテプルチアーノから、圧倒的な濃密さを備えた偉大なワインが造られます。「人」「テロワール」「ブドウ」という、ワイン造りの基礎となる3つの要素が完璧なバランスで結実したヴィッラ ジェンマは、モンテプルチアーノ ダブルッツォの最高峰と言って過言ではありません。これまでに13回のトレビッキエリを受賞（2012年時点）し、「イタリアを変えた50本」にも選ばれた、まさにイタリアを代表する赤ワインです。