バンフィのシンボル「ポッジョ アッレ ムーラ城」周囲の単一畑で造るブルネッロ

名門バンフィのシンボル「ポッジョ アッレ ムーラ城」周囲の単一畑で造るブルネッロ ディ モンタルチーノです。チョコレートやバニラ、リコリスのニュアンスがあり、しっかりとしたボディとなめらかなタンニンが素晴らしい逸品です。

長期熟成ポテンシャルと力強さを秘めた歴史的な単一畑ブルネッロ

2025年6月、エリアマネージャーのパオロ・ファッシーナ氏にお話を聞きました。

「バンフィを象徴するポッジョ アッレ ムーラ城の周囲に位置する単一畑のブルネッロ ディ モンタルチーノです。2019年ヴィンテージ。クラシック ブルネッロが、58区画の畑であるのに対し、こちらは単一畑です。余韻は10秒以上持続し、ストラクチャーも段違いです。バリック60％、大樽40％で熟成されており、長期熟成型を目指して造っています。現時点ではタンニンがやや主張しますが、決してネガティブではなく、今飲んでも楽しめますし、熟成ポテンシャルを秘めている証です。ブラザートなどと合わせて楽しめます。生産量は5万本です。」

2025年6月にブルネッロ ディ モンタルチーノ ポッジョ アッレ ムーラ2019ヴィンテージを試飲しました。ガーネットに近いルビー色。赤と黒の果実が混ざった豊かな香りにコーヒーのニュアンスがあります。味わいは力強く厚みがありながらもエレガントで、後味にコーヒーのような印象と存在感あるタンニンが重なり、長く続く余韻を感じます。

10年かけて選び抜いた最上の3つのクローン

1977年のワイナリー購入時、既に樹齢30年のサンジョヴェーゼが植えられていましたが、650株から状態の良い180株を選抜。その後もより良いものを選び続け、10年かけて3つのクローンを選び出しました。最高の畑に植えられたそれぞれ特徴がある3つのクローンを組み合わせることで造られる最高のブルネッロ。まさにバンフィ社の血と汗の結晶です。

複雑味と雄大な骨格を持つ長期熟成型ブルネッロ

スタンダードのブルネッロも長期熟成のポテンシャルを感じる素晴らしいワインですが、このポッジョアッレムーラはその違いがまざまざと感じられる複雑味と雄大な骨格があります。煮詰めた果実とミネラルのアロマ、チョコレートや甘草のニュアンスも感じられます。タンニンはかなりしっかりしていて全ての要素が濃密で複雑、時間が経つごとに表情が変化します。しばらく寝かせてから味わいたいワインですが、今楽しむ場合は早めの抜栓をおすすめいたします。

ワインガイド評価

『ジェームズサックリング』96点（2019ヴィンテージ）

ブラックチェリー、灰、樹皮、乾燥したダークマッシュルームのアロマが、しっかりとしたタンニンと酸味を伴うミディアムからフルボディへと続く。洗練され、焦点が定まっている。少し柔らかくなる時間が必要だが、魅力的な牡蠣殻とヨードの含みを示す。3～4年がベスト。（2023年9月）

1978年創業、ブルネッロ ディ モンタルチーノを世界に広めた最大手「バンフィ」。創業者のイタリア系アメリカ人マリアーニ兄弟が、高品質なワインを生産する世界的規模のワイナリーを目指して誕生させました。ワインビジネスという概念が存在しなかった時代に、世界市場の開拓に成功。現在ではブルネッロ全体の約10％を生産するなど、モンタルチーノ随一の規模と品質を誇る造り手として君臨しています。モンタルチーノ以外にも、ボルゲリやキャンティ、ピエモンテでもワインを生産。モンタルチーノ内だけで2800ヘクタールの土地を所有しています。

土壌のタイプは58種類にのぼり、それぞれの土地に合ったブドウを栽培しています。最高のブルネッロを造るためにミラノ大学、ピサ大学と共同で最適のサンジョヴェーゼクローンを選出。設立以来、土壌や栽培方法の研究はもちろん、醸造方法の探求にも余念がなく、独自の発酵タンクの開発や樽材の選定にいたるまで改良を続け品質向上を続けています。近年は、象徴的な畑「ポッジョ アッレ ムーラ」を筆頭に、単一畑シリーズによって畑の個性を表現する「テロワール重視」のスタイルへと進化。また、これまで主流だった小樽から中樽、大樽醸造に移行し、エレガンスを追求する造りにも注力しています。