アンターノ

アンターノはモンテファルコの老舗ワイナリーです。ごく普通の農家ですが現当主フランチェスコの父ミルツィアデが1969年に30haの土地を購入、ワイン造りとキアナ牛の放牧を始めます。

サグランティーノ種はタンニンが豊富で難しい品種であるため元々は甘口のパッシート用として栽培されていました。アンターノがサグランティーノセッコ（辛口）の生産を始めたのは80年代のこと。90年代に入るとアルナルド・カプライがモダンスタイルのサグランティーノを造り、世界的に有名になります。その影響でサグランティーノ本来の滋味あふれる野性味をもつワインが減ったと言われていますが、そんな流れの中で本物のサグランティーノを追及していると言われる造り手がこのアンターノなのです。

当主のフランチェスコ氏は「粗野で荒っぽく無作法な喰えない奴、というサングランティーノだが、女性と同じでゆっくり時間をかけて熟成することによって丸く、上品にまとまり、成熟した色気を放つようになる。最近のフルーティーでドリンカブルなサグランティーノには全く興味がない。

長期の熟成に耐えうるがっしりした体躯のワイン、この地の伝統的ワインを造るんだ。」と語ります。ワイン造りは土壌から始まり、畑での葡萄樹のケアがクオリティーを左右するという父親の教えの通り、フランチェスコは生活の大半を畑で過ごします。

手作業で収穫した完熟した果実をセメントタンクで温度管理もせずに、自然酵母のみで発酵、木樽での熟成。いかなるフィルターも通さずボトリング。弟のファブリツィオと２人で畑仕事のほとんどをこなし、醸造に関してはフランチェスコ本人が１人で行っています。